2019年2月22日 (金)

美術回廊(23) 東京都写真美術館 「日本の1968」

2013年6月26日 恵比寿の東京都写真美術館にて

東京都写真美術館で「日本の1968」という展覧会を観ることにする。村上春樹が「我らが年」と呼び、村上龍が自伝的小説のタイトルに選んだ1969年の前年。日米安全保障条約改正反対運動を中心とした学生運動がピークに差し掛かろうかという時期の写真を中心とした展覧会である。ただ1968をキーワードに1968年以外の時代の写真も展示されている(1968年の100年前である、1868年頃に撮影された写真には幕末の写真家として知られる上野彦馬撮影のものが含まれる。また1968年頃にデビューしたアラーキーこと荒木経惟(あらき・のぶあき)の写真もあり、竹中直人が荒木をモデルに作成した映画「東京日和」(竹中直人監督作品。松たか子の映画デビュー作でもある)にも出てくる柳川の小舟の上で眠る妻の写真(「東京日和」では中山美穂が主人公の妻役であり、完全に同じ構図で写真は撮られている」)も展示されている。

1968年の4年前、1964年に取られた若者達の写真もあるが、皆、どことなく石原裕次郎っぽい。

学生運動関連の写真も勿論、多い。最も過激といわれた日大全共闘が出版した資料などがあるが、東京以外の学生運動の記録もある。広島大学全共闘が発行したもので、学生運動の記録が年表形式で書き込まれている。


写真のみならず、映像の展示もある。1968年を舞台とした映像は二つ。共に10月の国際反戦デーの新宿の映像である。東口では当時流行っていたアングラことアンダーグラウンド演劇のそれを真似た、大阪万博開催反対のパフォーマンス。今見ると、アホにしか見えないのだが、当時の彼らは本気だったのだろう。

西口では夜に、日米安保条約改正およびベトナム戦争反対を標榜するヘルメットにマスク姿の学生を中心とした集団(東大全共闘、中大、革マル派という文字が読み取れる。ヘルメットに「日」の一文字の集団が過激なことで知られた日大全共闘だと思われる)が、火炎瓶を投げ込む姿などが映っている。駆けつけた機動隊の姿を捉えて、映像作品は終わる。

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2019年2月21日 (木)

京都芸術センター「継ぐこと・伝えること62 『享楽×恍恍惚惚』―男舞・女舞―」 中村壱太郎

2019年2月11日 京都芸術センター講堂にて

午後2時から京都芸術センター講堂で、「継ぐこと・伝えること62 『享楽×恍恍惚惚』―男舞・女舞―」を観る。出演は中村壱太郎(かずたろう)。若手を代表する女方(女形)の一人である。

中村壱太郎は、四代目中村鴈治郎の長男である。1990年生まれ。本名は林壱太郎。
中村鴈治郎家は上方の名跡だが、すでに東京に移住しており、壱太郎も東京生まれの東京育ちである。屋号は成駒屋で、私が観た時には、「小成駒!」という声が掛けられてもいた。2014年に、日本舞踊吾妻流の七代目家元、吾妻徳陽(あづま・とくよう)を襲名している。

プログラムは、創作長唄「藤船頌(とうせんしょう)」、レクチャー・ワークショップ「日本舞踊とは」(中村壱太郎&広瀬依子)、休憩を挟んでレクチャー「日本舞踊の音楽について」(中村壱太郎&中村壽鶴)、長唄「島の千歳」


創作長唄「藤船頌」。歌詞は事前に観客に配られている。唄:杵屋禄三、今藤小希郎。三味線:杵屋勝七郎、今藤長三朗。立鼓:中村壽鶴。笛:藤舎伝三。
主人公はお公家さんだそうである。春の海辺を謳ったもので、藤の紫と海の青が一体となって賛嘆される。

壱太郎は、紋付き袴で登場。強靱な下半身に支えられていると思われるブレのない舞踊を行う。西洋の舞踊は体を大きく見せる方向に行きがちだが、日本舞踊は両手や体を最短距離で動かす無駄のない動きが特徴的であり、好対照である。
扇には表に墨絵の藤、裏に波の絵が描かれている。藤が墨絵なのは、彩色すると「女っぽく見えてしまうから」「藤が面に出過ぎるから」という2つの理由があるらしい。


元「上方芸能」誌の編集長、広瀬依子を進行役としたレクチャー・ワークショップ「日本舞踊とは」。壱太郎は私物だというMacのノートパソコンを使ってスライドを投影し、解説を行う。

まずは歌舞伎の歴史から解説。出雲阿国の阿国歌舞伎から若衆歌舞伎を経て、現在まで続く野郎歌舞伎に至るまでの歴史が簡単に解説される。
歌舞伎の元祖は出雲阿国による阿国歌舞伎で、これは舞踊である。女性が男装をした舞うものだったのだが、「風紀が乱れる」ということで廃止になり、若衆歌舞伎へと移行する。若衆歌舞伎は、壱太郎曰く「ジャニーズ系」のようなもので、「美しいものを見たいが、女性は駄目となると未成年の男性」に目が行くということだったのだが、この時代は同性愛は一般的なことであるため、やはり風紀上よろしくないとのことで禁止され、「成人男性によるちゃんとしたお芝居なら良い」ということで野郎歌舞伎が生まれる。
歌舞伎は江戸の歌舞伎と上方の歌舞伎に分かれるが、江戸が英雄を登場させてポーズで見せるという外連を重視するのに対し、上方歌舞伎は庶民が主人公で日常を主舞台にするという違いがある。

日本舞踊、吾妻流についても解説が行われる。吾妻流は日舞の中では傍系で、元々は女性の歌舞伎踊りとして始まり、現在も門人の99%は女性だそうだ。ただ、その家元となった壱太郎(=吾妻徳陽)が男性ということで複雑なことになっているらしい。
吾妻流は、江戸時代中期に始まっているがいったん途絶えている。再興されたのは昭和に入ってからで、十五代目市村羽左衛門の娘である藤間春枝が吾妻春枝として興したのだが、十五代目市村羽左衛門の実父は白人とされており、壱太郎にも白人の血が流れているかも知れないというロマンがあるそうである。
壱太郎の大叔父に当たる五代目中村富十郎が吾妻徳隆(とくりゅう)を名乗っており、壱太郎の舞踊名も漢字が似たようなものをということで、徳陽になったそうだ。舞踊名にはもう一つ候補があって、壱太郎が慶應義塾出身ということで、「徳応ではどうか」というものだったのだが、壱太郎は「徳応だと偉そうな感じがする」というので徳陽に決まったそうだ。
「陽」の字はご年配の方の名前には余りつかないということで若々しさも感じられる良い名前だと思う。

その後、韓国で収録されたという壱太郎による舞踊「鷺娘」の映像がスクリーンに投影される。女方にとって映像、それも4Kを超えて8Kとなると女ではないことがはっきりわかるので困ったことになってしまうそうだ。
「鷺娘」は衣装の早替えがあるのだが、海外で上演すると拍手が貰えないという。「Wow!」という驚嘆の反応になってしまうそうだ。
女方の理想は、「女になり切って演じるのではなく、女らしさを追求する」というもので、「矛盾した」難しいものである。女らしさを演じるために腰を落とした上で良い姿勢を保つことが肝要なようである。女らしい仕草をするために常に内股であることを心がけてもいるそうだ。


休憩後、立鼓の中村壽鶴と壱太郎によるレクチャー「日本舞踊の音楽について」。壽鶴は鼓をばらしてみせる。普段はばらした形で持ち歩いているそうだ。
鼓の皮は何の皮を使っているかということがクイズ形式で観客に出され、壱太郎が、「土日の新聞をチェックしている人はわかるかも知れません」とヒントを出し、壽鶴も「淀駅に行く方はわかるかも知れません」と続ける。淀駅は京都競馬場の最寄り駅である。ということで正解は馬の皮。往時は馬が最も身近な動物だったようである。ちなみに今日、壽鶴が持っている鼓の胴は江戸時代製、皮の部分は安土桃山時代に作られたもので、かなりの値打ちもののようだ。
鼓は乾燥すると音が高くなるため、息を吹きかけて湿らせ、音を調整するそうである。


長唄「島の千歳」。唄は杵屋禄三と今藤小希郎、三味線が杵屋勝七郎と今藤長三朗、立鼓が中村壽鶴である。
白拍子を主人公とした女舞。白拍子に見せるため、壱太郎は長絹を纏っての登場である。
白拍子も阿国歌舞伎同様、男装した女性が舞を行うものだが、男性である壱太郎が男装した女性を演じるということで、幾重にも転倒した状況を生んでいる。抒情と艶を二つながら生かした典雅で妖しい舞となる。



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2019年2月20日 (水)

笑いの林(115) よしもと祇園花月 「祇園ネタ」&吉本新喜劇「借金と慰安旅行のためにがんばりまショー!」

2013年4月27日 よしもと祇園花月にて

午後3時30分より、よしもと祇園花月で、「祇園ネタ」と吉本新喜劇「借金と慰安旅行のためにがんばりまショー!」を観る。


「祇園ネタ」の出演者は、フルーツポンチ、桜 稲垣早希、COWCOW、大平サブロー、宮川大助・花子。

フルーツポンチは、亘健太郎がバンドを脱退することに決めたドラム奏者を、村上健志がそれを引き留めるバンドの後輩を演じたのだが、村上が「ドリカムやB'zみたいになりたいって言ってたじゃないですか」と言って、「ドリカムもB'zもドラムはいない」と突っ込まれる。更に村上が亘のために曲を作ったのだが、タイトルが「お荷物」で、亘が自分のことを見下していると怒るネタであった。


桜 稲垣早希。おなじみになった「桜 稲垣早希の○○の十数年後」。早希ちゃんが35歳になったスタジオジブリアニメのかつてのヒロインに扮し、ジブリアニメの登場人物を次々登場させるというネタである。


COWCOWはいつもの回文ネタ。「竹藪焼けた」に対して、多田が「パパ、竹藪焼けた、パパ」と回文にパパをつけただけの安易な作りで返してしまう。その後、多田が女性役、山田が男性役でドライブデートの話になり、今の気持ちをしりとりで表すことになるのだが、山田の「ここでキスしないか?」に多田は「帰れ!」と言ってしまう。多田と山田が浜辺で戯れる場面。女性役の多田が「追いついたらキスしてあげる」という話になるのだが、途中で多田は車に乗って逃げてしまってどうにもならないという結末を迎える。


太平サブローは、京都のタクシーの話から入る。京都のタクシーにはカラオケ装置がついており、それでサザンオールスターズの「TSUNAMI」を歌うことになったのだが、交差点で止まると周りの運転手が自分の方を見る。不審に思って運転手に尋ねると、「あ、これスピーカーで外に流しています」とのことだった。

最近はクイズ番組の司会などもしたいのだが、今は、クイズ番組の出演者は二極化していて賢いかアホかのどちらかでないと駄目で中途半端な人には仕事が回ってこないという。ロザンの宇治原史規は新聞を4紙購入していて、それを全部読んで内容を全て記憶しているそうである。サブローも真似をしてみたが、1紙読むのに3日かかり、天気予報しか覚えられなかったという。一方、アホはジミー大西クラスでないと駄目で、ジミー大西は絵画に才能を全部つぎ込んでしまったと話す。
それからお金の話になり、バブル期に明石家さんまが出演したコーヒーのギャラが1億4千万円だったとか、高倉健の「ぽっぽ屋」で駅で列車を見送る駅員役のギャラが8千万円だったとか、JRAのCMで、高倉が「馬の気持ちが分かった気がする」というセリフ一つのみの出演でギャラが2億円だったという。


宮川大助・花子。大助が6年前に脳内出血で倒れた話から始まる。花子が「脳が無いのに出血ってどういうこっちゃ」、娘が「お母さん、お父さんが無事に戻ってきたらどうしよう」と言って笑わせる。大助が休んでいる間、花子は一人で舞台に立ったが「楽だったわ」の一言。花子が内臓癌で手術し、3ヶ月休んだときは、大助も「一緒に3ヶ月休んでくれた」「吉本には大助一人で舞台に立たせてくれと頼んだが、『頼むから休んどけ』と断られた」という話になる。
それから、大助の父親が大助そっくりだという話になり、仏壇の遺影を見た後で大助を見て噴き出さない人はいないという話になる。
最後は現在、二人が住んでいる生駒山の話。リス、タヌキ、キツネなどが出るという。花子は寒いときにはキツネを首に巻いてタヌキを頭に被るというが、「そんなことあるかいな」と大助に突っ込まれる。


吉本新喜劇「借金と慰安旅行のためにがんばりまショー!」。出演は、高井俊彦、安尾信之助、太田芳信、佐藤太一郎、奥重敦史、レイチェル、いちじまだいき、島田珠代、五十嵐サキ、前田真希、前田まみ、平田健太(新人)、チャーリー浜。

吉本温泉の「旅館ぎをん」が舞台。ぎをんはオンボロ旅館で客が来ず、借金が1000万に膨らみ倒産寸前。にも関わらず、安尾信之助、レイチェル、島田珠代ら従業員は慰安旅行でどこに行くかを検討している。久しぶりに平田健太と前田まみのカップル、そしてアラブの富豪風の男(チャーリー浜)とその秘書(五十嵐サキ)が泊まりに来るが、ヤミ金屋の太田芳信と奥重敦史が借金の取り立てに来る。奥重敦史が太田芳信を殴るシーンがあるのだが、奥重のパンチが太田の鼻に実際に入ってしまったそうで、鼻をやられた太田が涙を流しながら演技する場面があった。

ぎをん主任の高井俊彦のところに、大学の同級生で今はテレビ局のディレクターをやっている佐藤太一郎がやって来る(佐藤太一郎がアフリカ系に間違えられたりするお約束のオチあり)。佐藤は旅番組のディレクターをしていて、今度、旅館ぎをんを取り上げたいという。高井は、ぎをんの名物としてショーをやっていると嘘をつく。ただ、実際にショーをやってテレビに映れば、宣伝効果抜群で客が押し寄せ、旅館も繁昌して借金が返せるのではないかという希望が膨らむ。しかし、実際のショーの出来は酷いもので……。

実はアラブの富豪風の男はチャーリー王国の国王であり、国王はショーが面白かったといって、1億クサイ(クサイはチャーリー国の通貨単位)を旅館ぎをんにプレゼントする。しかし、1億クサイは日本円に直すとわずか800円で……、というところでドタバタとなり、幕となった。

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2019年2月19日 (火)

コンサートの記(525) 堺シティオペラ第33回定期公演 青島広志 オペラ「黒蜥蜴」

2019年2月2日 ソフィア・堺にて

午後3時から、ソフィア・堺(堺市教育文化センター)のホールで青島広志作曲のオペラ「黒蜥蜴」(原作小説:江戸川乱歩、戯曲化:三島由紀夫)を観る。オペラ「黒蜥蜴」は今回が関西初演となる。柴田真郁(しばた・まいく)指揮大阪交響楽団とピアノの關口康佑による演奏。演出は岩田達宗(いわた・たつじ)。ダブルキャストによる上演で、今日の出演は、渡邉美智子(黒蜥蜴/緑川夫人)、福嶋勲(明智小五郎)、総毛創(そうけ・はじめ。雨宮潤一)、西田真由子(岩瀬早苗)、北野知子(ひな)、片桐直樹(岩瀬庄兵衛)、森原明日香(岩瀬夫人)、植田加奈子(夢子、刑事、恐怖人形)、宮本佳奈(愛子)、糀谷栄理子(色絵、清掃員)、中嶌力(助演:刑事ほか)、浦方郷成(うらかた・きょうせい。助演:刑事、家具屋)、矢野渡来偉(やの・とらい。助演:刑事、家具屋、恐怖人形)、勝島佑紀(助演:刑事、恐怖人形)。振付は西尾睦生(女性)。


午後2時30分より、演出家の岩田達宗によるプレトークがある。まず、江戸川乱歩の原作小説について語り、黒蜥蜴は絶世の美女だが、美男美女を誘拐して剥製にして愛するという猟奇的な性格であることを語る。三島由紀夫は江戸川乱歩の作品を愛しており、「黒蜥蜴」を戯曲化。初代水谷八重子の黒蜥蜴、芥川比呂志の明智小五郎によって初演されている。三島の戯曲を基にした青島広志のオペラ「黒蜥蜴」は1984年の初演で、音楽はパロディやパスティーシュが多用されていることを紹介する。なぜ、そうした作品になったのかは、オペラ「黒蜥蜴」を観ているうちにわかってくる。モチーフになった作品は、ベートーヴェンの第九やレナード・バーンスタインの「ウエスト・サイド・ストーリー」、ビートルズの「オブラディ・オブラダ」など。
「変装」もまた重要であることを岩田は語る。明智小五郎も黒蜥蜴も変装の名人である。


スペード、ハート、ダイヤ、クラブというトランプの4つのマークを半分にした絵柄の描かれた4つのドアを駆使した演出である。原作小説では、黒蜥蜴は非合法のキャバレーに登場することから、それを思わせる格好の助演キャスト(全員、ダンサーではなく歌手である)達のダンスによってスタート。背後には巨大な黒蜥蜴の文様が半分だけ顔を覗かせている。

「黒蜥蜴」では反転の手法が多く用いられており、例えば、江戸川乱歩の小説では東京を舞台として始まり、その後、大阪へと舞台は移るのだが、三島由紀夫が戯曲化した「黒蜥蜴」では、大阪の場面で始まり、東京へと移っていくという真逆の舞台設定である。宝石の受け取り場所は原作では大阪の通天閣だが、三島の戯曲では東京タワーに変わっている。ちなみに今回の演出では舞台は現代に置き換えられており、登場人物達はスマートフォンを使用。東京タワーの場面では、「東京スカイツリーで待ち合わせをしたのに、間違えて東京タワーに来てしまった青年」がさりげなく登場していたりする。

舞台版「黒蜥蜴」は、中谷美紀の黒蜥蜴、井上芳雄の明智小五郎で観ているが、黒蜥蜴をやるには並の女性では無理である。ということで、男でも女でもない美輪明宏が当たり役にしていたりするのだが、渡邉美智子の黒蜥蜴は佇まいや振る舞いが黒蜥蜴に嵌まっている。勿論、中谷美紀には敵し得ないが、黒蜥蜴の魅力は十分に出ているように思われた。他のキャストも舞台版とは比べられないものの、かなりの健闘である。スリルや迫力もあったし、日本語オペラの上演としてハイレベルにあると思う。

外見を重視し、心を信じない黒蜥蜴と、世の中や人間の動きを楽しむ明智小五郎とでは思想が正反対であるが、互いが徐々に近づいていき、ある意味、逆転しそうになったところで己に破れた黒蜥蜴は死を選ぶ。思想だけでなく、あらゆる要素が倒錯し、逆転し、入れ替わり、成り代わりというパターンで貫かれており、音楽にパロディやパスティーシュが鏤められているのもこうしたことに起因するのだと思われる。言ってみれば、音楽が変装しているのだ。


柴田真郁はノンタクトでの指揮。大阪交響楽団の編成は、ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、フルート、クラリネット、ホルン、トランペットの各ソロにパーカッションが2人、これにピアノの關口が加わるという室内楽編成だが、柴田は生き生きとした音楽を引き出していた。


今回の公演ではアフタートークもある。出演は、スピリチュアルカウンセラーでオペラ歌手としても活躍している江原啓之と岩田達宗。江原啓之は昨年、自身がプロデュースするオペラ「夕鶴」で運ずを演じており、その時の演出が岩田達宗であった。

江原は美輪明宏と一緒に番組をやっていたということで、美輪明宏からのメッセージも受け取っている。黒蜥蜴というと美輪明宏の当たり役であるが、自身が黒蜥蜴を演じられる理由として三輪は「本物じゃないから」と語っていたそうである。本物の女でも男でもない。黒蜥蜴が本物の宝石を求める理由も自身が本物ではないからだろうということだそうだ。ただ、江原や岩田によると、三輪も黒蜥蜴は内面の哲学などは本物で、明智が黒蜥蜴に惹かれる理由もそこにあるそうだ。

「黒蜥蜴」は、日本的な発想に貫かれているそうで、江原は神道の大学である國學院大學の別科で神職の資格を得ているのだが、國學院では神の定義を「畏ろしくかしこきもの」としているそうで、善悪は問題ではないそうだ(仏教もそうで、「無記」という善悪とは別の状態が重視される)。登場人物を神だと考えると納得がいくそうである。例えば、早苗は美輪明宏の舞台では「パッパラパー」な女性だそうだが、若さという美質がある。岩瀬庄兵衛は金のことしか頭にない男だが、それもまた一つの特徴である。

江原によると、岩田の演出は、「もっともっと」と求めるタイプのものだそうで、出演者達は大変なのだそうだが、岩田によると、19世紀まではこれは普通のことだったそうで、20世紀に入ると劇場が巨大化したため、それまでのように歌手が跳んだりはねたりしていた場合、過酷に過ぎ、歌がおろそかになってしまうため、動きを抑える必要が生じてきたのだそうである。

岩田は、オペラ「黒蜥蜴」が青島的な要素が強いというので、三島寄りに戻したそうだが、例えば、第2幕第1場の前に設けられた歌なしの場面は、青島広志の指定通りではなく、三島由紀夫が書いた東京タワーの人間と黒蜥蜴とのやり取りが一部設定を変えて再現されており、ここなどは元の戯曲を生かしたのだと思われる。



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2019年2月18日 (月)

コンサートの記(524) 柴田淳 「JUN SHIBATA CONCERT TOUR 2019 月夜PARTY vol.5 ~お久しぶりっ子、6年ぶりっ子~」大阪公演

2019年2月14日 大阪・新町のオリックス劇場にて

午後7時から、大阪・新町のオリックス劇場で、柴田淳の「JUN SHIBATA CONCERT TOUR 2019 月夜PARTY vol.5 ~お久しぶりっ子、6年ぶりっ子~」に接する。タイトル通り、柴田淳の6年ぶりとなり全国ツアーの大阪公演。ちなみに、しばじゅんはバレンタインデーが大嫌いのようである。

影アナのお姉さんが、「お久しぶりっ子、6年ぶりっ子」と真面目な声でアナウンスするのが妙に可笑しい。


オリックス劇場の3階には、ライブを行ったアーティストのサインが並んでいるのだが、それを確認すると柴田淳は、2013年7月15日にコンサートを開いていることがわかる。私も勿論、参加している。しばじゅんの公演に接するのはそれ以来だ。その間、柴田淳は、パシフィコ横浜国立大ホール(国立・大ホールである。横浜国立大学のホールではない)で公演を行っているが、私はその直前に神奈川県民ホールで歌劇「金閣寺」を2日間観ており、この公演は見送っている。
6年の間に、柴田淳は、病気で長期間入院したりと様々なことがあった。「6年の間、色々なものを奪われてきたな」と柴田淳は語る。

今回のツアーは、先月26日に東京でスタート。先に追加公演を行うという形になった。その後、名古屋、福岡を回り、今日の大阪公演である。今月27日に東京のNHKホールで千秋楽を迎える。

バックバンドは、五十嵐宏治(バンマス。ピアノ、アコーディオン)、石成正人(ギター)、松原秀樹(ベース)、江口信夫(ドラムス)、森俊之(キーボード)。衣装チェンジの時間には、ビートルズの「ノルウェイの森」のインストが演奏された。


6年の間にリリースされたアルバムに収められた楽曲のほか、「おかえりなさい。」、「melody」、「HIROMI」、「月光浴」、「桜日和」、「マナー」などが歌われる。柴田淳の調子はなかなか良いようだ。

今日は15列目の真ん中付近の席。視覚的には比較的良好だが、両端にあるスピーカーから聞こえる声は俗にいく「中空き」状態で、最初のうちは聴覚の調整に苦労する。


「おかえりなさい。」は、ダブルミーニングの歌詞が印象的であり、例えば「その優しいあなたが冷たくなるその日まで」の「冷たくなる」は感情的なものや態度の他に肉体的なもの、つまり「死」の意味が掛けられており、取り方を変えると情念のようなものが浮かび上がる。柴田淳は、こうしたところが巧みというか意地が悪い。

代表曲の一つである「月光浴」は、ライブで取り上げられる機会も多い。歌い終えた後、柴田淳は、「この曲は柴田淳の曲の中で唯一、振る歌」と解説。最近になって気がついたそうだ。

「桜日和」は、亡き愛犬のビビアンに捧げられた楽曲。そもそも「桜日和」が収められたアルバム『僕たちの未来』が全編レクイエムという異色構成である。これは柴田淳によって明言されてはいないが、構成を考えれば見えてくる。柴田淳は、「死」にまつわるアルバムタイトルをつけることが多いのだが、「僕たちの未来」も「行き着く先は死」と取れるタイトルである。こういうところも意地が悪い。


昨日、大阪入りして、夜中にちょこっと観光したのだが、「熟女クラブ」というお店の看板を見て、歌が駄目になったら転職しようかなと思ったらしい。そのことをInstagramに書くと某有名シンガーソングライターから、「予約させて下さい」とメッセージがあり、それに対して、「あーん! 来るの遅いからもう店閉めちゃった!」と書いて送ったのだが、後々読み返すと、熟女クラブというよりゲイクラブの人が書いたように見えるという話をする。ちなみにしばじゅんが考える熟女は50代や60代でまだ先のようだ。


アンコールとして、今回もライブ恒例のアカペラコーナーがある。聴衆のリクエストに応えて柴田淳が、アカペラで歌う。
まずは、「幻」なのだが、歌詞カードのタイトルが「幼稚園の『幼』になっている」そうである。
デビューシングル「僕の味方」では、キーを覚えていなかったため、最初は高めの声で歌ったが、「こんなに高かったですか?」とキーを下げてもう一度歌う。聴衆に「もっと高い」と言われて高めに歌い直すも、「嘘!」と言ってやめていた。
「蝶」をリクエストされたのだが、随分前の曲なので、歌詞を読み上げてもメロディーが浮かんでこない。なんとか思い出し、旋律を間違ったところもあったが、前半を歌った。

ファンの思い出の曲だという「あなたの手」も歌い、坂本真綾に楽曲提供した「秘密」もサビの一節を歌う。柴田淳の楽曲の大半はミディアムテンポのものだが、「秘密」はスピーディーなナンバーであり、柴田淳の作品としては異色である。


アンコールは3曲。まずは最新アルバム「ブライニクル」に収められた「嘆きの丘」。「ブライニクル」の中核をなす曲で、「『ブライニクル』はこの曲のために作られたんじゃないか」と話してからの歌唱。しばじゅんとしても自信のある楽曲のようである。

2曲目は、「なでなでしたい」と言う愛着のある曲「雨」。ロックバラードである。歌詞自体はしばじゅん特有のヒリヒリするものだ。

最後は、「科捜研の女」の主題歌にもなった「車窓」。この曲がラストというのも、柴田淳の心境を表してるようでとても良い。

過ぎ去った6年の歳月を慈しむかのような特別な時間であった。



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2019年2月17日 (日)

観劇感想精選(291) 三浦春馬主演「罪と罰」

2019年2月9日 大阪の森ノ宮ピロティホールにて観劇

午後6時30分から森ノ宮ピロティホールで、「罪と罰」を観る。世界文学史上最も有名な小説の一つであるドストエフスキーの同名作の舞台化。上演台本・演出:フィリップ・ブリーン。テキスト日本語訳:木内宏昌。出演:三浦春馬、大島優子、南沢奈央、松田慎也、真那胡敬二(まなこ・けいじ)、冨岡弘、塩田朋子、粟野史浩、瑞木健太郎、深見由真、奥田一平、高本晴香、碓井彩音(うすい・しおん)、山路和弘、立石涼子、勝村政信、麻実れい。ミュージシャンとしての出演:大熊ワタル(クラリネット。バスクラリネットも演奏)、秦コータロー(アコーディオン)、新倉瞳(チェロ)。その他にチューブラーベルズなども演奏されるのだが、誰が担当しているのかはよく見えなかった。

残念なことに近くにいたおじさんが、第一幕の間ずっと大きないびきをかいて寝ていたことで(約1時間40分ほぼずっと休みなくである)、集中力が著しくそがれる。「こういう時こそ舞台上に集中」と思ったが、それが逆に良くなかったように思う。かなり大きないびきだったので、演じ手にも影響したかも知れない。少なくともやりにくくはあったはずである。

ドストエフスキーの『罪と罰』は、個人的には二十歳の誕生日を跨ぐ形で読んだことで記憶に残っている作品である。定番の一つである新潮文庫で読んだのだが、特に下巻は夢中で読んだことを覚えている。ただ、それ以降は一度も再読していない作品でもある。


キャストがほぼ総出演の中、ラスコーリニコフ(今回はラスコリニコフ表記が採用されている)が、己が何者かを問いながら登場する。特徴的なのは背後のアンサンブルキャストがいくつかの場面を除いて常にいて、ラスコリニコフの幻覚やサンクトペテルブルクの喧噪、暴力性、貧困などを表している点である。ブリーンは「欲望という名の電車」でも同じ手法を用いていたが、今回もラスコリニコフ個人ではなく、ロシアの引いては人間の業の物語として描く意図があるのだと思われる。

知性に自信を持つラスコリニコフ(三浦春馬)は、「特別な人間」であるとの自認を持っており、質屋の強欲老婆、アリョーナ(立石涼子)殺害を試みる。それ自体は許されることだと思っていたのだが、その場にアリョーナの義妹であるリザヴェータ(南沢奈央)が現れたため、計画外の二人目の殺人を犯すことに。そのため、ラスコリニコフは常に悪夢の中で過ごすような精神状態へと陥る。そんな時、ラスコリニコフは家族のための娼婦に身をやつしたソーニャ(大島優子)と出会い、心引かれていく。


ラスコリニコフの両手が常に血塗られているなど(彼自身の幻影であり、他の人からは見えないようである)、全面的に神経症的な匂いがするが、ラスコリニコフの内面を考えれば妥当な演出法である。

ドア1枚を用いて様々な部屋を描く手法が取り入れられている。ドアの陰に人が身を潜めている時もあり、さながら戸板のような使い方だ。後方に向かって段状に上っていくセットだが、机やマットレスなど、家具は最小限に留められており、そのことで瞬時に場面を転換出来るという良さがある。マットレスはアクロバティックな要素も含めて特に効果的に用いられている。


文学史上最も魅力的な悪役の一人であるラスコリニコフを演じた三浦春馬は、心の闇や奢り、意外な単純さといってラスコリニコフの魅力を過不足など描き出しており、熱演である。
今回最も良かったのは、つかみ所のない所のある国家捜査官、ポルフィーリを演じた勝村政信。倒叙ミステリーの要素を持つ原作でも重要な人物であるが、勝村は陽気さの背後に冷徹さを隠し、間抜けなんだか怜悧なんだかわからないポルフィーリ像を的確に立体化することに成功していたように思う。

久しぶりの女優復帰となった大島優子。佇まいは可憐で、声も輪郭がしっかりしているが、何故か密度不足で感情も乗り切らない。同世代の女優である南沢奈央がリザヴェータとドゥーニャの二役で熱演しており、分が悪いようだ。ただ身のこなしは軽く、セリフのないところの存在感はやはりAKBのセンターだっただけのことはある。

今回の演出では、有名な絵画作品に見立てられたのではないかと思われるシーンがいくつかあった。例えば「最後の晩餐」や「民衆を率いる女神」などである。「最後の晩餐」はストップモーションまで使って、それらしく見えるように工夫されている。
シベリア送りとなったラスコリニコフが十字架を背景にソーニャと向かい合うラストシーンは、マグダラのマリアとイエスに見立てられているように思われる。だとすればそこに暗示されているのは「再生」だろう。希望のあるラストで良かった。



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2019年2月16日 (土)

コンサートの記(523) 遊佐未森 「cafe mimo ~vol.13~」@心斎橋JANUS

2013年4月13日 心斎橋JANUSにて

午後6時から、心斎橋JANUSというライブハウスで、「cafe mimo ~vol.13~」を聴く。遊佐未森が毎年春に、ドラムス&パーカッションでバンドマスターの楠均と、ギターの西海孝のトリオで行っている全国公演の第13回目。今日の大阪公演はゲストとしてゴンチチのゴンザレス三上が出演する。

心斎橋JANUSは分かりにくい場所にあり、到着が開場時間に間に合わなかったが、私が心斎橋JANUSに着いた時にスタッフが「80番までの方、お入り下さい」と言い、私は整理番号79番だったので全く待たずに入場出来た。見方によってはついている。

今年の「cafe mimo」ツアーは今日が初日。今回も、ボーカル&ピアノ・遊佐未森、ギター・西海孝、ドラムス&パーカッション・楠均と編成は変わらなかったが、遊佐未森は「桃」という曲を歌う際にパンドという大型のピアニカのようなものも演奏した。栗コーダ-カルテットのメンバーから貰った楽器だという。「桃」は友人が第二子の女の子を産んだときに記念に作った曲だというが、その女の子は今はもう大学生であるという。

ちなみに未森さんはこれまでずっとロングヘアであったが、今日はショートにしていた。

デビュー曲の「瞳水晶」、「水無月」、「poetry days」、「欅 ~光の射す道で~」などが歌われた後で、パワフルな「カラフル」というナンバーが歌われ、未森さんの要望で、客席からも「カラフル」という言葉が出てくる部分は聴衆も一緒に歌う。

未森さんの歌声はそれ自体が透明なだけではなく、聴いているこちらの耳も漱がれるような、静かにして強力なパワーを持つ。

カバー曲は今回はバグルスの「ラジオスターの悲劇」が選ばれ、未森さんと楠均の二人により振り付きで歌われた。振付は未森さんの役目である。

ゴンザレス三上との共演は4曲。まず、沖縄民謡「安里屋ユンタ」。次いで「僕の森」、NHK復興ソングである「花は咲く」、アンコールの「デイジー、デイジー」であった。ゴンザレス三上は「安里屋ユンタ」について、「沖縄で演奏することになってコードを聞いたら『そんなものはない。適当にやって下さい』」と言われたとのこと。そこでコード進行を独自につけたところ、コード進行がないと言った人から「コードを教えて下さい」と要望されたそうである。また未森さんとゴンザレス三上の二人で、ある私立高校でコンサートを行ったことがあるのだが、高校の施設とは思えないほど立派なホールで「流石、私立高校。お金がある」感心したが、客席は共学のはずなのに男子高校生だけという謎の公演になったという。花束も頂いたが、厳つい柔道部員からの贈呈だったそうで、ゴンザレス三上は「(花束は)すぐ捨てました。嘘ですけど」と言って笑いを誘った。

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2019年2月15日 (金)

笑いの林(114) 「小泉エリVS桜 稲垣早希 ~堺の筋の本の町の女の戦い~」

2013年4月4日 大阪・堺筋本町のテイジンホールにて

午後7時から大阪のテイジンホールで「小泉エリVS桜 稲垣早希 ~堺の筋の本の町の女の戦い~」を観る。
マジシャンの小泉エリとお笑い芸人の桜 稲垣早希がライバルとして対決する公演の第3回目。タイトルはテイジンホールの目の前にある大阪市営地下鉄堺筋本町(別名:船場西)駅に由来する。


新社会人をイメージしたスーツ姿で二人が登場することが告げられる。まずは早希ちゃん。まだ売れる前の5年前に、あるドラマにエキストラとして出演するために購入したというグレーのスーツである。シャツは濃い水色である。
続いてエリさん登場。正確にいうとスーツではなく礼服で10年前の法事の時に買ったという。エリさんは「南無阿弥陀仏」と唱える。
エリさんはマジシャンの娘で大学在学中にマジシャンとしてデビューしており、また早希ちゃんは吉本に入る前はフリーターをしながら大阪の小さな芸能事務所を転々としていたので二人とも普通の会社でスーツを着て働いたことはない。早希ちゃんは高校卒業の際に就職担当の教師に「女優になりたい」と言い続けて匙を投げられたことがある。彼女はOLにはなれないタイプなので、芸能人になることが出来てラッキーだったと思う。

まずはプロフィール対決だが、お互い嘘ばかり。早希ちゃんはバストサイズを誤魔化すし(早希ちゃんは胸が小さく、自虐ネタとして使うことがある。ずばり「貧乳」という名のネタもある)、ミス愛染娘の合格率が円グラフでは3%と書かれているのだが、下の方には「合格率0.03%と思いっきり嘘が書いてあり、早希ちゃんも0.03%と主張する(ミス愛染娘は複数の女性が選ばれるのだが、その中でも1位は選出されており、早希ちゃんは1位は逃している。1位のみをミス愛染娘という場合があるので注意が必要である)。そして時代劇「剣客商売」に女優として出演したと語る(これは本当だが、出演時間はトータルでも5分に満たない。なお「剣客商売」は現在はDVDで観ることが出来る。)。
エリさん。自分は小泉純一郎元首相の娘だと言い(実際は小泉純一郞似のマジシャン横木ジョージの娘である)、ミス京都審査員特別賞を受賞しているという(これは本当)。その際の水着審査の写真も舞台後方のスクリーンに映されるが、胸の膨らみが乏しいにも関わらず「胸の谷間」を評価されたと言い張る。また「新・科捜研の女」に出演。最初はマジシャンの手役だったのだが、現場で監督に出演を勧められ、役を貰って出たという。またかつてコンビを組んでおり、「さんまのまんま」に出演したこともあるという(当時の写真がスクリーンに映されるが、その頃のエリさんは本当に美人系である。なぜ今、こうなってしまったのかがわからない)。

プロフィール対決はエリさんの勝利。なお、暗転後、衣装をチェンジして出てきた際にエリさんが「第1ラウンドは私が勝ったので有利です」と言ったのは流れから言ってプロフィール対決に勝利したことだとわかるのだが、早希ちゃんは勘違いしたようで、「小泉エリVS桜 稲垣早希」が3回目で、第1回はエリさんの勝利、第2回が早希ちゃんの勝利であることから「第2ラウンドは私が勝ちました」と発言。エリさんがそうではないと言うが早希ちゃんは理解出来ず、おそらく会場内で早希ちゃんだけが勘違いしているという妙な空間が出来上がる。

ここで司会者が紹介される。早希ちゃん出演の舞台では場、ザ・プラン9のヤナギブソンが司会を務めることが多いのだが、今回もやはりヤナギブソンの司会であった。

第2ラウンドのゲームコーナー。まず、「剣玉で大皿に乗せる」という簡単な課題が出されるのだが、エリさんはミス。早希ちゃんは球を大きく振り上げたが大皿に乗せて成功した。

次からのゲームは早希ちゃんの方が簡単で、エリさんの方が難しいという明らかに贔屓ありのものが続く。早希ちゃんが「1m先のゴミ箱にゴミを入れる」であるのに対し、エリさんは「ブーメランキャッチ」という初めてやる人はまず成功不可能な課題が課されるという具合である。

二人とも天然キャラということで、テストも出る。エリさんは「リンゴを漢字で書く」というもの。林檎という字は書くのが難しいとされる漢字の中でも出題率が高く、テレビで「ふぞろいの林檎たち」をやっていた頃には、ある企業が「リンゴを漢字で書け」という出題をしたところ全員が正解したという話が残っており、比較的簡単な出題なのだが、エリさんは林檎の「檎」と車偏に倫の右側という妙な感じを書いてしまいアウトとなるちなみに早希ちゃんは椎名林檎が好きなので「林檎」は書けるらしい。

早希ちゃんには、「虎を英語で書きなさい」という超ラッキー問題が出されたのだが、早希ちゃんは問題の意味自体が分からないようで、「TORA」と書いて不正解。おまけに最初は「TOPA」と書いて書き直したらしい。ヤナギブソンが「阪神?」と聞くと早希ちゃんは「タイガース?」と答えるが、TIGERが虎だと最後まで理解出来ていないようであった。

最後はエリさんがエリさんがマシュマロキャッチに失敗。早希ちゃんもヤナギブソンがトスしたゴムボールをプラスチックバットで打ってホームランにするという課題に空振りで失敗となった。
このラウンドは早希ちゃんが勝利した。

VTRを使っての絵画しりとり対決。それぞれ絵を描いてそれが何かをあて、語尾を頭文字とした絵を描いてリレーしていくというもの。早希ちゃんは画は得意である。ただ、早希ちゃんは発想が他の人と違うため(芸人としてこれはいいことなのだが)普通の人なら選ばないものを絵に描いてしまう。一方、エリさんは、キリンの絵を描いたのに首が長くないなど画は得意ではないようだ。


男性ゲストを招いての第3ラウンド。早希ちゃんは、R-1ぐらんぷりの常連で、前回では優勝こそ三浦マイルドに譲ったものの、見事準優勝に輝いたヒューマン中村を呼ぶ。早希ちゃんによるとヒューマン中村を選んだ理由は同じピン芸人だからというだけのようで、しかも二人は初対面らしく、ヒューマン中村は「まだ早希ちゃんと目を合わせていない」と語る。

エリさんは、ヤナギブソンと同じザ・プラン9のメンバーでR-1ぐらんぷり優勝経験もある浅越ゴエを呼ぶ。

ヒューマン中村はフリップ芸を披露したが、「稲垣早希を地名風にすると」という題で、「私が『どうせ稲垣崎』とかだろう」と思っていたら、漢字が違うだけの「稲ヶ木崎」であった。なんのひねりもないじゃないか。「エリさんを敵風にすると」という題に私は「コイズミエルじゃないか」と思ったら、本当に「コイズミエル」であった。ヒューマン中村、今日は不調のようである。他に小泉エリを小物に見せるということで、「長州小力、小石田純一、小泉エリ」と併記するネタを披露した。


二人一組になってクイズに答える。二人一組で使う机の間に仕切りがあり、パートナーの答えは分からないようになっている。まずは、「敵ばかりで仲間がいない状態。○○□□」。答えは当然「四面楚歌」である。「楚」の字は滅多に使わないのでひらがなでもOKということになる。○○の部分をヒューマン中村と浅越ゴエは「四面」と当てるが、□□の部分を担当した女性陣は、エリさんは「孤立」、早希ちゃんは「滅亡」と書いて不正解。

次は、「国境の○○を抜けると□□であった」という川端康成の小説『雪国』の冒頭を当てる問題。『雪国』の冒頭であることは当然伏せられている。正解は勿論、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」であるが、男性陣はともに「長い」と飛ばして「トンネル」だけで不正解。早希ちゃんは「家賃」と意味不明の答え。エリさんも知らないようで、「彦星」と解答。しかも織姫か彦星で迷ったというなんでそうなるのかよく分からないものであったが、夢があるということでエリさんチームの勝ちとなった。

ブルース・リーの名言、「Don't ○○.□□」に、小泉エリは京都外国語大学卒なの有利だと言う。答えは「Don't think.feel」で、浅越ゴエは「think」を当てたが、ヒューマン中村は「feel」と書いてしまう。
女性二人は互いに罵り合っていたが、共に「me.」と書いてしまっており、客席の笑いを誘う。

続いて、誰が書いたかもわからず、歌詞もなく、聞いたこともないメロディーの曲を二人でデュエットするというゲームを行う。即興で歌を作るのが趣味という早希ちゃん有利の問題である。

ヒューマン、稲垣組からスタート。ヒューマン中村が「午前2時、バーからの帰り道」、早希ちゃん「あなたいつも同じ服」、ヒューマン中村「これが勝負服なのさ」、早希ちゃん「あたしデニム」は嫌いなの」、ヒューマン中村「俺はお前の事が好きなのさ」、早希ちゃん「あたしあなたのことは嫌いなの。あの人が好きなの」
大まかであるがこうした内容の歌であった。

浅越ゴエ、小泉エリ組は、浅越ゴエ「あなたを残してこの部屋を出るわ」という女歌風の出だしだったが、このままでは女二人の歌になってしまうので、エリさんが「あのとき、言いたかったの、うん」と女に戻し、その後は、浅越ゴエが「エリー、エリー」と相手の名前を呼び、エリさんも「ゴエ、ゴエ」と相手の名前を叫ぶという意味不明の展開になってしまった。


ブログ対決。互いのブログを更新し、その出来を競うというもの。ブログ更新の合間は溶暗し、絵画しりとりゲームの続きが流される。

ヤナギブソンが客席の拍手の大きさで決めようというが、マジシャンで現在は準レギュラー2本のエリさんよりも、「ロケみつザワールド」の看板で、CMにも出演し、レギュラーも多く、準レギュラーもある早希ちゃんの方がどうしても人気が高くなるのは当たり前なので、エリさんは反対。しかし、結局、拍手の大きさで早希ちゃんの勝利となった。


演技対決。有名ドラマのシーンを流し、実際とは違うセリフを即興で言うというもの。最初は韓国ドラマ「冬のソナタ」。早希ちゃんは流石の頭の回転の速さを見せ、ペ・ヨンジュンの「無理だよ」という最後のセリフから逆算して、「好きだから結婚して下さい」というセリフを作って、客席を笑わせた。

次は「ごくせん」。成宮博貴演じる生徒とヤンクミこと山口久美子を演じる仲間由紀恵の口論の場面。成宮博貴演じる高校生が「ホスト」というセリフを口にすることから、縛りが多くなり、二人とも半端な出来になってしまった。

最後は、「警部補・古畑任三郎」より堺正章演じる歌舞伎役者が犯人の回。時系列的にいうと古畑任三郎シリーズ最初の事件であり、三谷幸喜が最初に書いた古畑作品で、田村正和がこの脚本を読んで出演を決めたという回である(放送時は第2話として流された、第1話の犯人役は三谷幸喜が大ファンだという中森明菜であった)。
堺正章の「3時か、良い頃合いだね」という深夜の3時を、昼の3時に入れ替えた早希ちゃんが「おやつどうですか」とセリフを挟むという頭のキレの良さを見せて勝利した。早希ちゃんは知識には乏しいけれど、こうした課題には本当に聡い。世の中には普通の人が当たり前に出来ることが出来ないのに、常人が出来ないことをさらりとやってしまう人がいる。早希ちゃんはそのタイプだろう。
ヤナギブソンにもやって欲しいという二人からの要望を受けて、ヤナギブソンも古畑に挑戦するが、「4時ですよね」と言って全く受けず、自分から下手袖に退場してしまった。


クイズ罰ゲームコーナー。クイズに答え、答えられなかった方は罰ゲームを受けるというもの。事情により罰ゲームの内容は書けない(エリさんも書かないよう客席に懇願していた)。

世界で初めて宇宙を飛んだ宇宙飛行士、ソ連のガガーリンの名言は、という問いには時間はかかったもののエリさんが「地球は青かった」と答えて正解。
地上デジタル放送の発信のために建てられた建物は? との問いには早希ちゃんが「スカイツリー」と答えて正解(東京が入っていないがよしとされたようだ)。早希ちゃんは最近、あるクイズ番組で同じ問題が出たと言っていた。

世界三大珍味の問いに、エリさんがフライングで手を挙げ、全てを出そうとするが、フォアグラとキャビアしか出ない。早希ちゃんがトリュフと言って、早希ちゃんの正解となる。

「敵は本能寺にあり」と言ったのは誰か? という問いにエリさんは「織田信長」と答えてヤナギブソンに呆れられるが、早希ちゃんも歴史は苦手なので「徳川家康」と知っている戦国武将を言っただけ。エリさんは、「豊臣秀吉」とまた変な答えをしたが、続けざまに「明智光秀」と言ってようやく正解する。

「七福神の中で唯一の女性は?」という問い(答えは勿論、弁財天、弁天様)には二人とも「??」状態で、早希ちゃんが「もう一度問題を言って下さい」と言ったため、ヤナギブソンは正解が出ないと判断。二人が代表作としている「旅」が答えの問題に変える。「可愛い子には何をさせろ」に、早希ちゃんが「旅」と答えて正解。

最終結果は早希ちゃんの勝利となった。

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2019年2月14日 (木)

観劇感想精選(290) シリーズ 舞台劇術としての伝統芸能vol.2 能楽「鷹姫」

2019年2月3日 左京区岡崎のロームシアター京都サウスホールにて観劇

午後2時からロームシアター京都サウスホールで、シリーズ 舞台芸術としての伝統芸能vol.2 能楽「鷹姫」を観る。

イェーツが能に触発されて書いた舞踊劇「鷹の井戸」を横道萬里雄が新作能「鷹の泉」として改作・翻案したものを観世寿夫が新たに「鷹姫」としたもの。1967年に初演されている。

出演:片山九郎右衛門(鷹姫)、観世銕之丞(老人)、宝生欣哉(空賦麟)。岩:浅井文義、味方玄、浦田保親、吉浪壽晃、片山伸吾、分林道治、大江信行、深野貴彦、宮本茂樹、観世淳夫。
囃子方:竹市学(笛)、吉阪一郎(小鼓)、河村大(太鼓)、前川光範(太鼓)。
後見:林宗一郎。

空間設計は、dot architects(ドットアーキテクツ。家成俊勝&赤代武志)が手掛ける。


絶海の孤島が舞台である。その島には、鷹の泉と呼ばれる、飲めば永遠の命を得られるという霊水が湧き出ている。鷹の泉を守るのは鷹姫と呼ばれる謎の乙女だ。

島には、鷹の泉の霊水を求めて長年住み着いている老人がいる。鷹の泉はもう何十年を湧き出ておらず、いつ湧き出るのかも不明である。

島に一人の若者がやって来る。王の第三王子である空賦麟(くうふりん)である。空賦麟も霊水である鷹の泉を求めてきたのだが、老人に泉の由来を聞かされ、早く帰るように言われる。
その時、鷹が鳴く。老人は、泉を守る鷹姫の声だと空賦麟に告げる。やがて姿を現した高姫に空賦麟は戦いを挑むのであるが……。


「岩」と呼ばれる謡い達がずらりと並ぶ様は異様であり、異界での物語であることを印象づけられる。「岩」は元々は地謡が務めていたらしいのだが、装束と面をつけて「岩」として舞台上に現れるようになったようだ。物語の語り手であり、ある意味、島と鷹の泉の状況そのものともいうべき存在である。泉そのものを演じていることから主役とする見方もあるようだ。

赤い着物の鷹姫は居ながらにして高貴にして畏るべき存在であることが伝わってくる。空賦麟と対決した後、背後の坂を上って消えていく様は、霊的であり、鷹の泉の霊力は鷹姫の存在あってのことであることを告げる。泉は湧くには湧くのだが、鷹姫去った後では……、ということで悲しい結末が待っている。


老人を演じる観世銕之丞の威厳、鷹姫役の片山九郎右衛門の可憐さ、空賦麟役の宝生欣哉の凜々しさなど、配役は絶妙であり、能の幽玄な味わいが存分に発揮されている。
dot architecsのセットも効果的であった。


第2部としてディスカッションが設けられている。出演は、西野春雄(法政大学名誉教授・能楽研究所元所長)、観世銕之丞、片山九郎右衛門。

西野春雄は、「鷹姫」の初演を観ているそうで、当時、西野は22歳。それから50年以上が経ったことを紹介する。
能の存在をイェーツに紹介したのは、イェーツの秘書で詩人でもあったバウンズである。バウンズは、フェノロサの遺稿の翻訳を手掛けた人であり、それを通して能を知り、イェーツにも紹介することになった。イェーツは「能こそ私の理想とする演劇だ」と感激し、「鷹の井戸」を書いたそうである。


観世銕之丞は、dotarthitecsによるセットが、緩やかで短いが上り下りのあるものであり、稽古はしていたが、馴染むのに時間が掛かり、今日の本番でようやく間に合ったことを明かす。「鷹姫」の初演時にはまだ子どもであり、客席で観ていたそうだ。また、「鷹姫」に関しては何度も観てはいるが教わったことはないそうで、観た時の記憶を頼りに自己流で行ったものであることを語る。

片山九郎右衛門は、2年前の2017年が「鷹姫」初演50周年に当たるということで、周囲で話題になっており、自分もやってみたいということで今回の上演に漕ぎ着けたことを語った。また、dot architecsへの感謝も片山から述べられた。



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2019年2月13日 (水)

美術回廊(22) 京都浮世絵美術館 「将軍の京都 ~御上洛東海道~」

2019年2月8日 四条の京都浮世絵美術館にて

四条にある京都浮世絵美術館で、「将軍と京都 ~御上洛東海道~」などを観る。京都浮世絵美術館は、ビルの2階にある小さな美術館である。

「将軍と京都 ~御上洛東海道~」は、歌川芳艶、歌川芳盛、歌川芳幾、歌川芳宗、三代歌川豊国、二代歌川国貞、歌川貞秀、二代歌川広重の絵が展示されている。いずれも徳川家茂が家光以来、230年ぶりに上洛した時を題材として描いたもの。

浮世絵は西洋の絵画などに比べるとダイナミックで動的な要素が強い。「何か大きな動きをしている瞬間」を切り取っているため、その前後が想像しやすく、結果、映像的な面白さが生まれるのである。藤森神社での走り馬、瀬田の唐橋での行列、四条河原での光景など、音まで聞こえてきそうな臨場感である。静物画や肖像画など、止まった瞬間や乙に澄ましているところを描いている西洋の画家が浮世絵に衝撃を受けたというのももっとものことのように思える。

備前長船(現在の岡山県瀬戸内市)の刀剣二棟が展示されているほか、葛飾北斎の「凱風快晴」、「神奈川沖浪裏」なども展示されている。

初代歌川広重の「京都名所図会」も展示されているが、単なる風景画でなく、人物が必ず入っていて、描かれた名所の規模が推量出来るようになっているという実用性も兼ね備えたものである。「あらし山満花」などは正に粋で、過ぎゆく春を惜しむかのような風情に溢れている。「祇園社雪中」も雪の降る沈黙の響きが聞こえてくるかのようであり、「四条河原夕涼」からは鴨川のせせらぎと往時の人々の息吹が伝わってくる。江戸時代の日常がハレの化粧を施されて絵の中に生き続けているかのようだ。

ラストを飾るのは、歌川(五雲亭)貞秀の「大坂名所一覧」(九枚続)。中空からの視座で、右端に大坂城を置き、左端の難波潟と瀬戸内海に至るまでの大坂の町をダイナミックに描いている。タイトル通り、天満天神、北御堂(西本願寺)、南御堂(東本願寺)、四天王寺、なんばや天王寺の街、天保山(今よりも大分大きい)など名所が多く鏤められており、「天下の台所」の賑わいが伝わってくる。



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2019年2月12日 (火)

笑いの林(113) よしもと祇園花月 「祇園ネタ」&吉本新喜劇「彼は妹に恋をする!?」2012年12月25日

2012年12月25日 よしもと祇園花月にて

午後3時30分から、よしもと祇園花月で、「祇園ネタ」と吉本新喜劇「彼は妹に恋をする!?」を観る。


「祇園ネタ」の出演者は、銀シャリ、桜 稲垣早希、ファミリーレストラン、まるむし商店、ザ・ぼんち。


銀シャリは、鰻和弘(うなぎ・かずひろ)の苗字が珍しいという話になる。鰻という苗字の人は全国に6人しかおらず、そのうち4人を鰻和弘の家族が占めているということで、相方の橋本直が「後の二人とはどういう繋がりなんでしょう。というより何で全員家族じゃないの?」と突っ込む。
鰻という漢字を読んで貰えず、病院の受付で、「まむじさーん」と呼ばれたりするという(ちなみに鰻の関西では「まむし」と呼ばれることがある)、その他にも「魚さーん」と偏だけで呼ばれるといい、「『サザエさん』の家族は全員こないなくなる」と橋本は言う。

テニスのスマッシュの時の掛け声が格好良いという話になり、鰻がスマッシュをするが、ボールをトスしてから「俺のこの熱いボールを受けてみろ。行くぞ!」と言って、橋本に「長すぎる。その間にボール落ちてる」と突っ込まれた。


桜 稲垣早希。演目は「おねえさんといっしょ」。セリフが飛んだところがあったが、何とか上手くごまかす。


ファミリーレストラン。
「滋賀県住みます芸人」ということで、原田良也が「滋賀を有名にする曲を作ろう」と提案し、滋賀県出身の有名シンガーであるTMレボリューションの曲の替え歌をしようと提案する。だが「体を夏にして過激で最高」を「琵琶湖を空にして、小麦粉埋めよう」という意味不明の歌詞になってしまう。
その他、「琵琶湖わんわん王国」の歌を歌って、相方の下林朋央に「もうつぶれたわ」と突っ込まれる。原田は更に、びわ湖温泉ホテル紅葉の歌を歌って、下林に「来年の1月で閉鎖や」と再度突っ込まれる。
その他、滋賀県の特徴として、「コンビニの駐車場滅茶苦茶広い」。「平和堂(滋賀県各地にあるスーパー)滅茶苦茶でかい」などと歌う。


まるむし商店。
おなじみのしりとりネタ。
東村雅夫が「からす」で始めたしりとりを、磯辺公彦が語尾が「す」になるように返すとうわざである。「すす」、「スリッパ」、「パンパース」などとやり取りが続き、磯辺は返す度に「すんません」と言う。テンダラー・浜本に言わせるとこれが可愛いらしい。東村が客席に「何かありませんか?」と聞いてきたので、「スコットランド」と私が言うと、磯辺は「ドス」と返した。


ザ・ぼんち。
里見まさとが、「18から漫才を始めて、考えてみれば今年で還暦」というと、おさむは、「君は考えんと年を取らんのかいな」と突っ込まれる。この「君は考えんと」ネタは何度か繰り返された。
まさとが、「年を取ると、トイレが近くなる」と言うと、おさむは「いや、去年、リフォームして部屋からトイレまで遠くなった」と別の「遠くなった」で返してぐちゃぐちゃになった。


吉本新喜劇「彼は妹に恋をする!?」。出演は、清水けんじ、内場勝則、中田はじめ、安尾信乃助、高井俊彦、大島和久、森田展義、太田芳伸、いちじまだいき、前田真希、井上安世、桑原和男。

花月ラーメンが舞台。店長の清水けんじの下の妹である安世は、だいきとの結婚を考えているが、だいきの母親である桑原和子(桑原和男)は、大金持ちである桑原家の跡取りとラーメン屋の娘では釣り合いが取れないと結婚には消極的である。

けんじの上の妹である前田真希は、「女優になる」と言って、けんじと喧嘩をして家を飛び出したまま何年も戻っていない。そんな真希が妊娠して帰ってくる。女優を諦めて同棲相手と結婚を考えたが、相手が突然蒸発してしまい、行き場がなくて戻ってきたのだ。妊娠しているとなると安世の結婚に響くということで、花月ラーメンの隣でクリーニング店を営む高井俊彦と真希を結婚させよう、妊娠して出っ張った腹は、太ったということにしようと強引に話を進め、高井俊彦も結婚に乗り気になる。

吉本不動産の森田展義がやって来て、グルメに力を入れてチェーン店を出したいので花月ラーメンのレシピを提供して欲しいと頼むが、けんじは断る。

その後、大島和久が花月ラーメンにやって来る。大島は真希と同棲し、妊娠させた相手だった。
大島は、200万の借金があると言い、真希に迷惑をかけたくないために消えたのだという。だが、その後ろには吉本不動産の企みがあった。

稽古期間が極端に短いため、毎回のようにミスのある吉本新喜劇であるが、今日は初日でありながら大過なく終えることが出来た。

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2019年2月11日 (月)

コンサートの記(522) 広上淳一指揮京都市交響楽団第566回定期演奏会

2013年3月24日 京都コンサートホールにて

午後2時30分より、京都市交響楽団の第566回定期演奏会に接する。今日の指揮者は常任指揮者の広上淳一。

プレトークでは坊主頭にした広上が司会を担当し、京響の女性ヴァイオリン奏者二人にヴァイオリンについて語って貰うという形式を取っていた。広上によるとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団はコンサートマスター以外の奏者は、その日によってバラバラであり、昨日前列で弾いていた奏者が今日は後列で弾くということもあるらしい。ただ普通のオーケストラは座る位置は大体決まっていて、京響もそうだという。
ヴァイオリンというと前列の前の方が腕利きというイメージがあるが、ヴァイオリン奏者によると、後列の方が音を合わせるのが難しいため、腕利きが後列になることも多いという。


ハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲ニ長調(ヴァイオリン独奏:クララ=ジュミ・カン、プロコフィエフの交響曲第7番というプログラム。


ハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」では、諧謔と歪んだエスプリに満ちた音楽を広上は存分に引き出す。変拍子を2回トントンと跳ねることで処理するなど指揮姿は今日も独特だ。フォルテシモは京都コンサートを揺るがさんばかりに響き渡る。


コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲。コルンゴルトがアメリカに渡り、映画音楽を手掛けるようになってからの作品で、映画音楽からの引用が各所に散りばめられているという。

ヴァイオリン独奏のクララ=ジュミ・カンは韓国系ドイツ人。わずか4歳でマンハイム音楽院に入学し、5歳でハンブルグ交響楽団と共演したという神童系ヴァイオリニストである。
カンのヴァイオリンの音色は太からず細からず中道を行く。技術は非常に優れている。
ハリウッド風のやや大袈裟な伴奏を広上と京響はスケール豊かに奏でる。

アンコール。カンはバッハの無伴奏パルティータ第2番よりサラバンドでしっとりとした演奏を聴かせ、パガニーニの24の奇想曲より第17番で超絶技巧を披露する。


メインの交響曲第7番。冒頭の抒情的なヴァイオリンの歌の美しさから惹き付けられる。その後もプロコフィエフ特有のユニークでパワフルな音楽を広上と京響はクッキリとした輪郭で奏で続けた。文句なしの名演である。

定期演奏が9月から始まるのは日本ではNHK交響楽団などいくつかの団体だけで、大抵のオーケストラは3月でシーズンが終了する。ということで、今年も卒団者を送り出す。37年間、ヴィオラ奏者として在籍した北村英樹の退団式があり、北村は花束を受け取った。

その後、プロコフィエフの交響曲第7番のラストをアンコール演奏してコンサートはお開きとなった。

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