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2006年7月22日 (土)

奇妙な歴史

「生類憐れみの令」という法律がかってあった。言うまでもなく徳川五代将軍綱吉が、母親である桂昌院らの勧めもあって行った政策で、「生きとし生けるものを大切にせよ」というものである。生きとし生けるものを大切にするのは悪いことではない。儒教に詳しく、徳川歴代将軍の中で最も学問好きであったとされる綱吉らしい法令であったとも言える。
しかし、ご存知の通り、人間より動物が大事という逆転が起こってしまう。綱吉が望んだのでなく、側用人達が忠誠を示すことで綱吉に取り入ろうとし、権力争いが起こった果てに妙な事態を招来してしまったとも言われるが、馬鹿げたことが起こったのは事実だ。江戸の町人は綱吉のことを「犬公方」と呼んだ。

だが、もし仮に「生類憐れみの令」を全く知らない外国人にこの話をしてもすぐには信じて貰えないだろう。“君は実にユニークな想像力を持っているね”だとか“変わったユーモアのセンスがあるね”などと皮肉を言われそうだ。

そして、もし仮に「生類憐れみの令」が存在せず、フィクションとして「生類哀れみの令」を書いた作家がいたとしたら、“リアリティの欠片もない”と誰からも相手にされないだろう。“将軍のことを町人が「犬公方」と呼んだ? それはいくら何でも将軍を馬鹿にしてないか?”などと難詰されそうでもある。

だが、生類憐れみの令は実在したのである。「事実は小説よりも奇なり」というが、歴史というは実に奇妙なものである。

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