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2006年11月22日 (水)

湯浅卓雄指揮大阪センチュリー交響楽団  ロベルト・シューマン交響曲全曲&主要管弦楽曲・協奏曲チクルス

湯浅卓雄指揮大阪センチュリー交響楽団 ロベルト・シューマン交響曲チクルス

神戸新聞松方ホールで、9月30日、10月29日、11月21日の3回に渡り、ロベルト・シューマンの交響曲全4曲を演奏するコンサートがありました。湯浅卓雄指揮大坂センチュリー交響楽団の演奏。ライヴ録音も行われており、今後CDとして発売の予定もあります。

ロマンティックではあるがメランコリックで時に陰鬱というイメージのあるロベルト・シューマンの交響曲ですが、湯浅と大阪センチュリー響の演奏はどんな感傷的なメロディーであってもその背後にシューマンの「希望へ憧れ」の心が宿っているということを示してくれる興味深いものでした。

2006年9月30日の演奏会の感想

「神戸へ。JR神戸駅から歩いて5分ほどのところにある神戸新聞松方ホールで、湯浅卓雄指揮大阪センチュリー交響楽団の「シューマン:交響曲全曲&主要管弦楽曲・協奏曲チクルス」の第1回演奏会を聴く。
今年はロベルト・シューマンの没後150周年にあたるのだが、モーツァルトやショスタコーヴィチに比べると知られていない。というのも、ロベルト・シューマンは46年の生涯を生きたので、4年後の2010年に生誕200周年を迎えるのだ。没後150周年より生誕200周年の方が目出度いというわけで、4年後に備え、抑え気味のところもあるのだろう。

神戸新聞松方ホールは小規模なホールで、普段は主に器楽&室内楽の演奏会場として使用されるが、大阪センチュリー交響楽団のような中規模編成のオーケストラの演奏にも比較的向いているようだ。

湯浅と大阪センチュリー響は昨年、同ホールでブラームス交響曲全曲演奏会を行っており、これはナミ・レコード(ライヴ・ノーツ・レーベル)によってライブ録音・CD発売されており、私も聴いたが、充実した出来映えであった。今回のシューマン・チクルスも期待できる。

今日のプログラムは、歌劇「ゲノフェーファ」序曲、交響曲第1番「春」、交響曲第2番の3曲。

湯浅卓雄は1949年、大阪に生まれた指揮者で、高校卒業と同時にアメリカに渡り、シンシナティ大学で作曲を専攻。その後ウィーンに渡り、ウィーン国立音楽大学(現・ウィーン国立音楽アカデミー)で指揮をハンス・スワロフスキーやロヴロ・フォン・マタチッチに師事。その後、ヨーロッパを中心に活躍しており、メジャー・マイナーレーベルのナクソス(というのも変な言葉だが、ナクソスにはこうした呼び名がピッタリである)から数多くの録音を発表している。ダンディーな容姿と指揮姿で、おば様方にも人気がある。ただ、客席にいてもハッキリと聴き取れるほど大きな息づかいでオーケストラに指示を出すタイプの指揮者なので気になる方は気になるかも知れない。

湯浅は今日は全曲ノンタクト(指揮棒を用いないこと)で指揮。1曲目の歌劇「ゲノフェーファ」序曲から充実した響きを大阪センチュリー響から引き出し、予想を上回る素晴らしいコンサートとなった。

今回もブラームスの時と同様、ナミ・レコードのマイクが入っている。録音に問題がなければCD発売される予定だ。

ただ、歌劇「ゲノフェーファ」序曲と交響曲第1番「春」演奏後に、まだ音がホール内に響いているのに、早めにパラパラと拍手を始めてしまう一群がいたため(交響曲第1番「春」演奏後は、湯浅は敢えてしばらくの間、手を下ろさなかったが、それでも拍手が起きてしまった)、後半の交響曲第2番の演奏前には「ライヴ録音を行っているため、拍手にご配慮下さい」とのアナウンスが流れ、湯浅氏も演奏前にユーモアを交えながら、「音が完全に鳴り終わってから拍手をお願いします」という旨を客席に向かって告げていた。

交響曲第1番「春」は、金管のファンファーレによる出だしから絶好調で、シューマンを聴く喜びを味わわせてくれる。音もドイツ調のどっしりとした渋いものだ。広上淳一の明るめの音で聴くシューマンも、デイヴィッド・ジンマンとチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団のCDに聴く音の重心を高めに取った「鳴り響くシューマン」も素晴らしいが、こうした正調のシューマンも勿論魅力的だ。

交響曲第2番は、シューマンの交響曲全4曲中、最も人気がなかった曲だが(過去形なのは最近になって評価、人気ともに上昇傾向にあるためである)、湯浅と大阪センチュリー響は、「春」を上回る好演を示す。第3楽章の旋律も単なる悲哀の歌ではなく、シューマンの「幸福への切実な憧れ」を表したものであることを感じさせ、湯浅の楽譜の読みの深さと表現力に魅せられる。

全曲優れた演奏であった。CDが出たら絶対に買おうと思う」

2006年11月21日の演奏会の感想

「神戸新聞松方ホールで、湯浅卓雄指揮大阪センチュリー交響楽団の「ロベルト・シューマン交響曲チクルス演奏会」の3回目の演奏をに接する。第1回は9月に行われており、これは聴きに行った。第2回は10月末にあったのだが、その時はチケットは確保していたものの、体調不良で行けなかった。今日も体調はそれほど良くはないが、遠出に支障があるほどでもないので出かける。

今日演奏されるのは「序曲、スケルツォとフィナーレ」、チェロ協奏曲、交響曲第4番の3曲。チェロ協奏曲の独奏を務めるのはイギリスを代表するチェリストのスティーヴン・イッサーリス。

開演前に湯浅がマイクを手に一人登場し、本日のコンサートが録音される旨、そのため拍手は全ての音が鳴り終わってからにして欲しいとの要望をユーモアも交えつつ語る。

今日の演奏は全てが秀演であった。
「序曲、スケルツォとフィナーレ」では大阪センチュリー響の弦と木管の優秀さが光り、チェロ協奏曲でも湯浅と大阪センチュリー響の演奏は雄弁。イッサーリスのチェロ独奏も鮮やかな技巧と歌心に溢れた、文句のつけようのないもの。夢見るような表情を浮かべつつ音楽に没頭し、時に指揮者やコンサートマスターとアイコンタクトを交わしながら楽しそうに弾くイッサーリス。視覚的にも楽しませてくれる。

交響曲第4番は憂いに満ちた曲想が特徴だが、湯浅と大阪センチュリー響の演奏を聴いて、シューマンがただただ沈んでいるのではなく、メランコリックなメロディーの背後に、「希望への憧れ」、「夢見る心」を潜ませているのがわかった。

3曲全て、心に直接響く演奏であった。ドイツ的な渋みと重厚さ、痛切なほどの憧憬を秘めたシューマンの内面への切り込み、そして情熱的な響き。おそらく、昨年演奏されたブラームス交響曲チクルスを凌ぐ出来であろう。今からCDの発売が楽しみである」

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