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2006年11月 4日 (土)

観劇公演パンフレット(3) 「謎の変奏曲」

「謎の変奏曲」パンフレット イギリスの作曲家、エドワード・エルガーの管弦楽曲『エニグマ(謎の)変奏曲』からタイトルを取った、エリック=エマニュエル・シュミットの戯曲『謎の変奏曲』が2004年に翻訳上演された時の公演パンフレットを紹介します。京都・四条南座で購入したもの。

『謎の変奏曲』は、杉浦直樹と沢田研二による二人芝居。演出は宮田慶子。テキスト日本語訳は高橋啓。

エリック=エマニュエル・シュミットは、1960年、フランス第2の都市・リヨンに生まれた劇作家・小説家。
『謎の変奏曲』は1996年にパリで初演。アベル・ズノルコを演じたのは、アラン・ドロンであった。

「あらすじ」
ノルウェーの孤島。ノーベル賞作家であるアベル・ズノルコ(杉浦直樹)は、この孤島に家を構え、一人で暮らしている。ある日、ズノルコの家を一人の男が訪ねてくる。男の名はエリック・ラルセン(沢田研二)。新聞記者のラルセンはズノルコの最新作である『未完の愛』という小説について取材に来たのだという。交流書簡形式の小説である『未完の愛』には謎が多く、ラルセンの質問はその謎をつくものだった。
ズノルコはエルガーの『謎の変奏曲』のレコードをかけ、エルガーがこの曲について残した謎の言葉をラルセンに語る。「この曲には決して演奏されることのない隠された主題がある」と。そして、自らの小説『未完の愛』にも実は隠された主題があることを示唆するのだった…。

『謎の変奏曲』の感想(「猫町通り通信」2004年6月12日号より一部改編)

四条南座へ。杉浦直樹と沢田研二の二人芝居、『謎の変奏曲』を観る。宮田慶子の演出は多少堅苦しいが、格調高い正統派新劇スタイルだ。
『謎の変奏曲』はエルガーの同名の管弦楽曲(『エニグマ演奏曲』ともいう)を通奏低音とし、「愛」とは何かを真摯に訴えかける。ユーモアに富んではいるが、ここに示されているテーマは深い。エルガーの『エニグマ演奏曲』は、誰も知らない謎の主題が隠されたまま演奏されるという変わった形式を持つ曲だという。
二人の役者はそこに存在しない女性について語り、その女性の不在の存在により二人の関係は変化していく。単に男女の愛ではなく人間としての根元の愛にまで話は掘り下げられていく。本当に愛したのは誰なのか? 愛とは何か? 女性を神聖視するのは愛なのか? 自己愛は愛なのか? 愛することは恐怖なのか? 考えさせられる。日本人は照れ屋なのでこれほど真っ正面から愛を語る人はあまりいない。
心理描写が非常に細かく巧妙だ。
伏線が強いので観るものは結末がある程度予測できるのだがこれは一長一短ある。ただ本として巧いのは確かだ。
作家(杉浦)と訪問者(沢田)の関係がどこか三谷幸喜の『バイ・マイ・セルフ』に似ている。『バイ・マイ・セルフ』も優れた舞台だった。両作品とも二人の心が通い合う瞬間が、翼を与えられたかのような開放感を観るものにもたらす。
二人の俳優は熱演。最後は観客は総立ち。見応え十分。

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