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2007年3月 2日 (金)

観劇感想精選(1) 遊園地再生事業団+ニブロール 「トーキョー/不在/ハムレット」

2005年1月28日 京都芸術劇場“春秋座”にて観劇

京都芸術劇場春秋座で遊園地再生事業団+ニブロールの「トーキョー/不在/ハムレット」を観る。宮沢章夫作・演出。上演時間2時間45分(途中休憩なし)の大作である。

舞台は埼玉県の北川辺町。ある日、利根川に少女の死体が浮かぶ、上流の渡良瀬川で入水自殺したものが流れ着いたようなのだが…。
タイトルには「トーキョー」、「不在」、「ハムレット」と3つのワードが並ぶが、これはトーキョーの話でも、不在を主題とする物語でも、ハムレットのパロディでもない。
「不在」と打つことで浮かび上がるのは人間の存在の不確かさだ。物語は重層性を帯び、重厚でありながら、そうは感じさせず、むしろ軽さが浮かび上がる。透明なガラスを通して朧気なものを見ているような不安定感。二律背反のものを同時に抱え込んだ人間の不確かさが目に迫る。
ストーリーは明確ではなく、人間関係も複雑だが、それでいながら何かが脳の中でほどけていくような快感がある。
これはミステリーだが解く意味のないミステリーだ。人生そのもののように。
映像、モノローグを多用し、また舞台上を手前と奥の二つに分け、奥を映像ブースにするなど意欲的な試みもある。演劇の幅が広がったような気がする。それが良いことなのかどうかは書かないが。
テキストには芥川龍之介の短編小説によく似たシーンが入っていたが意識したのか、偶然か。多分偶然だろうな。
宮沢自身が手がけた美術、桜井圭介の音楽も効果的。ラストのロウソクやマッチの火を使ったシーンも印象的だが、これは私も考えたことがあるので新鮮な感じはしない。
北川辺の隠れキリシタン伝説を用いて奥行きをつけているが、まるで京都造形芸術大の同僚であった松田正隆の芝居のようなところもある。「おらしょ」を伝える主人公の家の名字は「松田」だが意識したのだろうか。ちなみに「トーキョー/不在/ハムレット」は明日も上演され、公演終了後に行われるシンポジウムには松田正隆も出席する。

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