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2007年3月 6日 (火)

観劇公演パンフレット(9) 「フール フォア ラブ」

女優の寺島しのぶ氏がご結婚ということで、彼女の最新舞台のパンフレットを特別に紹介します。
アメリカを代表する劇作家の一人、サム・シェパードが1983年に発表した「フール フォア ラブ」。1983年度のオビー賞最優秀作品賞を受賞した作品です。
今回の演出を手がけたのは映画監督の行定勲。出演は寺島しのぶ、香川照之、甲本雅裕、大谷亮介の4人。大阪・茶屋町のシアター・ドラマシティにて観劇。

サム・シェパード作 行定勲演出 香川照之、寺島しのぶ主演 「フール フォア ラブ」公演パンフレット

ニューメキシコ州モハーヴェ砂漠にあるモーテルの一室が舞台です。そこに泊まっていたメイ(寺島しのぶ)をエディ(香川照之)という男が追いかけてきたところから物語は始まります。

「フール フォア ラブ」の感想

大阪へ。午後2時よりシアター・ドラマシティで、アメリカの劇作家サム・シェパード作の舞台「フール フォア ラブ」を観る。出演:香川照之、寺島しのぶ、甲本雅裕、大谷亮介。演出を手がけるのは映画監督の行定勲。行定が舞台の演出をするのはこれが初めてである。

舞台はアメリカ南部ニューメキシコ州の砂漠にある寂れたモーテルの一室。女がベッドに腰掛けている。顔を伏せており、気分が悪いのか泣いているのか怒っているのかわからない。女の名はメイ(寺島しのぶ)。一人の男が椅子に腰掛けてメイの方を見ている。男はエディ(香川照之)といい、メイを追いかけてこのモーテルまでやって来たらしい。舞台下手(向かって左側)には、老年に差し掛かったばかりと思われる男がいて揺り椅子に腰掛けて動かない。この男(大谷亮介)はどうやら誰かが見ている幻のようだ。
メイとエディは痴話喧嘩を始める。メイが「出て行って」といい、エディが出て行こうとする。とメイは急に「行かないで」と懇願するのである。
メイが怒り、エディも頭に来て出て行く。メイが「行かないで」と言い、エディはいったんは出て行くもののすぐに戻ってくる。
メイとエディは一見すると、別れてはよりをもどし、を繰り返している恋人同士のように思える。だが実は違った…。

香川照之と寺島しのぶはやはり上手い。香川照之と寺島しのぶをつかまえて上手いというのも失礼かも知れないが、観ている側に演技であるということを忘れさせてしまうほど卓越した演技を見せてくれる。おそらく「演じている」という意識を無くすまで徹底して稽古を重ねたのだろう。
行定演出は灯りの使い方が効果的。ただエディやメイがドアを閉めるたびに銃声のような「ドーン」という巨大を音を出すのは、一度や二度なら良いかも知れないけれど、何度も何度もやるので肝心な場面(エディとメイがドア越しにライフルで狙撃されるシーンなど)の効果を弱めてしまっている。

サム・シェパードの本自体は特に面白いとは思わなかったが、「俺も演出してみたい」と思わせるところのある本である。物語そのものはさほど優れていなくても演出家魂に訴えかける本というものがある。この本もおそらく観客として観るより、演じたり演出したりする方がずっと面白い類の戯曲であるはずだ。

2007年3月1日 大阪・茶屋町のシアター・ドラマシティにて観劇

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寺島 しのぶ(てらじま・しのぶ)本名寺島忍。1972年(昭47)12月28日、京都市生まれの34歳。青山学院大学在学中から舞台、ドラマを中心に活躍。92年に文学座に入団し96年退団。主な舞台に「グリークス」「欲望という名の電車」「新・近松心中物語」(いずれも蜷川幸雄演出)など。 ... [続きを読む]

受信: 2007年3月 6日 (火) 21時34分

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