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2007年6月24日 (日)

観劇感想精選(14) 「もとの黙阿弥 浅草七軒界隈」

2005年9月6日 京都・四条南座にて観劇

四条南座で、井上ひさし:作、木村光一:演出による、「もとの黙阿弥 浅草七軒界隈」を観る。天井桟敷(別名:大向こう)での鑑賞。
出演は、筒井道隆、田畑智子、高畑淳子、辻萬長、池端慎之介、柳家花緑、横山めぐみ、村田雄浩ほか。
井上ひさし版「間違いの喜劇」とも言うべき作品。

明治20年の浅草。閉鎖になっている劇場、大和座が舞台。よその劇場の演目(河竹黙阿弥の作品)のパクリばかりを上演し続けたため、警視庁により閉鎖されてしまった大和座の座頭・坂東飛鶴(高畑淳子)は、日舞、漢文、三味線、西洋舞踏などを教えて生計を立てている。
そこへ、河辺隆次男爵(筒井道隆)が、後日開催される鹿鳴館での舞踏会の席でお見合いすることになったので、西洋舞踏(つまりダンス)を教えて欲しいと言ってくる。ところが同じ日にお見合いの相手である、武器商・長崎屋の一人娘お琴(田畑智子)もダンスを習いたいと飛鶴のもとに。男爵とお見合いするので、彼の人となりをこっそり観察したいと、女中のお繁(横山めぐみ)と身分を入れ替えることを企んでいるというお琴。しかし河辺男爵も全く同じことを考えており、住み込みの書生である久松(柳家花緑)を男爵に仕立て、自分は入れ替わって久松を演じていた。
ダンスレッスンの当日、ニセの男爵、ニセのお嬢さん、ニセの書生、ニセの女中によるお見合いが始まってしまったことから、事態はこんがらがり始め…。

井上ひさし一流の大嘘だらけの喜劇。展開は読めるのだが、それでも笑える。途中、劇中劇を挟み、軽歌劇あり、歌舞伎と新劇の一騎打ちのシーンがあり、音楽あり、で実に賑やかで楽しいエンターテインメントに仕上がっている。新劇寄りの台本なので、説明過多の部分もあるのだが、別にいいじゃないか。もともとこの本は大衆向けに「役者を見せる」ために書かれた本なのだから(初演時のキャストは、河辺男爵:片岡孝夫(現・片岡仁左右衛門)、お琴:大竹しのぶ、お繁:水谷良重(現・水谷八重子)、等々豪華な顔ぶれであった)。
筒井道隆は例によって素朴さを生かし、世間知らずの男爵を等身大で描いてみせる。
田端智子は仕草や声が可憐。彼女は京都出身であり、客席から「智ちゃん!」と声が掛かる。
結末は不思議で哀しいものなのだが、悲劇という感じはせず、むしろ来るべき未来を生きることへの力強い意志が漲っている。

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