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2007年7月 9日 (月)

観劇公演パンフレット(13) 阿佐ヶ谷スパイダース 『少女とガソリン』

阿佐ヶ谷スパイダース 「少女とガソリン」公演パンフレット 阿佐ヶ谷スパイダースの公演『少女とガソリン』の公演パンフレットを紹介します。2007年7月8日、OBP(大阪ビジネスパーク)円形ホールで購入したもの。

昨日観たばかりの公演のパンフレットを早々に公開する必要はないと思うのですが、実はこのパンフレット、タブロイド紙を模倣して作られていて保存が難しいと思われるため、綺麗なうちに画像として保存しておきたいという意図もあります。

長塚圭史の作・演出・出演。

パンフレットには劇中歌の歌詞(作詞:長塚圭史)、出演者の写真とインタビュー、長塚圭史と秋元康の「アイドル」を巡る対談などが収録されています。

『少女とガソリン』の感想

大阪・京橋にあるOBP円形ホールで、阿佐ヶ谷スパイダースの『少女とガソリン』を観る。作・演出・出演:長塚圭史。出演は、中村まこと、松村武(カムカムミニキーナ)、池田鉄洋、中山祐一朗、伊達暁(だて・さとる)、富岡晃一郎、大林勝、下宮里穂子、犬山イヌコ。

櫛田(くしだ)という被差別部落のような田舎町が舞台。櫛田の川の水は濁っており、櫛田に住む人間も濁った水同様、周囲の住民から代々毛嫌いされていた。櫛田の濁った水を使った作られた酒が「真実(まこと)」。櫛田らしく、安くてすぐ酔える三流の味を目指して作られた酒である。しかし「真実(まこと)」を作っていた櫛田酒造は倒産、跡地には高齢化社会のためのリゾート施設が建てられ、まもなくオープニングセレモニーが開かれようとしている。
元・櫛田酒造の瓶詰め責任者の玉島(中村まこと)の開いている居酒屋「丸山」に、元・櫛田酒造杜氏の山路(池田鉄洋)、山路の弟子で他所の街出身の谷田部(伊達暁)らが飲んでいる。店には田村(中山祐一朗)と誓(大林勝)という旅の途中の若者も来ている。
元・櫛田酒造のメンバーはリゾート施設のオープニングセレモニーを阻止する計画を持っている。
そこに本田という男(松村武)がやってきて、「『真実』を飲ませろ」と要求する。玉島らは「『真実』は残り一本しかなく、他所の人間に飲ませるわけにはいかない」と拒否する。

元・櫛田酒造のメンバーは、17歳のアイドル、リポリン(下宮里穂子)の熱烈なファンである。本田と元・櫛田酒造のメンバーが揉めている時、やはり元・櫛田酒造の社員であった笠城芳樹(長塚圭史)が駆け込んで来て、リポリンがリゾート施設のオープニングセレモニーのシークレットゲストとして櫛田にやって来ると告げる。実は笠城の姉であり、ずっと以前に櫛田を出て行った丸代(犬山イヌコ)は今、リポリンのマネージャーをしているのだった…。

今回も見応えがあった。
一人の少女の存在がガソリンのようになって男達の心を暴発させ、平等を理想としたコミューンを立ち上げさせる話であり、当然ながらその崩壊が描かれる。少なくとも崩壊しないコミューンの話は演劇の題材にはなりにくいので、結末は予想がつくし、崩壊の過程にも新しさは感じなかったが、程よい重さと救いのない結末、そして全員によるラストの熱唱など、味わい深い。
水が舞台上でビュンビュン飛び交い、いい歳をした男達がファンシー(若しくはラブリー?)な振り付きでアイドルポップを熱唱するなど、笑いの要素もふんだんに散りばめられており、物語の重さに対して絶妙のバランスが保たれている。

「あんた間違ってるよ」、「ああ、俺もそう思う」というセリフがある(誰のセリフかは物語の重要なポイントになるので書けない)が、間違っていてもそうするしかないという人間の業、そのやるせなさが観る者の心を揺さぶる。

普段は風変わりなおばちゃんや男性を演じている犬山イヌコが今回はいい女を演じており、また舞台でいい女を演じている時の犬山イヌコは本当にいい女に見える。これもまた演劇の奥深さだ。

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