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2007年8月19日 (日)

コンサートの記(1) ジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団来日演奏会2006京都

2006年5月28日 京都コンサートホールにて

京都コンサートホールで、1962年生まれの俊英指揮者であるジョナサン・ノットが音楽監督を務め、「ドイツの中でも最もドイツ的なオーケストラ」と称されるバンベルク交響楽団の来日演奏会がある。

プログラムは、甘美な第2楽章を持つことで知られるプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番と、現代屈指の人気ナンバーであるマーラーの交響曲第5番。ソリストに人気若手ヴァイオリニスト・庄司紗矢香を迎えておくる注目の公演、なのに何だこの客の入りの悪さは。1階席は3列ある客席のセンターのみがほぼ埋まっているだけで、左右はガラガラ。2階サイド席も空席が目立ち、3階席正面にも数えるほどしか客がいない。チケット争奪戦になってもおかしくないはずの公演なのに不思議である。

ジョナサン・ノットとバンベルク交響楽団はマーラーの交響曲第5番をCD録音しており、手堅くも瞬発力ある演奏で好感を持った。このCDは輸入盤しか出ていないが、セールスは好調だと聞いていたのだが……。やはり京都は日本の他の都市とは異なるようである。

バンベルクは人口が10万人に満たない小さな街であるが、そんな小都市に「最もドイツ的なオーケストラ」が存在するという事実に、ドイツ音楽界の裾野の広さと奥深さが感じられる。バンベルク交響楽団は、ヨーゼフ・カイルベルトや、オイゲン・ヨッフムといった日本でも人気があった指揮者に鍛えられ、N響の名誉指揮者であるホルスト・シュタイン(1999年、演奏中に病気に倒れ、現在は事実上の引退状態にある)との来日公演で、日本でも知名度を上げた。硬質の音色としなやかなアンサンブルが特徴。

プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。庄司紗矢香のヴァイオリンの音色は輝かしく、歌心にも溢れている。女性ヴァイオリニストであるが、力強さにも欠けていない。対するバンベルク交響楽団はソリッドなアンサンブルを繰り広げる。庄司とオケの音色の対比も面白い。
雪の日に、暖炉に当たりながら、伴侶と昔話にふけっているような親密さと優しさに満ちた第2楽章。庄司は、清らかで、且つ艶やかな音色でこの名旋律を歌い上げる。ノットの指揮するバンベルク響の音色も温かい。
第3楽章の快活な表現も文句なしで、素晴らしい仕上がりとなった。客席も大いに沸く。しかし、繰り返すが、何でこんな良い演奏会が不入りなのだ?

庄司はアンコールで、プロコフィエフの無伴奏ヴァイオリン・ソナタより第2楽章を演奏。珍しい曲目であり、こうした曲を生で聴けるのはありがたい。

マーラーの交響曲第5番。前半よりも客席が埋まっているように見える。が、何のことはない、私も座っていたP席(ポディウム席)の客が、がら空きの客席を見てそちらに移動してしまっただけのようである。今度はP席に空席が目立つようになった。

さて、マーラーの交響曲第5番の演奏であるが、最初から最後まで圧倒されっぱなしであった。音の張り、艶、輝き、アンサンブルの精度、情熱、ここぞという時の迫力、いずれを取っても素晴らしいという他ない。日本のオケとは実力が桁違いである。よく、「ドイツのオーケストラは本拠地以外では手抜きの演奏をする」と噂されるが、今日のバンベルク響は手加減一切なし。ノットの煽るような指揮ぶりに乗せられて、迫真の演奏を繰り広げた。第3楽章ではホルン首席が、ソリストのように指揮者の横に出て来て演奏。サー・サイモン・ラトルが実行して話題になったスタイルをノットも取り入れており、それを目と耳で、しかも生で確かめることが出来たことも嬉しい。
ノットの指揮はのめり込み過ぎて、たまに暴走気味になるが、それもさしたる傷ではない。筋骨隆々たるマーラーであり、同レベルの演奏を日本のオーケストラが成し遂げることは、残念ながら、まず無理だと断言できる。

アンコールは、ドヴォルザークの「スラヴ舞曲集」より第5番。これもオケの威力に感心する。

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