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2007年9月17日 (月)

シベリウスの年に(14) レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル 「シベリウス交響曲集」

指揮者にはそれぞれ得意レパートリーと不得手とする曲目があります。名指揮者と呼ばれる人達でも、全ての曲を高いレベルで演奏できるわけでは当然ながらありません。
同じ作曲家の作品を演奏しても出来不出来の激しい場合がありますが、今日はその典型ともいえるレナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「シベリウス交響曲集」を紹介します。ドイツ・グラモフォンから出ている輸入盤。

レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル 「シベリウス交響曲集」 レナード・バーンスタイン(1918-1990)は、1960年代にニューヨーク・フィルハーモニックと「シベリウス交響曲全集」を録音しており、溌剌とした演奏を繰り広げていました。

80年代後半に入り、レナード・バーンスタイン(愛称:レニー)は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と、シベリウス交響曲チクルスを企画し、2度目の「シベリウス交響曲全集」をドイツ・グラモフォンにライブ録音する予定でしたが、交響曲第1番、第2番、第5番、第7番を演奏、録音したところで力尽きます。

交響曲第1番は、レニーの死後にCDとして発売されましたが、スケールが大きく、雄弁でドラマティックな演奏であり、本場・フィンランドの指揮者達の演奏とは異なる、雄々しく、巨人的な交響曲第1番像を築き上げています。数多いシベリウスの交響曲第1番の録音の中でも傑出した出来です。

交響曲第2番もスケールが大きく、世評の高い演奏ですが、全体に重たいのが難点。ただ、最終楽章の憂いを込めた凱歌は、一般的な演奏とは異なる悲劇性豊かな演奏であり、「美しいが皮相」と評されることの多いこの楽章の別の面を聴かせてくれます。

交響曲第5番、第7番は、レニーの個性が強く出た、シベリウスからは遠い演奏。ゆったりとしたテンポで細部を丁寧に描いていきますが、その分、全体の印象は茫洋としていて、「木を見て森を見ず」という言葉を用いたくなるようなところがあります。スケールも必要以上に肥大化していて、レニーファン以外には薦めたくない演奏です。

シベリウス作品のほかに、イギリスのBBC交響楽団を指揮した、エルガーの「エニグマ変奏曲」と、ボストン交響楽団を指揮した、ブリテンの「四つの海の間奏曲」(いずれもライブ録音)を収録。

「四つの海の間奏曲」は、レナード・バーンスタイン最後のステージとなったコンサートのライブ収録。レニーの体調は最悪でしたが、それを感じさせない名演です。

極限までテンポを遅くした「エニグマ変奏曲」は、センチメンタル過ぎるという難点があるものの個性的な演奏。またこの演奏は演奏会終了後に、レニーが「『エニグマ変奏曲』を理解しているのは私だけだ」と発言して、周囲を唖然させたという舌禍事件の記録でもあります。

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