« これまでに観た映画より(12) 「小説家を見つけたら」 | トップページ | 街の想い出(16) 横浜その1 1998年、横浜ベイスターズ優勝の年 »

2007年10月15日 (月)

観劇公演パンフレット(17) 竹中直人の匙かげん 『そう。』

「竹中直人の匙かげん」という演劇ユニットの第2回公演『そう。』のパンフレットを紹介します。
2007年1月8日、大阪・茶屋町のシアター・ドラマシティにて購入。

竹中直人は岩松了の作・演出による竹中直人の会という演劇ユニットを主宰していましたが、岩松の作・演出を離れ、竹中直人の匙かげんを結成しています。固定メンバーは竹中直人一人、作・演出も今までのところ固定されてはいません。

竹中直人の匙かげん「そう。」公演パンフレット

パンフレットには、竹中直人の挨拶、出演者のコメント、松田洋子作のマンガなどが載っています。

『そう。』の感想

大阪へ。シアター・ドラマシティで、竹中直人の匙かげん第2回公演「そう。」を観る。
一昨年の第1回公演では演劇というよりはショー指向の作りであった竹中直人の匙かげんであるが、今回は演劇指向。といっても、劇作家ではなく放送作家の倉本美都留の本を用いるなど、従来のいわゆる「演劇」からはみ出てみようという意志が感じられる。
演出は竹中直人自身が担当。出演は竹中直人のほか、井川遥、坂本美雨、金子さやか、高橋ひとみ、井口昇、三上市朗(劇団M.O.P。出演予定だった山本浩司が急病のため代役)、田口浩正、矢沢幸司、後藤果萌。

不思議な感触を持った芝居であった。倉本美都留は劇作家が避けたがるような長ゼリフ、説明的なセリフを多用し、竹中直人の演出も敢えて(だと思うが)映画的な手法を採っていたりする。結果、焦点がほどよくばらけ、良くも悪くもふわふわとした捉えどころのない舞台が繰り広げられる。劇の冒頭はコント風、そこに正体のよくわからない女性達が加わることで神秘的雰囲気がもたらされる。コメディかと思いきや(井川遥が志村けんの顔真似をしたりする)、切ない展開や非リアリズム指向が盛り込まれる。ムーディーというような悪い意味ではなく、雰囲気が主役の芝居といっていいかも知れない。
坂本美雨(さかもと・みう。本業はミュージシャン。坂本龍一と矢野顕子のお嬢さんである。Sister.Mといった方がわかりやすいかも知れない)がオルガンの即興演奏をしながら、詩のような、あるいは童話の冒頭のような言葉を口にする場面があるが、そこで作り出される雰囲気が劇全体の通奏低音になっているようだ。

坂本美雨はこれが初舞台どころか初の演技となるそうだが、なかなか達者で女優としての才能も感じる。容姿は坂本龍一と矢野顕子のどちらに似てるかというとどちらにも似ていない。ただオルガンを弾いているときに見せるふとした仕草が坂本龍一によく似ていたりする。
なお、坂本美雨本人のblogによると、稽古で初めてオルガンを弾いたとき、オルガンは足でペダルを踏んで空気を送り出す楽器であるということを知らず(!)、「…へっっ?!コレ、音でないんですけどっ」と焦ってスタッフを呼びにいって大恥をかいたという。周りにいた役者もスタッフも、まさか坂本龍一と矢野顕子のお嬢さんで本人もミュージシャンという人がオルガンという楽器の性質を知らないとは夢にも思っていなかっただろうから、かなり驚いただろうな。坂本美雨のblogである「ニクキュウ ブロローグ」から引用すると、他の出演者は、「『…えっ…いや、あれ、足、、、ふむんだよね‥?(汗)』 と、言うに言えずお互い目で訴えていたらしい。」とのことである。

後藤果萌(ごとう・かほ)はまだ13歳だが演技は驚くほど上手い。このまま伸びていって欲しい。

竹中直人が演じるのは竹中ナオヒト。職業は俳優で映画も撮っており、代表作は「無能の人」。神奈川県横浜市出身で、中学生の時に山に登って好きな女の子の名前を叫んだことがある。これらの設定は竹中直人そのものであり、この作品が持つ一種の切なさはこうしたリアルな設定によるところが大きい。

|

« これまでに観た映画より(12) 「小説家を見つけたら」 | トップページ | 街の想い出(16) 横浜その1 1998年、横浜ベイスターズ優勝の年 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 観劇公演パンフレット(17) 竹中直人の匙かげん 『そう。』:

« これまでに観た映画より(12) 「小説家を見つけたら」 | トップページ | 街の想い出(16) 横浜その1 1998年、横浜ベイスターズ優勝の年 »