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2007年10月21日 (日)

ヘンリック・イプセン 戯曲『ペール・ギュント』

ノルウェーを代表する劇作家ヘンリック・イプセン。「人形の家」、「幽霊」、「野鴨」などと並ぶ彼の代表作に「ペール・ギュント」があります。
劇作にも生活にも行き詰まりを感じていたイプセンがイタリア滞在中に書いた「ペール・ギュント」。しかしこの戯曲は上演を前提としていない肘掛け椅子の演劇(読む戯曲、レーゼ・ドラマ)として書かれました。

ノルウェーの片田舎に生まれたペール・ギュントは、嘘つきで女たらしというろくでもない男。結婚式で花嫁をさらってしまったことから村に戻れなくなったペールは、世界中を旅することになります。ノルウェーの山の中でトロルの娘と結婚させられそうになり、モロッコでは仲間に裏切られ 、アラビアでは予言者として迎えられるもやはり一波乱あり……、というように、舞台が次々と移るため、上演のための台本としては向いていません。

イプセン 戯曲(劇詩)『ペール・ギュント』

イプセンも上演許可を出す気はありませんでしたが、クリスチャニア(現在のオスロ)の劇場がどうしても上演したいというので、モロッコとアラビアを舞台とした第4幕を音楽で処理することを提案したのち、上演許可を出しました。劇付随音楽の作曲を依頼されたのは、当時のノルウェーの国民的作曲家エドヴァルド・グリーグ。しかしグリーグは第4幕を音楽で処理することに難色を示し、結局、セリフはほとんどカットされずに上演はなされました。結果として、グリーグの音楽だけが大成功して彼の代表作となり、舞台作品としての「ペール・ギュント」の評判は芳しくありませんでした。

しかし、人生に関する様々な示唆に富んだわかりやすい物語として、「ペール・ギュント」は読む分には十分に面白い話です。

「ペール・ギュント」は最近まで、『イプセン全集』に収録されたもの以外は手に入れにくかったのですが、イプセンの没後100年に当たった昨年、論創社から毛利三彌訳の単行本が出版されました。1978年、千田是也演出による新劇合同公演のための上演用台本として訳されものが基であり、完全版ではありませんが、「ペール・ギュント」という作品の持つ面白さを十分に味わうことが出来ます。

ところで、「ペール・ギュント」は演劇の上演よりも、映画の原作に向いているように思えるのですが……。今のところ、映画として制作され、大々的に上映されたという話はなぜか聞きません。
実写にしたら面白くないかも知れませんが、アニメ映画なら結構なものが出来上がるような気がするのですが。

ヘンリック・イプセン 戯曲『ペール・ギュント』 毛利三彌:訳 (論創社)   紀伊國屋書店BookWeb

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