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2007年11月11日 (日)

コンサートの記(3) フレディ・ケンプ ピアノリサイタル2006 オール・ベートーヴェン・プログラム

2006年4月2日 大阪のザ・シンフォニーホールにて

ザ・シンフォニーホールで、フレディ・ケンプのピアノリサイタルを聴く。
フレディ・ケンプは1977年ロンドン生まれの若手ピアニスト。母親は日本人である。クラシックに詳しい人はピンと来るかも知れないが、その通り、ドイツの往年の名ピアニスト、ヴィルヘルム・ケンプの遠縁に当たる人だ。しかし本人はそのことに触れられるのを好まないという。それはそうだろう。フレディ・ケンプ個人として見られずに、ヴィルヘルム・ケンプの遠縁のピアニストという目で見られたのではたまったものでない。

オール・ベートーヴェン・プログラムで、ピアノ・ソナタ第14番「月光」、同第23番「熱情」、同第29番「ハンマークラヴィア」の3曲が演奏された。

フレディ・ケンプの演奏の特徴は、何といっても強靭なタッチにある。フォルテシモの威力は凄まじく、シンフォニーホールの天井が軋むのではないかというほどである(実は実際に軋んでいた)。
テクニックも抜群であり、「月光」の第3楽章や、「熱情」の第1楽章は快速テンポで鮮やかに駆け抜ける。ケンプ本人は嫌がる表現かも知れないが、まさにサラブレッドの音楽だ。しかもただのサラブレッドではない駿馬の音楽である。

逆に緩徐楽章、例えば「月光ソナタ」の第1楽章などはじっくりとしたテンポで弾くが、まだ深い味わいに乏しい。もっとも20代で深みを出されたらそれはそれで将来が心配になる。

強弱の付け方が単調なのも気になったが、若々しいピアニズムはそれを補って余りある。

アンコールはショパンのピアノ・ソナタ第3番から第4楽章、同じくショパンの「12の練習曲作品25」より第1番、ムソルグスキーの組曲『展覧会の絵』より「バーバ・ヤーガの小屋」、「キエフの大門」の2曲。
ムソルグスキーが快演であった。最新鋭の兵器を連想させるような精度と威力、表現力の多彩さ、スケールの大きさ。将来が楽しみなピアニストである。

日曜のマチネーということもあってか、フレディ・ケンプの知名度の割りには客の入りは良くなかったが、演奏後の拍手は盛大で、満員の観客が平凡な演奏に対して送る拍手よりもはるかに大きな音がホール中に鳴り響いた。

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