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2007年12月22日 (土)

第九あれこれ 2007 その3 クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィル(1985年ライブ盤)

1926年生まれ、第二次世界大戦後に東ドイツで活躍、50歳近くになって西側に亡命し、「50歳の大型新人」と呼ばれたこともあるクラウス・テンシュテットのライブ録音による第九を紹介します。1985年9月、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールにおけるライブをBBCが収録し、BBCレジェンド・レーベルから発売したもの。演奏は、テンシュテットが当時首席指揮者を務めていたロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、そしてロンドン・フィルハーモニー合唱団ほか。この演奏が行われた1985年にテンシュテットは癌を患い、1987年には病状の悪化のためロンドン・フィルの首席指揮者を辞任。その後も癌と闘い続けますが、1998年に帰らぬ人となっています。

クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィル 1985年ライブ盤 東ドイツで活躍していたため、長い間、西側にその存在が知られなかったテンシュテット。しかし、西側で活躍を始めて間もなく、その特異な才能が認められることになり、「ヘルベルト・フォン・カラヤンが自身の後任として、テンシュテットをベルリン・フィルの音楽監督に推すのではないか」と囁かれるまでになります。

ロンドン・フィルとの相性は抜群であり、テンシュテットのイギリスにおける評価は「オットー・クレンペラー以来のカリスマ」と、途轍もなく高いものでした。

それだけにテンシュテットの癌発病とそれにともなうロンドン・フィルからの退任がイギリス音楽界に与えた衝撃は大きく、「テンシュテットのいないロンドン・フィルは、ミック・ジャガーのいないローリング・ストーンズのようだ」という嘆きの声も上がりました。

ロイヤル・アルバート・ホールにおける第九は、テンシュテットとロンドン・フィルの頂点の時代を記録したもの。ホールの音響上、音が横に拡がり気味だったり、マイクがステージから遠かったり(そして、楽章間の聴衆の咳が盛大に入っていたりする)、ライブ故にロンドン・フィルのアンサンブルが崩れそうになったりと様々な問題がありますが、それを補って余りあるほどこの演奏は魅力的です。

言葉で説明するのは難しいのですが、音の背後に巨大な何かが潜んでいるような感覚、フルトヴェングラーが指揮するベートーヴェンや、レナード・バーンスタイン指揮のマーラーにも共通する感覚がこの演奏にもあります。

ロンドン・フィルハーモニー合唱団は優秀で、声が美しく、迫力もあり、この第九を特別な演奏とすることに大いに貢献しています。

ベートーヴェン/Sym.9: Tennstedt / Lpo & Cho Haggander A.hodgson R.tear G.howell(1985)

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