« ワレリー・ゲルギエフ指揮サンクトペテルブルク・マリインスキー歌劇場管弦楽団 「春の祭典」&「法悦の詩」 | トップページ | 「ミッキーのサッカーフィーバー」 »

2008年3月23日 (日)

観劇公演パンフレット(26) 文学座 「殿様と私」

文学座の公演「殿様と私」(作:マキノノゾミ、演出:西川信廣)のパンフレットを紹介します。2007年11月17日、兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター中ホールにて購入。
パンフレットには、作家、演出家、出演者へのインタビューのほか、演劇評論家・扇田昭彦によるマキノノゾミ讃、演劇評論家・衛紀生による西川信廣讃、舞台となる時代と鹿鳴館の説明、「殿様と私」用語集などが載っています。

文学座「殿様と私」公演パンフレット


「殿様と私」概要と感想

午後2時より兵庫県立芸術文化センター中ホールで文学座の公演「殿様と私」を観る。マキノノゾミ作、西川信廣演出。
出演は、たかお鷹、加藤武、城全能成、松山愛佳、寺田路恵、浅野雅博、星智也、宮沢亜古。

明治19年、東京・麻布に居を構える旧大名、白河義晃子爵(たかお鷹)。明治になってから久しいというのに、白河義晃は西洋化する日本に馴染めないでいた。妻を亡くしてからは酒浸りの日々を送っている白河子爵。白河家の元家老である雛田源右衛門(加藤武)も同様に時代から取り残されている。白河子爵は雛田に髷を切らぬよう命じ、断髪令から17年経った今も雛田は髷を結っている。それを井上馨外務卿の書生達にからかわれた雛田は、書生達に殴りかかるが、返り討ちに遭い、髻を切られてしまう。怒った白河子爵と雛田は鎧兜に身を固めて井上邸に押し入ろうと計画するが、子爵の長男・白河義知に止められる。「時代遅れなことはやめて欲しい」という義知は、井上外務卿が催す鹿鳴館での舞踏会で子爵が誰よりも上手に踊れば井上卿の鼻をあかせると提案。白河子爵もそれに乗り、早速、お雇い外国人で鉄道技師のカートライトの妻、アンナをダンスの教師として招く。しかし、ダンスを軽蔑している白河子爵はレッスンに乗り気でなく、和装をして仏頂面で踊るものだからアンナも頭に来てしまい……。

文学座の公演は、夏に若手による自主公演(ユニット公演)を観ているが、本公演は江守徹主演の「シラノ・ド・ベルジュラック」以来。今回の舞台美術はMONOの奥村泰彦で、なかなかお洒落なセットを組んでいる。MONOの土田英生作・演出の舞台「錦鯉」に出演した、たかお鷹が奥村泰彦を舞台美術に指名したのだろうか。

良い話である。まずマキノノゾミの本が優れている。タイトルからもわかる通り、「王様と私」をモチーフにした作品だが、明治の日本によく合った話と主題を示している。

若手の俳優は開演直後はセリフが流れてしまい、「あれ?」と思わせるところがあったが、すぐに持ち直す。後半、特にジョン・ラング(星智也)というイギリス人の正体を語る下りでの真に迫った演技は感動を与えるに十分であった。

白河子爵が英語ができず、アンナ・カーライルは日本語を理解しない。それ故、役者は日本語でセリフを話すのだが、白河子爵役のたかお鷹と、アンナ役の宮沢亜古は、相手のセリフがわからないという演技をしなければならない。パンフレットでマキノノゾミは、言葉の通じない相手同士を書くのに大変苦労したと述べているが、演じる方も相手につられないよう演技しなければならないので、大変そうである。

明治時代の話で、日本人に対する欧米人の差別意識などの話も出てくるが、それを明治の人種差別に留まらせず、現代人の心の問題にも通じるものとして発展させている。ストーリーも面白いが、この辺の差配も巧みである。

|

« ワレリー・ゲルギエフ指揮サンクトペテルブルク・マリインスキー歌劇場管弦楽団 「春の祭典」&「法悦の詩」 | トップページ | 「ミッキーのサッカーフィーバー」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 観劇公演パンフレット(26) 文学座 「殿様と私」:

« ワレリー・ゲルギエフ指揮サンクトペテルブルク・マリインスキー歌劇場管弦楽団 「春の祭典」&「法悦の詩」 | トップページ | 「ミッキーのサッカーフィーバー」 »