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2008年3月 8日 (土)

観劇感想精選(30) 桃唄309 「おやすみ、おじさん」

2006年8月4日 京都・下鴨のアトリエ劇研にて観劇

アトリエ劇研で、東京の劇団である桃唄309の公演、「おやすみ、おじさん」を観る。長谷基弘:作・演出。

東京の某商店街を舞台とした(基本的には)コメディー。
主人公である男子中学生の友貴(演じるのは女性である)の住む商店街には、道路を通すために地元の神社を移転させる計画がある。
友貴の夢と、現実とが入り乱れていく中で、商店街の神社を移しても祟りが起きないよう産土神を消そうとする陰陽道の使い手と、商店街出身者で、街の産土神を何とか守りたいと願う行者との戦いが繰り広げられてゆく。

芝居のテンポが速い。展開も速いしセリフも速い。田舎の、自動車が滅多に通らない道路を自転車で飛ばしているような快感を、観ていて覚える。

役者がベニヤ板で出来た壁だのドアだのを両手でもって移動することで、背景が変わっていく仕掛けが面白い。発想が面白いし、ギャグとしても面白い。人物が歩く場面でも役者が進むのではなく、背景が動いていく。これによって更にテンポが上がる。

序盤は謎が多く、芝居が進むに連れてそれがほどけていくという構造を持つ(例えば友貴の叔父さんの職業が行者らしいことがわかったり、友貴の周りに現れる謎の少年の正体が街の産土神〔劇中では「鎮守」という言葉が使われていた〕らしいことがわかったりする)。

古くからある商店街が寂れたため、大通りを造ることで再生を図ろうとする側と、商店街を守ろうとする側の攻防があるらしいことがさりげなく示される。ただ、結末はヒーロー物によくあるようなウルトラポジティブなものではなく、「結局はなるようにしかならない」というほろ苦い味わいを持つ。

劇研の壁際四方上部にしめ縄と御幣を渡して結界を作ったり、劇場全体に柑橘系の匂いを充満されたりという演出も雰囲気を盛り上げる。

この劇で取り上げられた「陰陽道」だの「修験道」だの「御霊」だのは京都が本場であるが、京都の劇団はこうした題材を余り取り上げない。東京の劇団がこうしたテーマで面白い舞台を作っているというのは興味深い。

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