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2008年3月 4日 (火)

裏通りの人々 池内紀 『モーツァルトの息子』

池内紀(いけうち・おさむ)のエッセイ『モーツァルトの息子』(光文社知恵の森文庫)を紹介します。『モーツァルトの息子』というタイトルですが、モーツァルトの息子のみならず、歴史の裏通りともいうべき場所にヒョイッと顔を出しては消えていった30人の文章による肖像が描かれています。『姿の消し方』というタイトルで10年前に出た書籍の文庫化。

池内紀 『モーツァルトの息子』(光文社知恵の森文庫) 登場人物はタイトルにもなっているモーツァルトの息子(天才作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの二人の息子、カール・トーマス・モーツァルトとフランツ・クサヴァー・ヴォルフガング・モーツァルト)を始め、悪戯好きの官吏、一時代を築いたスポーツ選手、現代に繋がる財政再建策を発明した人物、素性を偽った映画監督、文豪に愛された小役人、死後に高い評価を受けた大作家が愛した女性、ゆすりたかりの小悪党、冷徹な殺人鬼、名声を浴びつつも時代に翻弄されて行方知れずとなった名優、天才詐欺師、変わった題材に一生を捧げた画家、名前も知れない古代の歴史家など、いずれも大人物でも英雄でもなかっために歴史のメインストーリーには現れないものの、裏通りにサッと現れては魅力的な表情を見せて消えていく人々。池内紀はそんな人々の姿を愛情を込めて、かつ的確に描写していきます。

英雄史観でも唯物史観でも語られることのない魅力的な歴史的人物を知ることの出来る面白い書物です。

池内紀 『モーツァルトの息子 ─史実に埋もれた愛すべき人たち』(光文社) 紀伊國屋書店BookWeb

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