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2008年4月27日 (日)

観劇公演パンフレット(28) カムカムミニキーナ 「フロシキ」

カムカムミニキーナの公演「フロシキ」の公演パンフレットを紹介します。2006年5月13日、大阪・京橋の松下IMPホールにて購入。

カムカムミニキーナ 「フロシキ」公演パンフレット 「フロシキ」の“フロ”は“フロンティア”のフロ。日本のフロンティア、満州国を舞台にした作品です。

公演パンフレットには作・演出の松村武のロングインタビューが載っており、これが一番読み応えのある記事。

その他には出演者紹介とインタビュー、稽古場日誌も楽しめますが、特に公演に関係ないものも載っています。こうしたこともある意味カムカムミニキーナのパンフレットらしいといえるでしょう。

カムカムミニキーナ 「フロシキ」公演概要と感想

大阪・京橋へ。松下IMPホールでカムカムミニキーナの「フロシキ」を観る。松村武の作・演出。カムカムミニキーナはこの作品で全国ツアーを行っているが、大阪での公演は今日のマチネーとソワレの2回だけである。

カムカムミニキーナは東京の劇団だが、作・演出の松村武と看板俳優の八嶋智人がともに奈良県出身(奈良女子大学附属高校の同期生である)であるためか、関西的なノリを持っている。

「フロシキ」は途中15分間の休憩を含めて上演時間3時間15分の大作。宮本春という女性(藤田紀子が演じた)の一代記である。

前半は吉本新喜劇のような場面が続き、話のベクトルがどこを向いているのかはっきりしない。とはいえ、最初にキーワードとして「王道楽土」という言葉が語られているのでどういう話なのかはわかる。
満州はモンゴルに、新京は春京という名に、溥儀を思わせる人物は女性に置き換えられているが、非常に分かり易い。

3時間以上という上演時間を通してみると良くできた芝居である。前半はギャグやアドリブがしつこくて、「そこまでやる必要があるのか?」と疑問に思ったが、作品の長さが「劇を観た」という手応えにつながっていることは確かだ(もっとも、長いだけの芝居も多いが)。

川島芳子を思わせる人物、甘粕正彦を思わせる人物、満州の三スケを足したような人物、石原莞爾や板垣征四郎を思わせる人物も登場。満映、満鉄、阿片などの記号もきちんと散りばめられている。

アガサクリスティの某小説のパロディーも登場するが、舞台は満鉄のアジア号の中、乗客は全て当時の列強国の出身者。そして殺人犯は実は日本人というのも「象徴」として上手く機能している。

休憩を挟んで後半に入ると、バラバラだった話の断片が次第に収斂されていく。カムカムミニキーナのことだから深刻にはならないが、力強い「メッセージ」と「問い」が感じられる。誕生のシーンの象徴的表現なども効果的である。

正直言って、前半が終わったときにはラストでこれほど感動するとは思っていなかった。

日本人がこの世の「春」を謳歌し、希望と絶望、欲望と使命感、栄華と苦杯を味わったニューフロンティア・満州国とは一体何だったのだろう?

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