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2008年4月16日 (水)

観劇感想精選(33) 魚灯 「静物たちの遊泳」

2007年5月26日 京都芸術センター・フリースペースにて観劇      

京都芸術センターフリースペースで、魚灯(ぎょとう)の「静物たちの遊泳」を観る。山岡徳貴子(やまおか・ときこ):作・演出。

とある団地が舞台。

佐野(藤原大介)が仕事を辞めて姿を消した。佐野の妻である千賀子(武田暁。たけだ・あき)と、佐野の不倫相手である美佐(山本麻貴)と、佐野の部下であった各務(ファックジャパン)が佐野の部屋に集まっている。千賀子と美佐の間に漂う不穏な空気。
その佐野は自宅の向かいの団地の一室で、さつきという女性(若手の阪本麻紀が演じているが、実は老女であることが中盤でわかる)と一緒にいた。向かいの自宅を覗く佐野。やがて、さつきも佐野が住んでいる団地の棟を始終見ていることを知る。佐野は自宅から持ってきたオセロゲームを手にして、さつきの部屋のベランダに立ったり、千賀子のいる部屋に鏡で合図を送ったりしている。千賀子もそれに気付いている。しかし気付いていながら互いに知らないふりをする。距離を隔てて覗き合うという、アンバランスで、倒錯的な関係が保たれている。

2004年の冬に上演された「この街の底ふかく」に似た仄暗いテイストを持つ作品で、魚灯としてはそれ以来のハイレベルな一作、というより、今のところ魚灯はこうしたテイストのものしか成功していないというのが不安でもある。
     
劇中で「ねっとりとした」というセリフが語られるが、それがこの作品の本質を表している。駄洒落風に「隠微な淫靡」とでも言おうか。
     
イントレ(舞台の高所作業で使う組み立て式のやぐら)をばらしたセットや人工的な感じのセリフから醸し出されるアンバランスさはこの作品の魅力でもあるが、セリフに関して言えば、不必要に語りすぎたり、逆に淡泊すぎたりと、技巧上のアンバランスさは気になった。

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