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2008年4月 2日 (水)

図書館遍歴 ─図書館開設記念日ということで

最初に行ったのは、自宅の最寄りの図書館。といっても私が育ったのは千葉市郊外の住宅地だったので、いわゆる図書館と聞いてイメージするような立派なものではなく、公民館の一角にある図書室のようなものです。保育所の頃から、小学生時代までは、各週土曜日に母親と一緒に行って、本を借りてくるというのが習慣でした。

小学校低学年ぐらいまでに読んだ本で印象深いのは、「ぐりとぐら」シリーズや、あまんきみこの「車のいろは空のいろ」シリーズ。「車のいろは空のいろ」シリーズは大好きで、本に出てくる話では足りずに、自分で話を作っていました。といっても原稿用紙に向かっていたわけではなく、自分が主人公のタクシー運転手である松井さんになりきって、色々な設定をこしらえて演じていたわけです。
マンガの「ドラえもん」も藤子不二雄が書いたものだけではもの足りずに、自分で設定を決めて、一人何役も演じて楽しんでいましたから、本を読んでも同じことをしていたわけです。

小学校中学年は歴史上の人物の伝記やマンガを読むことが多くなったのですが、高学年になると母親の影響でミステリー小説を借りて読むようになりました。これも小説本編だけでは物足りなくなって、マニアックな研究書まで借りて読んでいました。“これこれはこうなっているけれど、実は裏にはこういう意味があって”という類の本ですね。

小学校の図書室は児童が授業をサボってこもらないように、ほとんど開いていなかったと記憶しています。図書館がある意味がないじゃないかと思うのですが。でもたまに開いている時には、本を読んでいましたが、そこで読んでいたのは小説などではなくて、法隆寺だとか、城郭だとかの建築関係の易しい本が多かったと記憶しています。もうその頃から建築が大好きだったようです。

中学校の図書室も小学校と同じ理由で開いていなかった、って、千葉県は本当に教育水準が低いなあと思うのですが、クラブ活動で、集団読書クラブというのに入っていたんです。集団読書クラブというのは、クラブのメンバー全員で同じ本を読むということに表向きはなっていたのですが、実際は、普通の読書クラブにしてしまうとメンバーが多くなりすぎるということで、集団読書と銘打って、人と同じことをするのが苦手な生徒を他の読書クラブに行くように仕向けていただけです。本当は各々が勝手に好きな本を読んでいいという普通の読書クラブでした。
そこでは、中学生レベルの脳関連の本や天文関係の本も読んでいましたけれど、太宰治全集やら『レ・ミゼラブル』なども読んでいました。『レ・ミゼラブル』は長かったなあ。

高校生になると、昼休みに弁当も食べずに図書館に籠もって哲学関連の本に没頭していました。デカルトなどですね。原著で読むと良かったのでしょうが、難しかったので、解説書を中心に読んでいました。解説書と行っても大人向けの難解なものです。今から考えると、デカルトの原著の方が言っていること自体は簡単だったと思うのですが。
あと、その頃は、もうクラシック音楽が大好きになっていたので、作曲家の伝記や、楽曲解説辞典なども読んでいました。オーケストレーションがどうのこうのという類の本です。専門的な音楽教育は受けたことがないので、何となくしかわからなかったのですけれど、それでも「ほうほうそうなのか」と音楽の秘密を解き明かした気になって(実際はそんなことは出来ていないんですけれど)喜んでましたね。

映画も好きだったので、ジョージ・ルーカスやらスティーヴン・スピルバーグやらベルナルド・ベルトルッチの本も読んでいました。ジョージ・ルーカスはLD(学習障害)の持ち主で、子供の頃は授業には全く集中できず空想の世界に浸っているような子供で、高校でも勉強は全く出来ず、映画に夢中になっているような青年でした。本来ならハイスクールを卒業できなかったはずなのですが、自動車事故を起こしてしまい、留年しても授業は受けられないだろうということで、放校のような形で卒業しているんですね。で、本人は映画学科のある大学に行きたかったけれど単位が足りないので短大にしか行けなかった。でもどうしても行きたいということで猛勉強して、映画学科のある名門・南カリフォルニア大学に編入しています。でも、今でも彼は英語のスペルを一行につきいくつも間違えるそうです。

ジョージ・ルーカスの話はこれぐらいでいいとして、私自身の大学時代。明治大学の図書館は今はなき記念館の裏手にあったのですが、記念館にはサークル室があって、ジャズ研やオーケストラ部が昼と夜と構わず練習しているのです。その裏手に図書館があって防音設備もないものですからうるさいったらありゃしない。図書館には意見BOXがあって、要望の多い意見は掲示板に載ることになっており、いつも学生からの「音がうるさい」という苦情が張り出されていました。図書館側は「防音設備を取り付けたい」などと返答していましたが、記念館が取り壊されることになってうやむやになってしまいました。
「去江与司厳選詩集」というページに載っている詩の多くは、この明治大学図書館で書かれたものです。そもそもどうしても明治大学に行きたかった理由の一つが、詩人の田村隆一の母校ということだったので、田村隆一を始め、国内外の様々な詩を読んでいました。だから今読み返しても、明らかに「こいつ詩を勉強してるなあ」ということが客観的にわかる詩ばかり書いてるんですね。インスピレーションよりも、学習能力で勝負している。

明治大学では、中島敦、泉鏡花、芥川龍之介、村上春樹について研究しました。研究っていっても大したことはやっていないですけれど、取り敢えず全作品を読んで、手に入る限りの論文に目を通すというのは普通のこととしてやっていましたね。演劇は主専攻ではなかったのですけれど、シェイクスピアの戯曲の授業などは取っていましたから研究書なんかもそこそこ読んでいました。あとアリストテレスの『詩学』は必読書でした。内容を把握するのは困難でしたけれど。

明治大学駿河台校舎の図書室はいつ行っても満員で、席がなかなか探せない時もあるのですが、みんな何をやっているのかというと、就職のためのお勉強なんですね。学問をやっている人はほとんどいない。大学ってどこでもそういうものなのかも知れないですけれど、ちょっと幻滅もしました。

今の明治大学駿河台校舎の図書館は、リバティタワーの1階と地下にあって、こんなに立派である必要があるのかというほど立派になっています。でも無機的な感じがして余り好きになれませんでした。
私達が明治大学に通っていた頃の図書館は、開架スペースがそれほど広くはありませんでしたが(それでも街の図書館よりは広い)、温かみがありましたね。閲覧スペースは記念館の真裏で、壁の装飾は明治大学記念館が出来た当時に流行っていたアール・デコ調でした。音楽サークルの音はうるさかったですけれど、閲覧室内部のアカデミックな雰囲気は好きでしたね。

京都造形芸術大学の図書館は蔵書が少なすぎ。今は、京都府立図書館に調べ物で通うことがありますが、あそこも開架スペースは狭いです。武田五一設計の外観はファサード保存されていて、雰囲気はいいんですけれど。

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