雨降り
雨は降る。穏やかな降りでは決してない。それでもまだ大したことはない。僕には傘があり、雨宿りできる場所がある。
あの日僕らはどしゃ降りの中にあった。余りにも激しい降りで、数メートル先も霞んで見えず、雨粒は容赦なく我々の目を打った。
雨は我々の体の内側を濡らし、血に混じり、血を薄め、前頭葉を麻痺させた。
今日もまた雨が降る。まだ大したことはない。
雨が家を流し、人を流し、都市を流す。知識として僕はそうしたことが実際にあったことを知っていて、そうであるが故に、僕は僕だけで完結は出来なくなった。
でも今は僕には傘があり、雨宿りできる場所がある。これは決して当たり前のことではないのだけれど、それに対して敏感であり続けられている。
僕は僕だけに完結していないだけに、外にある。外では誰のためにでもなく雨が降っている。
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