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2008年4月10日 (木)

イ・ヨンエ 『とても大切な愛』

韓国を代表する女優の一人、イ・ヨンエ(李英愛)が2001年に書いたエッセイ『とても大切な愛』(二見書房。ブッキング)を紹介します。2002年に日本版が発行され、いったんは絶版になりますが、現在では復刻版が出ています。日本語訳:キム・ヨンヒ&加藤泉。

イ・ヨンエ 『とても大切な愛』

「宮廷女官チャングムの誓い」に主演し、日本でも抜群の知名度を誇るイ・ヨンエ。「酸素のような女性」というキャッチコピーを持ち、日本では「韓国の吉永小百合」ともいわれる清楚なイメージを持つイ・ヨンエ。しかし、彼女自身は外見よりも内面を重視し、よき女優であるための高い志と強い意志を持っていることがこの本からは伝わってきます。

タイトルでもある「とても大切な愛」は、イ・ヨンエ自身が司会を務めていたテレビ番組から取られたもの。「とても大切な愛」は、有名なミュージシャンをゲストに招き、恵まれない韓国の子供達の現状を紹介して寄付を募るという番組だそうで、下手をすると偽善っぽくなってしまう危険を孕んでいるように思えるのですが、イ・ヨンエの紹介によると、とても感動的で良い番組になったとのこと。
それが嘘でないことは、彼女自身の「幸せ」に関する考えを読んでもわかります。

今でも、誰か助けを求めている人がいたら、目を背けてはいけないという思いは、昔と少しも変わらない。「ともに分かち合う人生」とは、個々の性格にかかわらず心がけによって実現するものだと思うからだ。私が不幸だと周囲の人たちも幸せになれないように、周囲の人たちが不幸なら、私もけっして幸せにはなれない。

いつの間にか新自由主義が幅を利かせ、自己実現と個の幸福ばかりが叫ばれる世の中にあって、分かち合う愛の大切さを忘れようとしない彼女の信念の強さに心を打たれます。

イ・ヨンエの生い立ち、オードリー・ヘップバーンやチャールズ・チャップリンといった彼女が尊敬する映画人について、趣味の登山、アフリカでの活動や、ヨーロッパ旅行記なども収録されており、イ・ヨンエという女優と、韓国映画やドラマの魅力も味わうことの出来る一冊です。

イ ヨンエ/とても大切な愛

イ・ヨンエ(李英愛) 『とても大切な愛』 紀伊國屋書店BookWeb

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