駄作でも私が振れば ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 チャイコフスキー「1812年」ほか
ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が、チャイコフスキーの序曲「1812年」と「スラヴ行進曲」、ベートーヴェンの「ウェリントンの勝利(戦争交響曲)」をレコーディングしたCD。3曲とも祝祭的な曲ですが、駄作という評価が定着していることでも有名。
ベートーヴェンの「ウェリントンの勝利」は、イギリスのウェリントン公がナポレオンに勝ったことを記念し、メトロノームを作ったことでも知られる知人のメルツェルの依頼で書かれたものですが、ベートーヴェンは余り気乗りがしなかったのか、メルツェルにも作曲を手伝わせて、のちに著作権問題の訴訟にまで発展しています。
チャイコフスキーの2曲も祝典用に書かれたためか、かなり媚びた感じを受けます。
そんな3曲を、実は傑作であるとして取り上げたのがマゼール。どこまで本気で傑作と考えているのかはわかりませんが、ウィーン・フィルを使ってこれらの曲を演奏するという贅沢な試みに出ました。ソニー・クラシカルからの発売。
「1812年」では大砲の実音を、「ウェリントンの勝利」ではライフルの音を使用。「1812年」では更に合唱まで加えて華を添えます。
「スラヴ行進曲」は速めのテンポを採用し、攻撃的な演奏を聴かせています。
しかし、そういったことをわざわざしているということは、普通の演奏では聴かせられないような作品であるとマゼールが考えていることを実は暴露してしまっているような……。
ともかく、これらの曲の演奏としてはトップクラスのものが揃っているのは間違いなく、マゼールという指揮者の資質(良いものも悪いものも)を知る上でも重要な録音です。
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