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2008年8月26日 (火)

コンサートの記(17) パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団来日公演2008・大阪

2008年5月30日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

大阪へ。フェスティバールホールで、パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団の来日公演を聴く。午後7時開演。

曲目は、エレーヌ・グリモーをソリストに迎えたベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」と、ブラームスの交響曲第2番。

パーヴォ・ヤルヴィ指揮の演奏会は、昨年、一昨年と聴いているが、昨年は横浜で、一昨年は名古屋で聴いている。関西で聴くのはこれが初めて。また、昨年、一昨年ともにドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンの率いての来日であり、フランクフルト放送交響楽団とのコンビを聴くのはこれが初めてである。

エリアフ・インバルとの「マーラー交響曲全集」と「ブルックナー交響曲全集」で有名になったフランクフルト放送交響楽団は、その名の通り、ドイツの経済の中心であり、文豪ゲーテの故郷としても知られるフランクフルト・アム・マインに本拠地を置くオーケストラ。現在の正式名称はHR交響楽団(HRとはヘッセン放送のこと)。まるで三谷幸喜脚本・演出のドラマ用のオーケストラのようだ。最近では、パーヴォの前任者であるヒュー・ウルフの指揮で脳天気なほどに明るいベートーヴェンのCDをリリースしている。

ピアノソロのエレーヌ・グリモーは、フランスの美貌の天才女性ピアニストとして知られる。ラヴェルのピアノ協奏曲(ヘスス・ロペス・コボス指揮盤とデイヴィッド・ジンマン指揮盤の2種類がある)や、ロベルト・シューマンのピアノ協奏曲のCDで史上屈指の名演を繰り広げている。

ただ、この人、結構な変人でもある。子供の頃は自傷行為を繰り返す問題児で、現在は何故か狼の研究者としても活躍していたりする。ディスコグラフィーを見る限り、レパートリーも余り広くないようだ。

で、そのグリモーとパーヴォ指揮フランクフルト放送交響楽団による「皇帝」であるが、予想を遙かに超えて良かった。

グリモーのピアノは「アイボリー・トーン」と名付けたらよいのか、独特の気品と温かさを兼ね備えた独特の音色を持ち、テクニックも冴えている。ピアニッシモも単に弱いだけでなく、湖の水面を揺らす風の調べのような詩的なイメージを喚起させる。余談だが、パーヴォ・ヤルヴィの「ヤルヴィ」とはエストニア語で(そしてフィンランド語でも)「湖」という意味である。本当に余談でした。

パーヴォ・ヤルヴィの指揮は、ちょっとした動きでさえもオーケストラに音楽として伝わっている。パーヴォの体の動きの通りに音楽が生まれるのだ。これは凄い。カルロス・クライバー亡き後、最高のバトンテクニックの持ち主はパーヴォかも知れない。

「皇帝」の第2楽章。パーヴォは極端に弱く、しかし多彩な音色を塗り重ねて拡がりのある音空間を作り上げる。そして続くグリモーのピアノもパーヴォに負けじとピアニッシモで豊かな音楽を紡いでいく。力のある音楽家同士の共演により、より高い次元の音楽が生まれていく。これがライブの良さだ。

後半、ブラームスの交響曲第2番。フランクフルト放送交響楽団の爽やかな音色が印象的。しかもただ爽やかなだけでなく濃密である。初夏の森の香りのようだ。
オーボエがリード作りに失敗したのか、たまに音が抜けていたが、さほどの傷ではない。

パーヴォの指揮はリズム感が抜群。リズム感に関しては、録音を含めた過去の演奏の中でもトップクラスだろう。

フランクフルト放送交響楽団の奏者達は集中力が凄い。2階席の上の方で聴いていたけど、そこまでも気合いがバンバン伝わってくる。

アンコールは3曲。まずはブラームスの「ハンガリー舞曲集」より第5番と第6番。これも音こそ軽めであったが、パーヴォのリズム感がものをいって、個性溢れる演奏になっていた。

そしてパーヴォのアンコール曲といえば、待ってましたの「悲しきワルツ」(シベリウス)。今日もあの、遙か彼方から響いてくるような超絶のピアニシモを聴くことが出来た。良かった。

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