2008年7月24日 ザ・シンフォニーホールで
午後7時から、ザ・シンフォニーホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の第420回定期演奏会に接する。今日の指揮者は、1968年生まれの若手、アレクサンダー・リープライヒ。
曲目は、ハイドンの交響曲第39番、おなじくハイドンのトランペット協奏曲(トランペット独奏:フランシスコ・フローレス)、アンドレ・ジョリヴェの「トランペット、弦楽とピアノのための小協奏曲」(トランペットは引き続きフランシスコ・フローレス。ピアノは浦壁信二)、マーラーの交響曲第4番(ソプラノ独唱:天羽明惠)。
アレクサンダー・リープライヒはドイツ・バイエルン州のレーゲンスブルクの生まれ。今年40歳、下野竜也と同い年である。1996年にコンドラシン指揮者コンクール(1984年の第1回大会で広上淳一が優勝したコンクールである)に入賞し、以後は、エド・デ・ワールトのアシスタントを務め、1997年にデ・ワールトの代役として本格的に指揮者デビューを飾ったという。デ・ワールトの他に、サー・コリン・デイヴィス、ロベルト・アバド、チョン・ミョンフン、イリヤ・ムーシンなどに師事。クラウディオ・アバドの招きでザルツブルク音楽祭のベルリン・フィルのオペラプログラムに参加し、現在はミュンヘン室内管弦楽団の首席指揮者・芸術監督のポジションにあるという。
リープライヒ登場。「格好ええなあ」と思う。容姿の良い指揮者なんていくらでもいるけれど、リープライヒは指揮者というよりは映画俳優のよう。上下共に黒の衣装に濃いグレーのジャケットという格好も俳優のようだ。
長身で、タクトを持つというよりは持ち手(通常はコルクがついている部分)を掌の中心で掴むようにして握るリープライヒ。肘から先の動きで拍を刻む動作が多く、時には手首だけでビートを刻んでみせる。また左手を多用し、インスピレーションを奏者に送る術に長けている。
ハイドンの交響曲第39番では、「これがあのもっさりした大フィルか」と思うほどしなやかな音をオーケストラから引きだし、緩急も自在。疾風怒濤期の第1作とされる交響曲第39番の性格を的確に描き出す。
リープライヒは、ハイドンのトランペット協奏曲では、交響曲の時は全く違った温かな響きを大フィルから出した。更に、ジョリヴェ作品でも、マーラーでもそれぞれ異なる音を響かせた。全くといっていいほど情報のなかった指揮者だが、これは逸材だ。
名指揮者と名オーケストラによる名演奏を楽しむのもコンサートの良さだけれど、無名の逸材を発見するのもコンサートに通う醍醐味である。
ハイドンのトランペット協奏曲とジョリヴェの「トランペット、弦楽とピアノのための小協奏曲」でソリストを務めるフランシスコ・フローレスは、1981年生まれ。シモン・ボリバル・ユース・オーケストラのメンバーでもあるということで、グスターボ・ドゥダメルと一緒に仕事をしている人のようだ。
フローレスのトランペットは音色がとにかく輝かしい。燦々という言葉がもっとも似合う太陽のような音色だ。テクニックも相当なもの(たまに怪しい場面もあったが)。
ジョリヴェの「トランペット、弦楽とピアノのための小協奏曲」は、リズミカルで陽気な曲。トランペッターにとっては難曲中の難曲だという。ミュートも3種類を用いている。
しかし、技巧面は置いて、曲調に耳を澄ませると、この曲からジャズ、そしてロックへは一直線に繋がっていることがわかる。
アンドレ・ジョリヴェは1905年に生まれ、1974年に亡くなったフランスの作曲家。CM音楽なども手掛けたという幅の広い作曲活動を行った人であるが、彼の生きた時代を彩った数々の音楽をこの一曲から聴き取ることが出来る。
メインであるマーラーの交響曲第4番。
編成が大きくなったことでリープライヒの統率力が落ちたように最初は感じたが、この人は冒頭は自然に入って結末に向けて精度を上げていくタイプであることがわかった。4つの楽章全てがそうだったからだ。特に各楽章の最後の音は気持ちよいぐらいビシッと決まる。
森麻季や幸田浩子の陰に隠れている感じがあるが、天羽明惠も日本期待の若手ソプラノ。柔らかな歌声が心地良かった。
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