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2008年11月18日 (火)

コンサートの記(26) 大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第419回定期演奏会

2008年6月12日 ザ・シンフォニーホールにて

午後7時から、大阪のザ・シンフォニーホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の第419回定期演奏会を聴く。音楽監督である大植英次の指揮。

曲目は、ヴォーン=ウィリアムズの「タリスの主題による変奏曲」、ダニエル・ホープをソリストに迎えてのブリテンのヴァイオリン協奏曲、エルガーの「エニグマ変奏曲」という、オール・イギリス・プログラム。かなり地味である。

今日も客席は良く埋まっていたが、プログラムが地味であるということもあってか、さすがに満員にはならなかった。というより、そもそも大植の指揮でなかったら、このプログラムでは客は入らなかっただろう。大植だから組めたプログラムであるともいえる。

地味なプログラムではあるが、曲の内容は充実しており、大植指揮の大阪フィル(大フィル)も優れた演奏を聴かせる。

弦楽による、「タリスの主題による変奏曲」。ヴォーン=ウィリアムズの指示通り、本体の弦楽パートとは別に、小編成の弦楽オーケストラを舞台端に配しての演奏である。

大植は指揮棒を持たずに登場。一曲まるごとノンタクトで振る大植を見るのは初めてである。

大フィルの弦楽パートは、キレがもっとあると最高なのだが、ハーモニーは美しく、舞台端の別働隊への音の切り替えも的確に効果的に行われていた。


ブリテンのヴァイオリン協奏曲。クラシックの作曲家としては英国史上唯一の天才ともいうべき、ベンジャミン・ブリテンのヴァイオリン協奏曲は、高度な作曲能力が現れている変幻自在の名曲。

ダニエル・ホープは、私と同じ1974年生まれの、イギリスのヴァイオリニスト。

ダニエル・ホープのヴァイオリンは、曲の性格のためかも知れないが線は細めなものの滑らかな音を出す。

大植指揮の大フィルの響きも充実していた。

アンコール曲(ホープ自身が英語と日本語で曲名を言ったが聞き取れなかった)でホープは超絶技巧を披露。聴衆を沸かす。

エルガーの「エニグマ変奏曲」。大植の師であるレナード・バーンスタインがBBC交響楽団を振った時のエニグマのように、超スローテンポで開始。だが弛むことはなく、演奏の密度は濃い。ノーブルというには情熱が勝った感じだが、表現としては大変優れている。

大フィルのアンサンブルも小さなミスが2つ3つあった程度で、後は盤石の出来。音自体も輝かしく、瞬発力がある。ピアニシモが本当に美しいのも印象的。

この曲での大植の指揮は、指揮棒の振り幅を最小限にとどめたり、いつも細かな表情をつける時に使う左手を多用したりと動き自体が多様である。

曲目こそ地味目であったが、大植と大フィルの演奏会としても最上の部類に入るコンサートであった。

大植もさぞかし満足なのではないかと思っていたが、果たして大植は指揮台の上で何度もガッツポーズを見せるなど、自信満々であった。

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