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2008年11月 3日 (月)

観劇公演パンフレット(34) 「幕末純情伝」2008

つかこへいの代表作、「幕末純情伝」の2008年公演(石原さとみ、真琴つばさ主演)のパンフレットを紹介します。
2008年8月30日、京都四条南座にて購入。

「幕末純情伝」2008公演パンフレット パンフレットには、つかこうへいからのメッセージ、出演者へのインタビュー、マキノノゾミや横内謙介、羽原大介、秦建日子ら演劇人による寄稿、蓮見正幸や木俣冬によるつかこうへい作品の解説、京都の新選組ゆかりの名所紹介などが載っています。

「幕末純情伝」2008概要と感想

午後5時から、四条南座で「幕末純情伝」を観る。作・演出:つかこうへい。1989年に初演された、つかの代表作の一つ。タイトル通り、幕末の京都を舞台とした作品で、新選組の沖田総司は女だったという奇抜な発想からなる芝居である。

つかの代表作だけに、有名俳優陣によって何度も上演されている「幕末純情伝」であるが、今回の上演は、つか自身が18年ぶりに演出も手掛けるというのが見所。更に、沖田総司だけでなく、坂本龍馬も女であったという設定に変わり、奇抜さを増している。

キャストは、沖田総司に石原さとみ、坂本龍馬に真琴つばさ、近藤勇に山崎銀之丞、土方歳三役に何故か矢部太郎、高杉晋作役は吉沢悠、その他に舘形比呂一、橘大五郎、宇都宮雅代、早坂実、清家利一、若林ケンなどが出演。

実際の新選組も観劇に訪れたことがわかっている四条南座(「仮名手本忠臣蔵」が上演された時には、下っ端の隊士数名が舞台上に駆け上がって芝居を中断させるという事件も起こしている)で、新選組の芝居を観るというのは実にいいものだ。

幕末が舞台ではあるが、憲法第九条や、女性も参加できる普通選挙、アジア・太平洋戦争時の沖縄戦などの話を盛り込んでいる。

幕末。どうしようもなく駄目な人達を救うために隊士として向かい入れ、新選組を作った近藤勇(山崎銀之丞)は、将来の妻にするために女の赤子を貰い受ける。その女の赤子こそが後の沖田総司(石原さとみ)であった。沖田は赤子の頃から労咳(結核)を煩っている。

史実では新選組が京にいたのは僅かに5年であるが、芝居なので、それよりずっと長く京都にいた結果、沖田は成人して人を斬る女になった。新選組の他の隊士達は、みな刀を売ってしまったり人にあげたりしているので、新選組の隊士の中で刀を持っているのは近藤と沖田だけ。人を斬るのは専ら沖田の役目であった。

そんな沖田が、祇園祭の日に出会った坂本龍馬(真琴つばさ)に一目惚れ。坂本は憲法第九条死守や普通選挙の実施のために奔走しており、来るべき次の時代の年号を「自由」にしようと決めていた……。

卑語、差別語などを飛ばしながら、沖縄戦に散った人々、女性、病人、第三世界の人々など、弱い立場にある人達の視点にも立っているという、いかにもつからしい演出である。

慈しみ、育てるのは女。だから今回の坂本龍馬は女である真琴つばさが演じたのだろう。来るべき時代に必要なのは包み込むような優しさ。真琴つばさ演じる坂本龍馬はだからこそ女性も参政権を持つ時代を作ろうとするのであろう。

沖田総司を演じる石原さとみが何だかんだで実に可憐なのが良い。近藤勇役の山崎銀之丞、土方歳三役の矢部太郎も良い味を出しており、坂本龍馬を演じる真琴つばさも格好いい。

セリフが、叫びにも似た鋭い声により猛烈な早口で語られるので、何を言っているのかわからないところも多く、いかにもつかこうへいの芝居といった趣。それでも感動するし、悲劇的なラストの感銘は圧倒的であった(ドラクロアの絵画が元になった絵が垂れ幕に描かれ、絶大な効果を上げている。ドラクロアの何という絵がモチーフになったのかは、いわずともわかるはずなので敢えて書かない)。

カーテンコールで披露されたダンスも豪華でクールで、エンターテインメントの精神に溢れていた。

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受信: 2008年12月30日 (火) 19時23分

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