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2008年12月27日 (土)

観劇感想精選(59) 文学座 「シラノ・ド・ベルジュラック」

2006年11月1日 兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター中ホールにて観劇

午後7時より、西宮の兵庫県立芸術文化センター中ホールで、文学座の公演「シラノ・ド・ベルジュラック」を観る。エドモン・ロスタン作、辰野隆・鈴木信太郎:翻訳、鵜山仁:演出。出演は江守徹、高橋礼恵、浅野雅博ほか。
実在のフランスの小説家・詩人のシラノ・ド・ベルジュラックの生涯をエドモン・ロスタンが戯曲化した。

17世紀のパリ。文才に秀で、剣術の才にも恵まれたシラノ・ド・ベルジュラック(江守徹)。しかし鼻が異様に大きいという容貌のため、恋愛には恵まれなかった。

シラノが愛したのは従妹であるロクサアヌ(高橋礼恵)。しかし容貌の醜さを自覚しているため恋心を打ち明けることが出来ない。

ある日シラノは、ロクサアヌがシラノの所属するガスコン青年隊に入隊したばかりの美青年クリスチャン(浅野雅博)に夢中であることを知る。一方のクリスチャンもロクサアヌに惚れていて相思相愛。シラノは落胆する。

ロクサアヌに一目惚れされたクリスチャンであるが、実は話術や文才に著しく欠けている。このままではロクサアヌに嫌われることは必至。ロクサアヌの幸せを願うシラノはクリスチャンのために恋文を代筆し、闇夜に乗じて愛の告白をも受け持つ。ロクサアヌとクリスチャンは結婚。シラノも、これでいいのだと思う。

しかし、ロクサアヌに横恋慕しているド・ギッシュ伯爵は恋路に敗れた腹いせから、クリスチャンとシラノの所属するガスコン青年隊を戦地に派遣することを決めてしまう。クリスチャンに戦場から手紙を送って欲しいと頼むロクサアヌ。勿論、戦場からの手紙もシラノが代筆することになる。

スペイン軍との戦い。兵糧は尽き、ガスコン青年隊の所属するフランス軍の戦況は不利だ。そこへ、ロクサアヌがやってくる。シラノが代筆したクリスチャンの手紙に感動したロクサアヌはいてもたってもいられず、兵糧を持って戦地に駆けつけたのだ。
再会を喜ぶクリスチャンとロクサアヌ。しかしそれも束の間、クリスチャンは銃弾に倒れる。戦死する直前、クリスチャンはシラノに、手紙の差出人の正体をロクサアヌに明かすよう告げる。しかし、シラノはロクサアヌに事実を告げることはなく…。

エドモン・ロスタンが1897年に発表した「シラノ・ド・ベルジュラック」。当然、戯曲のスタイルは現在のそれとは大きく異なっており、展開も直線的ではない。複雑な話ではないのだが、説明のために色々寄り道をするため、15分の休憩時間を含めて上演時間3時間20分の大作になっている。

序章ともいうべきシーンが今日の視点からすると異様に長い。まるでバルザックの小説のようだ。しかも肝心の主役であるシラノがなかなか登場しない。妙な印象を受けるが、例えばトルストイの小説「アンナ・カレーニナ」も、タイトルにまでなっている主役のアンナ・カレーニナがなかなか登場しないことで知られる。当時はこういったスタイルも普通だったのだろう。

新劇ということで、発音のスタイルが普段接している劇とは異なるため、最初のうちは戸惑ったが直に慣れる。多少堅苦しさを感じさせる演技スタイルではあったが、役者陣の水準は総じて高く(最高ではなかったが)、さすがは文学座、と思わせる。江守徹も絶好調ではないようだが、長ゼリフで見せた妙技、存在感の確かさなど、納得のいく演技であった。

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