アンドリュー・ワイエスのような冬 1991年のこと
おそらく1991年の2月3日前後だったと思いますが、当時私が住んでいた千葉市に大雪が降りました。
千葉という所は、東京からほど近いものの、雪は東京に比べても余り降りません。東京都心で10センチを超える積雪があっても千葉は3センチ程度というのが良くあるパターンです。
しかし、1991年の冬には千葉にも雪が降りました。私はちょうど今と同じように風邪を引いていて、寝ていました。学校は休みました。
比較的重い風邪で、余り起き上がれなかったのですが、治りかけた頃にようやく起き上がって、私の寝室のあった2階の窓から外を覗くと、200mほど先にある野球場のフェンス代わりとして、土地を10m近く掘り下げた斜面があり、そこに普段は芝生が植えられていたのですが、雪に交じり、芝生のか細い指が空しく天を指しているように見えました。
「アンドリュー・ワイエスの絵に似たような景色があったなあ」と当時思ったのを憶えています。ただ、後で調べてみたところ、ワイエスの絵で雪と芝をモチーフにしたものはいくつもありましたが、ずばりこれに似ているというものはなかったのですが。
しかし、今でも私は、雪をモチーフにしたワイエスの絵を見ると、なぜか1991年2月の雪の日のことを思い出してしまいます。
ワイエスは、子供の頃、医者に「早世する」と宣告され、その後、ワイエスの絵には死のモチーフが紛れ込むようになります。死に結びついたワイエスの冬。1991年に引いた風邪が、高校時代の風邪の中で最も重かったからでしょうか。意識が朦朧としたこともあったので。しかし、死に至ることもあるとはいえ、風邪は風邪という気もします。
あるいは、その当時の私が感じていた年齢相応の生きにくさが、ワイエスの絵とどこかしらで結びついていたからなのでしょうか。
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