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2009年3月 6日 (金)

観劇感想精選(65) 「ドレッサー」

2005年9月16日 シアター・ドラマシティにて観劇

大阪へ。シアター・ドラマシティで「ドレッサー」を観るためだ。

「ドレッサー」は、『戦場のピアニスト』で知られる南アフリカ出身の劇作家、ロナルド・ハーウッドの作品。演出は鈴木勝秀。
出演は西村雅彦、平幹二郎、松田美由紀ほか。
西村雅彦は私が最も好きな舞台俳優の一人だが、彼の舞台を生で観るのは4年ぶりである。

第二次大戦下のロンドンが舞台。毎夜毎夜ドイツ軍による空襲がある。そんな中で、ある劇団が毎日のように日替わり演目でシェークスピア劇を演じていた。今夜のプログラムは『リア王』。しかし高齢の座長(平幹二郎)は病気で入院。舞台の幕が上がるかどうか難しい中、ドレッサー(衣装係兼付き人)のノーマン(西村雅彦)と座長夫人(松田美由紀)が座長について話している。ノーマンは座長のお気に入りで、ノーマンも座長が好きだ。一方、座長夫人(実は籍は入れていない)は座長の病状を心配しているが、夫の傲慢ぶりに呆れ気味でもある。

ノーマンが座長について語るかなり長いせりふがある。英語だとそうでもないのだろうが、日本語でやると奇異に映る。
この長ぜりふの場面での西村の演技はノーマンの小心ぶりを強調しすぎた感じで、本来の西村が得意とする「傲慢で小心な男」の、傲慢な面があまり生きていないようだ。翻訳劇独特の口調での長ぜりふはやはり難しく、言葉に気を取られたということもあるのだろう。

座長は勝手に病院を抜け出して楽屋にやって来る。しかし、リア王を演じられるのかどうか微妙な状態であり…。

バックステージものであるが、本番の舞台裏を描いた切迫感より、人間ドラマに重点が置かれている。ただ、翻訳物の常で、外国人が持つ特性を、海外で生活したことのない私などはよく知らないので、部分的にわかりにくいところがある。映画なら本物の外国人が演じるので、ちょっとした仕草でわかる場合があるのだが、当然ながら日本人の俳優にそれを望むのは酷である。
また人間心理の奥行きは出ていたと思うが、心情吐露が多すぎて、物語の展開の妙が犠牲になったきらいがある。

平幹二郎は、座長の偏屈ぶりを上手く演じている。貫禄もある。意外性がないのが物足りないが、ベストなキャスティングであろう。

ラストは暗いが、軽さもある。今日は軽さの方に重心が行ってしまって、事態の深刻さが伝わってこないもどかしさもあったが、座長を愛するが故に平気で悪態もつけ、強がりを言うが実は脆いノーマンという男を、西村は的確に把握し、演じていた。

翻訳劇だけに、先に書いた理由で作品自体はあまり楽しめなかったが、西村雅彦と平幹二郎の掛け合いは見物であった。

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