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2009年5月30日 (土)

観劇感想精選(71) 「SISTERS」

2008年8月20日 大阪・茶屋町のシアター・ドラマシティにて観劇

午後7時から、大阪の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、「SISTERS」を観劇。作・演出:長塚圭史、出演:松たか子、鈴木杏、吉田鋼太郎、田中哲司、中村まこと、梅沢昌代。

とある古ぼけたホテルが舞台。ホテルのオーナーの三田村(中村まこと)の幼なじみで、現在はビストロのシェフをやっている尾崎(田中哲司)は、自殺したホテルの料理人の代わりに、ホテルのメニューを整えてくれるよう三田村から頼まれ、新妻の馨(松たか子)とともにやって来る。

件のホテルの一室には、子供向けの冒険小説を書いている作家の神城礼二(吉田鋼太郎)が娘の美鳥(鈴木杏)とともに暮らしている。この親子の関係が奇妙であり……。

自殺した料理人というのは、実は神城礼二の妹で三田村の妻であった操子。操子がなぜ突然自殺したのかは謎である。

操子の友人でもあった、ホテルの使用人の真田稔子(梅沢昌代)は、操子の突然の自殺にショックを受けて、精神に変調を来している。

馨は、ホテルの雰囲気や美鳥の言葉から、封印したはずの記憶が暗闇から手を伸ばし始めているのを感じていた……。

ミステリー形式の部分のある劇で、近親相姦や幼児虐待とそれが生み出す連鎖を題材にした陰惨な作品である。

まずは松たか子の演技が良かった。以前、水野美紀の演技を見たときにも同じようなことを書いたと思うが、今回の松たか子も演じていくというよりは、セリフにしろ動きにしろ、あるべきものがあるべきところに嵌っていくという印象を強く受ける。あらゆることに無駄がないのだ。

そして、熱演している時でも、もう一人の自分が自分をコントロールしているような理知的な面も強く感じた。一歩引いて自分自身を見つめる離見の見というものだろう。これまで色々な芝居を観てきたが、上手い役者ほど舞台上では引いた場所にいながら強い存在感を示す。今日の松たか子もそうだった。逆にいうと、それほど……でない役者ほど前に出たがる。これも共通点である。

「SISTERS」のテーマの選び方には、長塚が演出した「ビューティ・クィーン・オブ・リナーン」の影響が見受けられる。例えば、親子関係などに。

ラスト付近には思い切った仕掛けも待っているが、個人的には、劇の内容よりもその仕掛けの方に意識が行き勝ちだった。かなり耽美的な仕掛けであったが、あそこまで耽美である必要があるのかどうかは疑問。趣味の問題といってしまえばそれまでだが、人間の暗部を思い切って開示するという作劇法同様、最近の演劇の流行に乗っかったような印象も受けてしまうのだ。

とはいえ、松たか子を始めとする出演者の熱演もあって、見応えはあった。

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