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2011年9月 4日 (日)

コンサートの記(69) 大阪国際フェスティバル特別公演 大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団演奏会「マーラー没後100年 ~天上の響き~」

2011年7月28日 兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて

午後7時から、西宮の兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールで、大阪国際フェスティバル特別公演、大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団演奏会「マーラー没後100年 ~天上の響き~」に接する。

大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団演奏会「マーラー没後100年 ~天上の響き~」

大植英次も大阪フィルも兵庫県立芸術文化センターで演奏するのは初めてのはずである。

曲目は、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲、シェーンベルクの「浄夜」、マーラーの交響曲第4番(ソプラノ独唱:ハイディ・エリザベス・マイヤー)。今日のコンサートマスターは長原幸太ではなく、客演首席コンサートマスターの崔文涭。

ティンパニを中央最後列に置いた他は、古典配置に基づいた演奏。大植はモーツァルトとシェーンベルクはノンタクトで振った。

大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏はザ・シンフォニーホールで何回も聴いているので、ザ・シンフォニーホールと兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールの音響を比較するチャンスでもある。

「ドン・ジョヴァンニ」序曲。大植は最初の二つの和音のおどろおどろしさを強調せず、その後も流れ重視の中庸を目指した演奏。純音楽的解釈である。流れ重視というのが実は鍵だったということに後に気付く。

シェーンベルクの「浄夜(浄められた夜)」。シェーンベルクは無調音楽や十二音音楽の始祖として知られるが、彼の最大の人気作であるこの「浄夜」がまだ、彼が無調や十二音音楽に手を出す前の作品であることから、十二音音楽は失敗であったという見方が強い。ただし十二音音楽が完全に否定されたわけではなく、今でも十二音音楽から派生したセリー手法(セリエル手法、シリーズ手法)を用いて作曲するピエール・ブーレーズなどの大物作曲家はいる。

この曲に相応しいしっとりとした音色で演奏開始。モーツァルト同様、流れの良い演奏だが、途中でこれはホールの音響が影響しているのだと気付く。どうも兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールは他のホールよりも音の流れが良いように聞こえるようだ。そのためか大フィルの弦楽の音色が普段よりも淡泊に聞こえる。
大植は途中で、他の演奏では聴かれない極端な加速を行い、どうなることかと心配するが、その後、曲調が変わってグッとテンポを落とした時に、何ともいえない開放感があり、加速が綿密な計算に基づいたものであったことがわかる。弱音の美しさは特筆事項。
兵庫県立芸術文化センター芸術監督の佐渡裕は「自分の良さは弱音の美しさ」と語るが、実演でも録音でも佐渡指揮の弱音が美しいと思ったことはないので、佐渡の勘違いだと思われる。佐渡の良さはやはり爆発力である。

メインであるマーラーの交響曲第4番。冒頭はホールの音響もあって実にクリアで純粋に美しく、夢にあふれている。美演はその後も続き、「天上の響き」というコンサートタイトルが大袈裟に思えなくなる。大阪フィルによるマーラーの交響曲第4番はアレクサンダー・リープライヒ指揮の演奏会を聴いており、即物的な名演だったが、大植のマーラー交響曲第4番はそれよりも大分ロマンティックだ。
なお、大植は譜面台に楽譜を置き、それをめくりながら指揮していたが、そうした演奏をする大植の姿を見るのは初めてなので驚く。これまでも大植が譜面台を用意し、楽譜を置いて指揮する姿は見たことがあるが、楽譜はお守り代わりに置いているだけで、表紙を開くこともなかった。

ソプラノ独唱のハイディ・エリザベス・マイヤーは「リリック、コロラトゥーラの声で高く評価される」とプログラムには載っており、実際、高音は美しかったが、基本的な声域はメゾ・ソプラノに近い。歌唱力はあるが特に美声というわけではないのでオーケストラに負けている印象を受けた。

大阪フィルは目立ったミスもなく、弦、管ともに美しさの限り。大植の解釈も他のマーラーの楽曲演奏で聴かれる異色なものはなく、間違いなく世界レベルでも通用するマーラーであった。

演奏終了後、大植はオーケストラのメンバーを立たせようとするが、奏者達は大植に敬意を表して立とうとせず、大植だけが喝采を浴びた。大植はその後もカーテンコールに応えてオーケストラメンバーを立たせようとするがやはりオケのメンバーは立たず、再び大植だけが客席から祝福される。大フィルのメンバーが二度も立とうとしないのを見るのは初めてで、奏者達も今日の演奏の出来には感服したのだろう。

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