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2012年4月 9日 (月)

コンサートの記(81) 飯森範親指揮 関西フィルハーモニー管弦楽団第236回定期演奏会

2012年3月21日 大阪のザ・シンフォニーホールで

午後7時から、大阪のザ・シンフォニーホールで、関西フィルハーモニー管弦楽団の第236回定期演奏会を聴く。今日の指揮は飯森範親。関西フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会への客演は1995年以来、17年ぶりになるという。

曲目は、ムソルグスキーの交響詩「はげ山の一夜」(原典版)、ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:木嶋真優)、カリンニコフの交響曲第1番。カリンニコフの交響曲第1番を関西フィルは演奏するのは初めてだという。

午後6時40分頃からプレトーク。飯森範親は、今日がムソルグスキーの誕生日であり、そのため、「はげ山の一夜」をプログラミングしたという。
「はげ山の一夜」はリムスキー=コルサコフの管弦楽版で有名だが、ムソルグスキー本人のオーケストレーションによる原典版はロシア五人組の筆頭格であるバラキレフから酷評され、ムソルグスキーの生前には演奏されることがなかったという。

ハチャトゥリアンはグルジアの生まれ育ちだが、関西フィルのコンサートマスターのギオルギ・バビアゼがグルジア人だということで、飯森もバビアゼに示唆を受けること大であったという。

カリンニコフは、35歳の誕生日を目前に、満34歳で早世した作曲家であり、生涯、自分で金銭を稼ぐことがなく、貧困のうちに亡くなったという。チャイコフスキーの推薦を受けて、マールイ劇場の指揮者に就任することが決まっていたというが、着任直前に結核に倒れ、不運のうちに世を去った。しかし、彼の交響曲第1番は非常に明るい作風であると飯森は述べる。

 

ムソルグスキーの交響詩「はげ山の一夜」(原典版)。リムスキー=コルサコフ版に比べるとグロテスクで、ピッコロや打楽器、金管などが活躍する。筋書きもリムスキー=コルサコフ版によるわかりやすいものではない。
飯森の指揮する関西フィルはエネルギッシュ。普段は薄味の響きを出すこのオーケストラが輪郭のはっきりした音を奏でる。

ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。ソリストの木嶋真優の実演には2度ほど接しているが、それほどいい印象は受けなかった。だが、今回は、リズミカルな曲調をよく把握した、力強い演奏を繰り広げる。高音の美しさは相変わらずだが、今日は高い音以外も美しい。難をいうと、やや線が細いが、これも今後は解結されていくだろう。
飯森の指揮する関フィルも独特の曲調を巧みに表現する。

メインのカリンニコフの交響曲第1番。佳曲でありながら、あまり演奏されない曲である。今日は関西フィルの首席指揮者でる藤岡幸夫が客席に来ていたが(飯森と藤岡は大親友だそうで、プレトークの時に、飯森が藤岡が客席に来ていることを知らせ、藤岡を見つけて手を振る場面があった)、藤岡は以前にインタビューでカリンニコフの交響曲第1番という曲を知らないと述べていたことがある。
この曲はネーメ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の演奏によるCDで知られるようになり、テオドル・クチャル指揮ウクライナ国立交響楽団のCDがヒットして世界的に有名になった曲である。

飯森の指揮する関西フィルはこの曲を巧みに演奏する。今日の関西フィルはいつも以上に燃えているようだ。飯森の作る音楽は端正で美しく、バランス感覚にも長けている。秀演という言葉がピッタリくる。

優れた演奏会であった。

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