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2012年4月12日 (木)

観劇感想精選(95) 「クレイジーハニー」

2011年9月14日 名古屋の名鉄ホールにて観劇

午後1時から名鉄百貨店本館の10階にある名鉄ホールで、本谷有希子:作・演出の舞台「クレイジーハニー」を観る。出演:長澤まさみ、成河(ソン・ハ)、安藤玉恵、吉本菜穂子、中野麻衣、坂口辰平、太田信吾、札内幸太、池田大、中泰雅、北川麗、鉢嶺杏奈、加藤諒、清水葉月、リリー・フランキー。

 

長澤まさみとリリー・フランキー主演による舞台。ともに初舞台である。大阪公演も行われており、そのチケットも取ったのだが、都合で見に行けなかった。だが長澤まさみの初舞台はどうしても観ておきたかったので、次善の策として、楽日である名古屋公演のマチネー(ツアー最終公演となる)の券を取った。

 

地下にあるイベントスペースが主舞台。かつてケータイ小説で瑞々しい青春ものを書き、注目を浴びた、ひろみ結城(長澤まさみ)。だが、作風を変え、露悪的な趣味の小説を書くようになった今ではとっくに過去の人である。そんなひろみは、ホモでオカマの格好をし、飲み屋のママをしている甘田真貴(リリー・フランキー)とペアになって、トークイベントを行っている。

そこに集う数少ないひろみのファン。ある日、ひろみは編集者の二見(成河)と組んで、客の実名と発言を取り入れた小説を書くことを宣言。真貴と共に、その場にいたファンに承諾の署名と拇印を求める…

 

役者がいい。特に主演の長澤まさみ。これまで彼女が出演したドラマや映画を観て、「所詮、アイドル女優でしょ」と高をくくっていたのだが、手足が長く、舞台映えがする上に、感情の起伏の激しい役を見事に演じきっており、感心してしまった。これからは見る目を変えなければならないだろう。

 

落ちぶれた作家の哀感やタナトス、作家とファンの関係性の危うさなどがテーマになっており、興味深いが、同じようなテーマが何度も繰り返されるので少し冗長な気がした。休憩なし2時間15分の公演だったが、もう少し縮めて、1時間半の舞台にしたらより良い出来になったかも知れない。

 

人間関係における幻想、ファンに振り回される作家と、作家に一度は共感し、再起させたいファン。世に問うた作品が個々に消化され、すれ違い、ねじ曲がり、無意識に傷つけ合う悲哀。互いの間に生まれた溝を埋めようとする危うさ。小説家でもある本谷有希子の「自意識と自意識の引き裂き合いである世界」観が垣間見えたような舞台であったように思う。

 

カーテンコールでは、作・演出の本谷有希子が登場、挨拶をする。更にリリー・フランキーがスピーチ。爪を伸ばしたり髪型を変えたり生活に支障が出る大変な一ヶ月だったと語る。最後は長澤まさみ。千秋楽ということで涙を流しながら「貴重な時間を過ごせた」と述べた。

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