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2013年3月 1日 (金)

コンサートの記(83) ウラディーミル・フェドセーエフ指揮チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ来日公演2012大阪

2012年10月21日 大阪のザ・シンフォニーホールにて

午後2時から、大阪・福島のザ・シンフォニーホールでウラディーミル・フェドセーエフ指揮チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラの来日公演に接する。フェドセーエフの生誕80年記念公演。

ロシアを代表する指揮者の一人であるウラディミール・フェドセーエフは、ザ・シンフォニーホールを特に愛する演奏家としても知られており、ザ・シンフォニーホール3階ホワイエ(ザ・シンフォニーホール1階席ホワイエ)にはフェドセーエフがザ・シンフォニーホールオープン10周年を記念して寄贈した木彫りによるチャイコフスキーの巨大な肖像画があり、一番良い場所にフェドセーエフの写真(1995年撮影)も飾られている。

私はフェドセーエフ指揮のライブに接するのは初めて。実は大阪フィルハーモニー交響楽団にフェドセーエフが客演する予定があり、楽しみにしてザ・シンフォニーホールまで出かけたのだが、フェドセーエフが急病ということで井上道義が臨時客演した、ということがあった。

ウラディミール・フェドセーエフ指揮チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ日本公演2012パンフレットチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラは、以前はモスクワ放送交響楽団と呼ばれていた楽団であり、その後、チャイコフスキー記念を冠するようになり、現在は英語表記をチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラに変えている。
1974年からフェドセーエフをシェフに戴いており、超長期政権継続中である。

オール・チャイコフスキー・プログラムで、歌劇「エフゲニー・オネーギン」より3つのシンフォニック・パラフレーズ“イントロダクション”“ワルツ”“ポロネーズ”(フェドセーエフ選曲)、幻想的序曲「ロメオとジュリエット」、交響曲第6番「悲愴」。

ロシア型の配置ではなく、ヴァイオリン両翼、下手にチェロ、上手にヴィオラ、中央奥に木管が横一列に並び、その後ろに金管がこれまた横一列に配置され、最後列をコントラバスがまたも横一列に配されている。そしてティンパニ、大太鼓、銅鑼、トライアングル、タンバリンなどの打楽器は舞台上手奥を占めるという独特の配置である。

フェドセーエフとチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラのコンビは、他のロシアのオーケストラに比べると重心が高く、洗練された音楽性を持つことで知られる。

歌劇「エフゲニー・オネーギン」より3つのシンフォニック・パラフレーズ。フェドセーエフは今日は全曲ノンタクトでの指揮である。
チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラは、弦も管も濁りがなく、力はあるが押しつけがましさはない。また強調によって虹のように音色を変化させる技術も巧みだ。
フェドセーエフの指揮は拍を刻むことはほとんどなく、両手を体の前でグルグル回したり、主旋律を担当する楽器を手で示したりする。

幻想的序曲「ロメオとジュリエット」。甘美でありながらロマンティックになりすぎないバランスの取れた演奏であった。

交響曲第6番「悲愴」。
私が高校生の頃だったと思うが、チャイコフスキーの「悲愴」の最終楽章が初演時の倍の時間をかけて演奏されるのが通例となっていることが判明した。チャイコフスキーの追悼演奏会の際に、最終楽章が哀悼の意を込めてゆっくりと演奏され、その際、楽譜に記されたメトロノーム速度がそのまま慣例として演奏されることになってしまったという。
「悲愴」の初稿による演奏を初録音したのが実はフェドセーエフとモスクワ放送交響楽団であったが、初稿よりも速いテンポで演奏された録音が多数あることが判明。その後、「悲愴」最終楽章のテンポが問題になることはなかった。

フェドセーエフとチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラは「端正」という言葉が最もピッタリくる演奏を展開する。といっても杓子定規なものではなく、テンポを動かしたり、同じ音型でも強さを変えたりと、芸が細かい。第3楽章は力強さよりも優雅さを優先し、上流階級のパーティーに参加したかのようなムードを生み出す。
最終楽章では大袈裟な演奏になることを避け、悲しみを聴き手の胸に自然に届ける。

 

アンコールもいずれもチャイコフスキーで、バレエ音楽「くるみ割り人形」より“アラビアの踊り”とバレエ音楽「雪娘」より“道化師の踊り”が演奏される。

 

チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラの楽団員がステージを去り初めても客席の拍手は続き、フェドセーエフはそれに答えて2度登場。なお、2回目に出てきたときはまだステージ上に残っていた団員に「早く戻れ」と手で指示して聴衆の笑いを誘った。

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