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2013年4月19日 (金)

猫町通り通信・鴨東記号 ピエタリ・インキネン指揮日本フィルハーモニー交響楽団 「シベリウス交響曲チクルスⅡ」

サントリーホールで行われるピエタリ・インキネン指揮日本フィルハーモニー交響楽団の「シベリウス交響曲チクルスⅡ」を聴くために東京に向かう。

今日は春にしては肌寒い日であったが、それは東京も同じであった。明日、明後日の東京は更に寒くなるという。体調に気をつけねばなるまい。

ピエタリ・インキネンはフィンランド出身の若手指揮者。1980年生まれだから指揮者としては若手の中でも更に若手の部類に入る。NAXOSから音楽監督を務めているニュージーランド交響楽団を指揮した「シベリウス交響曲全集」をリリースしているが、30歳になるかならないかの指揮者とは思えないほどの完成度を示し、注目を集める存在である。現在、日本フィルハーモニー交響楽団の首席客演指揮者の座にあり、その縁で、日本フィルとしては12年ぶりの「シベリウス交響曲全曲演奏会(チクルス)」に繋がった。ちなみに12年前に「シベリウス交響曲チクルス」を指揮したのは「シベリウス交響曲全集」を2度リリースしているネーメ・ヤルヴィである。

今日は交響曲第4番と第2番という組み合わせ。
交響曲第2番はシベリウスの交響曲の中で最もポピュラーな曲であり、演奏会のプログラムにたびたび載るが、交響曲第4番は完成度は随一ながら、暗い曲調と特殊な音楽性のために、おそらくシベリウスの交響曲の中でも最も演奏される機会の少ない曲だと思われる。この曲の実演を聴くのは私も初めてである。

前半が交響曲第4番、後半が交響曲第2番というプログラム。

インキネンが現れ、指揮台に立って一礼すると、まだ一音も発していないのに「ブラボー!」がかかる。この曲を取り上げてくれた御礼なのだろうか。

演奏する機会が少ないということは当然ながら演奏しなれていないわけで、指揮者、オーケストラともに負担は大きくなる。日フィルはシベリウスを演奏した回数が日本のオーケストラの中で一番多いと思うが、それでも金管、木管ともに完璧とはいかなかった。
一方の弦は透明で切れ味があり、胸が痛くなるような痛切な音楽を表現してみせる。
インキネンは流石に曲調をよく捉えており、おそらく人類史上最も見事に「絶望」を音楽に表した、この特異な交響曲を適度な抑制を持って演奏する。この曲はモーツァルトの二つのト短調やチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」のように思い切った嘆きをしないだけに却って救いようのない曲である。
第2楽章冒頭で、木管が明るすぎたり、第4楽章でインキネンの交通整理が上手く機能しない場面もあったが、全体としては優れた出来であった。

交響曲第2番は模範的な演奏。他のコンビの演奏と比べると、良い意味で鄙びた印象を受ける。シベリウスの音楽は都会の音楽ではなく、大自然の中の音楽なのである。第4楽章は実に明るく、暗い場面があることなど忘れそうになるほどだった。

アンコールは「悲しきワルツ」。しっかりとした演奏であった。

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コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 履歴書の特技 | 2013年5月 8日 (水) 11時04分

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