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2013年5月の5件の記事

2013年5月29日 (水)

有害な名言

歴史上の偉人、成功者、尊敬された人の言葉は名言として後世に残ることが多い。そしてそれは説得力があるように「見える」。
だが冷静に考えてみれば、我々のほとんどは偉人にも成功者にもなれないのだ。偉人の「名言」に唯々諾々と感心したり座右の銘にしたりすることは自意識を膨張させ、却って有害にならないだろうか。
成功者が聖人君子とは限らない。彼らの言葉を受け入れることは彼らの言葉に隷属することにもなり得るのだ。
勝者の言葉を真に受けない方がいい。勝者には元がいかなる善人でも勝者となった瞬間に傲岸が生じる。これは人間として避けられないことである。
本当の名言はいたずらに人を鼓舞したりはしない。むしろ自己を律したりする。名言と暴言は紙一重になることがある。これは意識しておいた方がいい。

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2013年5月26日 (日)

「正しさ」の定理

40年近く生きてきたのに何が正しいのかわからない。そして「正しさ」は幻想なのではないかと思いが深くなる。私の勉強不足なのかも知れない。ただ相対的であっても「正しさ」の正しさにおいてさえも懐疑的になる心は止められない。

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2013年5月17日 (金)

コンサートの記(88) Ryuichi Sakamoto Playing the Orchestra 2013 in Festival Hall

2013年5月7日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

午後7時から、大阪・中之島に再建されたフェスティバルホールで、festival hall オープニングシリーズ「Ryuichi Sakamoto Playing the Orchestra 2013 in Festival Hall」を聴く。2008年暮れに大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団ほかのベートーヴェン「第九」を最後に解体され、同じ場所に再建された新しいフェスティバルホールでの公演である。新しいフェスティバルホールはこの4月に完成したばかり、チョン・ミョンフン指揮フェニーチェ歌劇場の来日公演でこけら落としが行われ、日本の団体による初演奏は大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団ほかによるマーラーの交響曲第2番「復活」であった。「復活」は聴いておきたかったのだが、チケット争奪戦はやはり激しく、聴くことは叶わなかった。ということで、今日は再建後初のフェスティバルホール体験である。

 

新しいフェスティバルホールは、段差が低く、長いレッドカーペットの階段を上ったところに入り口があるのだが、このいわば大階段がお洒落でハレの感じを演出してくれる。

 

今日は3階、天井桟敷での鑑賞。いくら坂本龍一の公演でも良い席は値段が高すぎて食指が動かない。この3階席であるが、視覚優先のためか急傾斜であり、ステージを真上から見ているような錯覚に陥るので、高所恐怖症の人は少し怖く思うかも知れない。

 

大階段を上がったところが1階だが、席があるのは長いエスカレーターを上った先にある2階からであり、建物の2階が1階席という構造である。これはザ・シンフォニーホールや京都コンサートホールと一緒だ。長いエスカレーターは段差が低く、低速度で、お年寄りや子供にも負担がないよう配慮されている。多くの古いホールはトイレが狭いという問題を抱えているが(森ノ宮ピロティホールなどはトイレに関しては落第点である)、新しいフェスティバルホールはトイレは比較的広めである(ただし、兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールよりは立地条件のためか狭い)。

 

3階ホワイエにはかつてのフェスティバルホールで最も使用頻度の多かったスタインウェイのピアノが展示されている。内部には先頃亡くなったヴァン・クライバーンのサインがあるという(写真で紹介)。このピアノを使ったことがあるソリストは、ヴァン・クライバーンを始め、リリー・クラウス、マウリツォ・ポリーニ、マルタ・アルゲリッチ、ブルーノ・レオナルド・ゲルバー、ヴィルヘルム・ケンプ、園田高弘など錚々たる顔ぶれが並ぶ。

 

さて、今回の坂本龍一「Playing the orchestra 2013 in Festival Hall」(アナウンスのお姉さんが「プレイング・ザ・オーケストラ」と言ったのには「???」であったが)であるが、オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。このオーケストラはオペラのピットに入ることも多く、NHKとも繋がりがあるので「名曲アルバム」のためのレコーディングを行っていたり(そのため、今はどうか知らないが以前は、N響からの引き抜きがあったという)、日中関係最悪の昨年に、中国のシンガーソングライター・艾敬(今は画家としての活動がメインになっているようである)の北京でのコンサートのバックを何故か務めていたりと、様々な仕事を請け合うことの多い楽団である。新星日本交響楽団を吸収合併しているが、楽団員、指揮者ともにリストラは行われなかったため、比較的大所帯である。1990年代に突如として「どう考え立った詐称だろう」と思われる「日本最古のオーケストラ」を標榜し始めたが、NHKとの関係が良好なためか、N響から苦情はおそらくなかったのであろう。ということで、現在も日本最古のオーケストラを称している。
「Playing the Orchestra」は、1988年に第1回が行われ、映画「ラストエンペラー」の音楽と坂本のそれまでの代表曲を坂本自身のオーケストラ編曲によるコンサートが開催された。指揮は当時、新進気鋭の若手であった大友直人で、オーケストラは東京交響楽団である。ライヴ録音が行われ、CDは一度廃盤になった後、再発されており、私は再発盤を持っている(現在はまた廃盤になっているようだ)。

 

その後、1997年にも「Playing the Orchestra」コンサートは開催されているようである。坂本は新しいフェスティバルホールの音響について「音も美しくなった」と語った。

 

今回も坂本本人によるオーケストラ編曲がメインだが、「TRACE」、「Afrer All」、「happy end」の3曲は山下洋輔の推薦により挟間美帆が編曲を手掛けている。

 

指揮を務めるのは栗田博文。坂本はピアノと、第1曲である「Kizuna」だけはチェンバロを演奏する。

 

ほぼフル編成のオーケストラによる演奏だが、PAを使っており、フェスティバルホールの本当の音響を知ることは出来なかったが、聴いた限りでは素直でクリアな音のするホールである。内装は、舞台のみ白木で、他の壁や天井はブラウンを基調にしている。座席の色は鮮やかなスカーレット。二人掛けのボックス席も左右両側に4席か5席あるが、今日は全て黒幕が被せられていて未使用である。

 

セットリストは、「Kizuna」、「Still Life」、「solitude」、「美貌の青空」、「Amore」、「castria」、「0322C♯minor」、「TRACE」、「Afrer All」、「happy end」、「bolerish」、「一命」、NHK大河ドラマ「八重の桜」より“八重のテーマ”&“メインテーマ””(なお、坂本はニューヨーク在住のため、手掛けたのはこの2曲だけであり、他の曲は坂本が推薦した中島ノブユキが作曲している。なお、「八重の桜」のオリジナル・サウンドトラックはすで発売されているが、NHK交響楽団とピアノ:坂本龍一、篠笛:福原友裕は、アルファベット表記されているものの、何故か指揮者の尾高忠明の名前はクレジットされていない)
「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas Mr.Lawrence)」
「ラストエンペラー」より“rain(I want to divoce)”&“メインテーマ”

テレビでも、サウンドトラックでも聴いている「八重の桜」メインテーマであるが、生で聴くと背中がゾクゾクする。不思議なものである。

「Still Life」は奏者一人一人が別の旋律を奏でるという、教授が元々は現代音楽作曲家志望だった名残を感じさせる作品である。

「happy end」はYMOの「BGM」に収められた曲だが、坂本曰く「当時は捻くれていたので、シンセサイザーでぐちゃぐちゃにしてよくわからないと言われた」。その後、ピアノソロアルバムにも収められ、メロディー自体はよく知られるようになった曲である。80年代に流行ったミニマル音楽に影響を受けた曲だ(ミニマル音楽の創始者はイギリス人のマイケル・ナイマンであるが、ナイマンが映画「ピアノ・レッスン」の音楽でロマンティックでセンチメンタルな音楽に転向したのが面白くなかったのか、坂本はのちにナイマンのことをこき下ろしている)。

市川海老蔵が主演を務めた映画「一命」のメインテーマは、「海老蔵が主演ということで、話題になるかと思ったら、話題にならなくて。曲はいいものが書けたぞと思ったのだが、映画音楽は映画が評判にならないと評価されないので」と残念そうに言いつつ演奏スタート。途中で立ち上がり、ピアノの鍵盤ではなく、ピアノ線そのものを棒で叩いたり、指で弾いたりする特殊奏法を用いた曲であった。

また、映画「ファムファタル」の音楽である「bolerish」は「ラヴェルの『ボレロ』そっくりの曲を書いてくれ」と監督に言われ、「禁を犯して」書いたとのこと。スネアドラムによるリズム打ちはないが、メロディーは「ボレロ」のそれを少しずらして書かれている。

 

アンコールは2曲。栗田博文ではなく坂本龍一の指揮で(ノンタクト)人気曲である「シェルタリング・スカイ」と「AQUA」の2曲が演奏された。

なお、セットリストは終演後、数カ所に張り出されており、それを見たりケータイのカメラに収めたりするために行列が出来ていた。

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2013年5月15日 (水)

1局だけの地デジ難民

地上デジタルテレビ放送開始から間もなく2年が経とうとしていますが、私の住んでいるアパートの部屋は、10チャンネル(よみうりテレビ)だけが、特に午前中にノイズだらけでほとんど見られないという状態が続いています。ゴールデンタイムはノイズが多少は入りながらも見るに堪え、深夜になるとほぼノイズは入らなくなります。アパートと契約している電気屋さんに見て貰いましたが、このアパートで10チャンネルが入らないのは私の部屋だけだそうです。アンテナを調整して貰いましたが、ノイズは消えませんでした。ブースターを買ってきて着けましたが少しはましになった程度。昼間に10チャンネルを見ることは滅多にないので、問題ないと言えば問題ないのですが、それでも箱根駅伝などは見たくても見られないという状態でしたので、お金はかかりますが、光ケーブルを使ったテレビサービスに加入しました。当然ながら10チャンネルは問題なく映ります。またプロ野球を多く放送しておち、楽しみです。ただ、問題なのは12球団のうち、私が贔屓にしている東京ヤクルトスワローズだけ専門チャンネルがないことです。ビジターは見られるのですが、ホームゲームは見られないことになります。

ちなみにうちの近所の薬局は8チャンネル(関西テレビ)がノイズだらけです。電気屋さんによると京都の一部の地域は地デジに対応するには設備が古すぎるとのことでした。

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2013年5月 1日 (水)

コンサートの記(87) シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団演奏会大阪公演2012

2012年12月17日 NHK大阪ホールにて

午後7時から、大阪・谷町四丁目にあるNHK大阪ホールで、NHK交響楽団大阪公演を聴く。指揮者は、N響名誉音楽監督のシャルル・デュトワ。

 

プログラムは、ラヴェルの「優雅で感傷的なワルツ」(タイトルの訳はプログラムの表記に準拠)、サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番(ピアノ独奏:児玉桃)、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」。

 

関東にいたときは最も多くコンサートに接したシャルル・デュトワとN響のコンビであるが、京都に移住してから聴くのは二度目。前回は千葉への帰省中に東京・渋谷のNHKホールで聴いたので、関西で同コンビの演奏を聴くのは初めてである。関西に来てから、デュトワ指揮のコンサートはチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演を旧フェスティバルホールで、N響はスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮の京都コンサートホールでの演奏会を聴いている。

 

NHK大阪ホールは、NHK大阪局舎内に2001年に出来た多目的ホールで、設計は東京・渋谷にあるN響の本拠地・NHKホールをそのまま小ぶりにした感じである。多目的ホールだけにクラシックのコンサート会場としては音響面が不評で、クラシックのコンサート数自体が少ない。N響はほぼ毎年公演を行っており、日本センチュリー交響楽団も公演予定があるようだが、それ以外はポピュラー音楽の公演が目に付く。海外のオーケストラがここでコンサートを行ったのは、オープン記念に招待された韓国版NHK交響楽団で、NHKと友好関係にあるKBS交響楽団(ドミトリー・キタエンコ指揮)以外にあるのかどうかはわからない。私がNHK大阪ホールで聴いたコンサートはこれまでは全てポピュラーだったので、クラシックの演奏会をここで聴くのは初めてである。

 

なお、局舎の三階にあり、上がるにはエスカレーター二台とエレベーターが一台あるだけなので、開演時と終演後は混雑する。東京・池袋の東京芸術劇場や名古屋・栄の愛知県芸術劇場コンサートホールと同様である。

 

 

 

8年ぶりに接するN響のコンサート。その間にN響のメンバーも大きく変わった。磯辺(クラリネット)、松崎(ホルン)、津堅(トランペット)、百瀬(ティンパニ)などの古参メンバーが消え、若手が多くなったのは当たり前であるが、女性団員が少なくなり、新たに入った若い女性団員になぜか美人が多い。オーケストラの場合、カーテン越しのオーディションが原則なので顔採用は絶対にあり得ない(カーテンの向こうで演奏され、名前も性別も年齢も不明のまま審査される)。たまたま美人系が揃ったのだろうか。あるいは、容姿に自信のある女性奏者がオーケストラ界の東大ともいうべきN響を受けた結果か。

 

一方で、N響の顔となった茂木大輔(首席オーボエ奏者。エッセイストとしても著名で、ドラマ&映画「のだめカンタービレ」の音楽監修を務めたことで一段と知名度が上がった。「のだめカンタービレ」コンサートの主催者の一人でもあり、そこでは念願だった指揮者としても活躍している)、首席チェロ奏者の木越洋、元祖N響の美女・池田昭子(オーボエ奏者)などが健在である。
今日のコンサートマスターは、「マロ」の相性で親しまれている篠崎史紀。N響の普段の定期演奏会とは異なり、チェロが前列に来るアメリカ式現代配置での演奏である。

 

客席には、以前、N響の副指揮者を務めた岩村力も聴衆として座っていた。

 

 

 

「優雅で感傷的なワルツ」。N響の弦はしなやかで管の音も通りが良い。デュトワの指揮も強弱の付け方が絶妙、であったが、やはりホールの音響に問題があるようで、オーケストラの音が乾いて聞こえ、例えばザ・シンフォニーホールならもっと美しく響きはずの音が伝わってこないもどかしさがある。

 

児玉姉妹の妹、児玉桃(姉はピアニストの児玉麻里。児玉麻里が結婚したケント・ナガノは現在、かつてデュトワが長期政権を担ったモントリオール交響楽団の音楽監督である)のソロによる、サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番。ピアノソロによる出だしの後に来るオーケストラの二つの和音がモーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」の冒頭にそっくりである。初演は準備不足のために大失敗だったとされる曲だが、刺激的でなかなか面白い。
児玉桃のピアノは徹底的に磨き抜かれた硬質のもので、技術も表現も盤石である。鍵盤を舐めるような弾き方をするピアニストの対極にあるものだ。
デュトワ指揮のN響の伴奏も力強い。

 

 

 

メインのリムスキー=コルサコフ作曲、交響組曲「シェエラザード」。デュトワの十八番の一つであり、DECCAにモントリオール交響楽団と録音したCDは史上トップランクの名演。デュトワはその後、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した、モントリオール響盤の更に上を行く超名演を録音している。

 

オーケストラの力強さ、また微妙にニュアンスを変えていくデュトワの巧みな音作り。ホールの音響とN響というドイツ音楽に特化し続けたプログラムを長く続けたオーケストラの影響もあって、録音を凌ほどの名演にはならなかったが、ライブとしては十分に納得のいく出来である。

 

アンコールは、チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」から“行進曲”。「くるみ割り人形」はクリスマスを舞台にしたバレエだけに12月の演奏会に選ばれたのだろう。

 

最後に、デュトワはファンにはおなじみになった、客席に向かっての両手バイバイで退場。コンサートはお開きとなった。

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