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2013年8月 9日 (金)

コンサートの記(98) ミラマーレ・オペラ プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」

2013年7月6日 京都芸術劇場春秋座(京都造形芸術大学内)にて

午後5時から、京都芸術劇場春秋座で、プッチーニの歌劇「蝶々夫人」を観る。NPO法人ミラマーレ・オペラによる公演。指揮は関西を中心に主にオペラ指揮者として活動している牧村邦彦(ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団正指揮者)。演出は関西歌劇団の演出家である井原広樹。

ミラマーレ・オペラ プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」

二日間の上演だが、ダブルキャストで、今日と明日とでは出演者が異なる。今日の出演者は、川越塔子(蝶々夫人)、大澤一彰(ピンカートン)、藤山仁志(シャープレス)、相田麻純(スズキ)、浪川佳代(ケイト)、冨田裕貴(ゴロー)、安東玄人(あんどう・げんと。ボンゾ)、松山いくお(神官&ヤマドリ。二役。松山いくおは、NPO法人ミラマーレ・オペラの理事長であり、本公演の公演監督である。松山いくおのみは今日明日の両日共に出演する)。合唱はミラマーレ・ヴィルトゥオーゾコーラス。演奏はミラマーレ室内管弦楽団。

ミラマーレ・ヴィルトゥオーゾコーラスの中で役を振られているのは、橘千香子(母親)、西村薫(従妹)、納谷知佐(叔母)、木幡淳平(ヤクシデ)の4人。他の7人は役なしの出演者である。

ミラマーレ室内管弦楽団は、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリンともに三名ずつ(コンサートミストレスは赤松由夏)、ヴィオラ、チェロ、クラリネット、ホルンは二人編成。他のコントラバス、フルート、オーボエ、ファゴット、ハープは各一人ずつである。春秋座の仮設オーケストラピットが小さいため、これでもピットが一杯である。なお、足りない音を補うために、ピアノが加わっている(演奏は殿護弘美。編曲:倉橋日出夫)。

ミラマーレ室内管弦楽団は編成は小さいが、春秋座自体がそれほど大きな劇場ではないため、音量的な問題はない。

ミラマーレ・オペラの公演を聴くのは「ラ・ボエーム」以来、二度目。前回も京都芸術劇場春秋座での公演であった。

イタリア語歌唱、字幕付きでの上演である。

タイトルロールを歌うソプラノの川越塔子は「ラ・ボエーム」でも主役を演じていたが、繊細な演技と歌唱が持ち味。今日も細やかな演技と丁寧な歌唱を披露する。ちなみに川越は東京大学法学部を卒業後、武蔵野音楽大学大学院を修了したという変わり種。学生の頃はプロの歌手を目指していなかったのか、それとも親にソプラノ歌手になることを反対されたが東大法学部を出て黙らせたのか。それはどうでもいいが、歌も演技も良く、高学歴、おまけに美形という、神から何物も与えられたスーパーウーマンである。

ピンカートンを歌う大澤一彰(テノール)は、最近、デビューCDを発表した若手のホープ。安定感のある良く通る声の持ち主だ。

シャープレス役の藤山仁志(バリトン)は立ち振る舞いがダンディーであり、存在感がある。

舞台中央奥に大きめの木が一本。その下手前方にそれよりも小さな木が生えている。舞台上手には石灯籠。非常にシンプルな舞台だが、障子をイメージしたと思われる格子柄の可動式ガラス塀がマジックミラーのような役目を果たし、ある時は透明で、ある時は鏡となり、またある時は半分透明で半分鏡となる。鏡の効果は、第1幕のラストでピンカートンが左右に開いた鏡の後ろに向かい、左右の鏡が閉じて、蝶々夫人一人だけの後ろ姿が映し出される場面で孤独感を増すなど、上手に発揮されている。また、第2幕では半透明の鏡の部分に蝶々夫人が中央の木と向かい合っているように映り、木が蝶々夫人の前に立ちはだかる運命のメタファーのようにも感じられる。また春秋座は歌舞伎も上演する劇場だけに、鏡に劇場2階部分に並ぶ提灯が映り、「和」のテイストを強めていた。

歌舞伎も上演する劇場だけに花道があり(花道は可動式で取り払うことも出来る)、今日も花道を用いての演出。他のオペラ劇場では観られない演出だけに面白かった。

日本が舞台(長崎)である数少ない外国人作曲家によるオペラ「蝶々夫人」。外国人キャストによる上演では、演出家も外国人で、日本に関する知識がどうしても乏しいものになってしまう作品だが、日本人キャストと日本人演出家による演出なので違和感なく観ることが出来た。「さくらさくら」、「お江戸日本橋七つ立ち」、「君が代」、「宮さん、宮さん」などのメロディーを取り入れ、ピンカートンの祖国であるアメリカ合衆国の国歌「星条旗」の旋律も用いられた、悲劇ではあるが楽しいオペラである。

歌劇「蝶々夫人」の実演には、佐渡裕指揮による兵庫県立芸術文化センターでの上演に接しており、そちらはオーケストラもフル編成で、演出も豪華であったが、オペラとしては今日の上演の方により強い感銘を受けた。歌詞日本語訳が今日の上演の方が上手いということも大きいだろう。

終演後、ピンカートンを歌った大澤一彰のサイン入りデビューCD(今年2月のリリース。会場では数量限定発売)を購入。特典として、大澤氏との握手、更に「シチリアーナ」というイタリア製トマトパスタソースを頂いた。

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