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2013年10月 2日 (水)

観劇感想精選(101) 「ROCK OF AGES ロック・オブ・エイジス」

2011年11月11日 大阪市の森ノ宮ピロティホールにて観劇

午後7時から、大阪の森ノ宮ピロティホールでミュージカル「ROCK OF AGES ロック・オブ・エイジス」を観る。作:CHRIS D'ARIENZO、上演台本・演出:鈴木勝秀、テキスト日本語訳:北丸雄二、日本語訳詞:井上秋緒、振付:NAO&LICO。出演:西川貴教(T.M.Revolution)、島谷ひとみ、山崎裕太、高橋由美子、misono、藤田玲、石橋祐、明星真由美、なだぎ武、鈴木綜馬、川平慈英。ヴォーカルチーム(歌声のみの出演。ダンスはあるが演技シーンなし):KEN、大嶋吾郎、marron、鈴木佐江子、久保田陽子。バンド:Leda(エレキギター)、中村康彦(エレキギター)、渡辺大(ベース)、LEVIN(ドラムス)、前嶋康明(ピアノ)。

舞台は1987年、ロサンゼルスはサンセット大通り(映画のタイトルとしても有名である)にあるライブハウス・バーボンルームである。バーボンルームのオーナーはデニス(なだぎ武)。狂言回しのロニー(川平慈英。途中で、自分が「ナレーター、狂言回し」だと明かすシーンあり)の説明や、ロニーとデニスのやり取りでストーリーは進む。ロニーはロサンゼルスには毎年1000人が芸能界での成功を求めてやってくるが、成功できるのはせいぜい20~30人であると告げる。ジャック・ケルアックの小説『路上(オン・ザ・ロード』でも同じような例えがあったはずだ(ロサンゼルスでは警官やウェイトレスなどに美男美女が多い。みなハリウッドスターを夢見て敗れた者だと)、またイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」は実はこうした人々を歌った歌である。舞台上手には「ルート66」の看板。ルート66はメイン・ストリート・オブ・アメリカやマザー・ロードともいわれた、シカゴからカリフォルニア州に向かい、ロスを経て、サンタモニカで終わるという大陸横断道路で、様々な作品の舞台となった国道である(現在は廃線)。数々の栄光と挫折を見守ってきた道だ。スタインベックの『怒りの葡萄』やケルアックの『路上(オン・ザ・ロード)』などにも登場する。

ミュージカル「ロック・オブ・エイジス」

バーボンルームでバーテン見習いとして働いているドリュー(西川貴教)は、本当のファーストネームはウォルフガング(ヴォルフガング)。高名な作曲家のヨハン・ヴォルフガング・テオフォル・モーツァルト(芸名:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)と同じであり、つまりドイツ系である。シカゴでならともかく、ロサンゼルスで成功するのは難しい。バーボンルームのメインバンドはアーセナル。ヴォーカルはステイシー(山崎裕太)である。

ボーイミーツガールが作品の王道という意味のセリフをロニーが言い、ガールであるシェリー(島谷ひとみ)が紹介される。シェリーはアメリカの中西部の生まれ。だが、女優を夢見て、ルート66を使ってロスに出てきた(史実では1985年にルート66は廃線となっている。フィクションである)。街で偶然、ぶつかったドリューとシェリー。二人はたちまち恋に落ちる。だが、おそらくドリューは自分がドイツ系であるということに後ろめたさがあったのであろう、WASPであろうシェリーに自分達は「友達」だと断言してしまう。シェリーはそれほど頭の良い女の子ではないという設定なので、その言葉をそのまま受け取ってしまう。シェリーはバーボンルームのウェイトレスとして働くことになる。

一方、バーボンルームのある一角を再開発しようと企んでいる人物がいる。ヘルツ・クライマン(鈴木綜馬)である。息子のフランツ(藤田玲)とともに計画をロス市長(石橋祐)に伝える。反対するロス市都市計画管理官のワギーナ(misono。ワギーナはWAGINAというスペルである)。クライマン親子は名前からしてそうだが、フランツが「ダンケシェーン」とドイツ語で礼を言うシーンがあり、ドイツ系である。のちにフランクはハンブルグの生まれであるということがわかる。ドイツ語では…、というわけで、結構、危ないネーミングの人がいるのである(実際にワギーナがフランツに注意する場面がある)。

ドリューがアーセナルの前座公演を行うチャンスを掴む。声はかかるが、WASP風の名前に変えて、アイドル路線のSTREET BOYZのヴォーカルとしてデビューするという、ドリューの願いとは違うものであった。一方のシェリーはステイシーと関係を持ち、ドリューと別れることになる。しかしシェリーとステイシーは長くは続かない。シェリーはやむなく、ジャスティス(高橋由美子)の経営するストリップクラブ「ヴィーナス」で働くことになる。ジャスティスとは「正義」という意味で、こういう名前の女性がストリップクラブを経営しているというのも変である。

ドリューとシェリーの再会。ドリューは不本意ながら色物系バンドのヴォーカルになることを告げる。シェリーは自分がストリッパーになったことを教える。この部分ではセリフと意思が一致しないという高度な作劇法が用いられている。ドリューはヴォーカルとしてデビューという約束を反故にした。

ステイシーは天狗になってアーセナルを脱退し、ソロになるが、その途端にアーセナルが売れてしまう。やけになったステイシーは「ヴィーナス」に行って女を指名するが、女はシェリーであった。ステイシーはシェリーにサービスすることを求め、シェリーもそれに応じるが、そこをドリューは目撃してしまう…

笑いでごまかしているが、深刻な状況が続き、普通なら悲劇確定路線のストーリー展開である。だが、ストーリーは予想外の方向へと向かう。ロニーがドリューに台本を否定することを薦め、ドリューもそれに従うのである。
実は台本を否定するという作品は私も書いている。「生まれ変わるとしたら」がそうであるが、残念ながらそれが伝わった人はほとんどいなかった。ほとんどの人が三球三振、それも見逃しで一球も掠ることさえ出来なかった。そして今も三振したことに気付いていない人がいる。ヒントになったのはベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」の第4楽章冒頭である。

それはともかくとして、「ロック・オブ・エイジス」は物語の定番を見事に破るのである。

実力は歌手を揃えただけに歌唱は見事である。森ノ宮ピロティホールは音響は良くないので、それが残念であるが、西川貴教のいつ果てるともなく延びる声などは、やはり威力十分である。役者達はアドリブなども達者で、みなプロの演技と歌唱を披露する。

終演後は総立ち。まあ、当然であろう。西川貴教は滋賀県出身で、他にも、なだぎ武は大阪、misonoは京都で、明星真由美も大阪出身である。ということもあって、客席はロックコンサート終了後並の盛り上がりを見せ、出演者達は何度もカーテンコールに応えた。

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