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2013年11月21日 (木)

観劇感想精選(104) 劇団M.O.P. 「阿片と拳銃」

2008年7月11日 大阪・京橋の松下IMPホールにて観劇

午後7時から、大阪の松下IMPホールで、劇団M.O.P.の公演「阿片と拳銃」を観る。マキノノゾミ:作・演出。出演:キムラ緑子、三上市朗、小市慢太郎、林英世、酒井高陽、木下政治、奥田達士、勝平ともこ、白木三保、奥村宏懇、友久航、塩湯真弓、永滝元太郎、竹山あけ美、塩釜明子、神農直隆、岡森諦、片岡正二郎、関戸博一。舞台美術:奥村泰彦(MONO)。

2010年の公演をもって解散することが決まっている劇団M.O.P.。会場入り口で渡された無料パンフレットにも「ファイナル・カウントダウン、開始!」との文言がある。

現在は東京を本拠地としている劇団M.O.P.だが、元々は京都の劇団。ということで、客席には関西演劇界の有名どころがちらほら。西川きよし師匠が観に来ていたのにはさすがに驚いたが。

「阿片と拳銃」は、1939年の上海、1959年の京都、1979年の浜松の三カ所を主な舞台とする作品。1939年の上海の場には、満映理事長である甘粕正彦(演じるのは奥田達士)も登場する。

1979年、浜松・三方原の老人ホーム。滝口ヒカル(キムラ緑子)は、ここに入っているが、性格は陰気で、仲間からの評判は良くない。性格が陰気になった原因は、最初の夫を目の前で撃ち殺されたからだというのだが…

1939年、魔都と呼ばれた頃の上海。ヒカルは、守山良文(小市慢太郎)という男と結婚している。守山と出会ったのは、1931年の東京・銀座でのこと。「パリの空の下」という映画を観ての帰り道、かねてより「情婦にならないか」としつこく誘う暴力団の組長にさらわれそうになったヒカルは、守山と、滝口新吉(三上市朗)という男の二人に救われる。実際には救われたというよりは、警察が止めに入り、暴力沙汰と勘違いされ、逃げ遅れたヒカル、守山、新吉の三人だけが暴行の容疑で留置場に連れて行かれたのだったが。
だが、留置場で話しているうちに、三人が三人とも、その夜に同じ映画館で「パリの空の下」を観ていたことがわかる。

ヒカルは、その時、もし二人のどちらかと再会することがあったら、最初に会った方と結婚しようとその時決めていた。そして上海で守山と再会し、結婚したのだった。

1939年の上海に新吉もやってくる。新吉は共産党活動を行っていて逮捕され、半年前に出所したばかり。今は転向しており、上海には国策的情報機関の記者として雇われてやって来たのだが、上海に着くなり「アカは雇えない」ということで契約を反故にされてしまう。

新吉が上海に来ることを知った守山は、新聞広告を出して、新吉を自分の事務所に招く。8年ぶりに再会する3人。守山は新吉に甘粕正彦を紹介し、満映で働くよう提案する。

1959年の京都、新吉は「滝口プロダクション」という小さな映画プロダクションを興し、映画監督をしている。上海で死んだ守山の頼みもあって、新吉はヒカルと結婚、一男をもうけている。新吉とヒカルの息子である洋平(関戸博一)も高校を中退し、今は新吉のプロダクションで働いていた。しかし、滝口プロダクションの経営は火の車。主演女優へのギャラが払えないため、新作映画「阿片と拳銃」の撮影が全く進まないでいる。
結婚したヒカルと新吉だったが、夫婦仲は最悪であり、ヒカルはしょっちゅう浮気をして、家を飛び出している。息子の洋平もヒカルのことを快く思っていない。
資金繰りが上手くいかず、もはや倒産は避けられないという状態になった滝口プロダクション。しかし、渋川という右翼の大物(モデルはおそらく「一日一善」のあの人)から500万円もの出仕があった。なぜ元共産主義者の新吉のプロダクションに右翼の大物からの資金提供があったのか? 実は裏には深い理由があった…

基本的にはラブロマンスである。ヨーロッパ映画のようなバタ臭さがあって、そこが好悪を分かちそうだが、作品としての充実度は極めて高い。

時系列が前後するが、これは1939年の上海を舞台にした関係上、サスペンス的要素を盛り込む必要があるものの、そうなると本筋が客に伝わりにくくなるため、時系列を変えて予め結果を客に知らせておくことで、安心して主筋を追えるようにとの意図があるものと思われる。

カーテンコールでは、恒例となったブラスの演奏があり、キムラ緑子が歌う。上海が主舞台の一つということもあって、本当に「上海バンスキング」のようだ。楽しい舞台であった。

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