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2014年2月27日 (木)

観劇感想精選(113) ミュージカル「ベガ-ズ・オペラ」

2008年2月9日 梅田芸術劇場メインホールにて観劇

午後5時より、大阪の梅田芸術劇場メインホールで、ミュージカル「ベガーズ・オペラ」を観る。「乞食オペラ」の名でも知られ、世界初のミュージカルとされている作品である。また、ブレヒトとクルト・ワイルの「三文オペラ」の原作としても有名である。
作:ジョン・ゲイ、脚色・演出:ジョアン・ケアード、テキスト日本語訳:吉田美枝、訳詞:松田直行、音楽:イローナ・セカッチ。
出演は、内野聖陽、橋本さとし、高嶋政宏、森公美子、笹本玲奈、島田歌穂、近藤洋介、村井国夫ほか。

産業革命前夜である18世紀前半、ロンドンのある劇場。乞食で詩人のトム(橋本さとし)は、この劇場を一晩だけ借り切って、乞食仲間とともにオペラを上演する。オペラのあらすじは以下の通り。
泥棒仲買人のピーチャム(高嶋政宏)は、泥棒達の盗品を金に換える仕事をしている。ピーチャムには内縁の妻(森公美子)との間に出来た娘、ポリー(笹本玲奈)がいるが、このポリーが、キャプテンのニックネームで知られる盗賊のマクヒース(内野聖陽)と結婚していたことがわかる。娘も金稼ぎの材料にしたいと考えていたピーチャムとピーチャム夫人はカンカン。すぐに結婚を破棄するよう娘に告げるのだが、ポリーは聞き入れようとしない。そこでピーチャムは計略を持ってマクヒースを陥れ、絞首刑にしようと企む…

舞台上にも特設の客席がある。ここに座ったお客さんは老支配人(近藤洋介)のお願いで、本編上演前に舞台上に箱を運んだり、舞台上の掃き掃除をしたりしている。

楽しい芝居であった。ファンサービスも行き届いている(運の良い女性は、内野聖陽の膝に乗せて貰ったり、一緒に乾杯したり、花をプレゼントされたり、輪になって一緒に踊ったり出来る)。
「三文オペラ」のメッキ・メッサーにイエス・キリストを見る人もいるようだが、原作である「ベガーズ・オペラ」のマクヒースにイエス・キリストの姿を見つけるのは容易である。そもそもジョン・ゲイはそうした意図を持っていたであろう。
ラストではキリスト教的な「原罪」ではなく、「人生の喜び」が高らかに歌い踊られる。これはある意味、神(もしくは絶対的な存在)があっての人という中世的枠組みから、人間による人間の生き方という近世・近代への転換を示しており、たくましく生きる人間の姿が示されている。
富と貧困、上流階級の腐敗と不見識と残酷さ、激変する社会制度など現代にも通じるテーマを持つ作品だが、「三文オペラ」に比べると、人間肯定的要素は強い。「三文オペラ」にはドイツ第三帝国という具体的な敵がブレヒトの頭の中ににあったため、それはある意味、当然ではあるのだが。
また、「三文オペラ」で語られる〈悪〉は観るもの全ての人に、“自分の中にもそうした要素があるのでは”と考えさせるように仕組まれているが、「ベガーズ・オペラ」はそうしたことはなく、政治や上流階級への風刺に留まっている。

三階建て相当のセットは立派、音楽も洒落ており、内野聖陽を始めとするキャストの歌とダンスのレベルも高かった。

終演後にアフタートーク。内野聖陽は、「大阪は東京に比べるとステージ上に人が多い」と語る。東京だと、お客さんが指名されて、「はい、じゃあ」とステージに上がる感じなのだが、大阪は指名されるとその周りお客さんまで「私も私も」という感じで付いてきてしまい、輪になって踊るシーンなどは明らかに大阪の方が賑やかだそうである。

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