« コンサートの記(126) 広上淳一指揮京都市交響楽団第533回定期演奏会 | トップページ | コンサートの記(127) 「財津和夫LIVE&TALK2013」 in 京都劇場 »

2014年2月23日 (日)

これまでに観た映画より(62) 「小さいおうち」

2014年2月1日 MOVIX京都にて

一日ということで映画を観に行く。今日観るのは「小さいおうち」。MOVIX京都での上映を観る。

「小さいおうち」は、中島京子の直木三十五賞受賞作であり、その内容に惚れ込んだ山田洋次監督が映画化を申し出て実現したもの。脚本・監督:山田洋次。脚本:平松恵美子。出演:松たか子、黒木華(くろき・はる)、吉岡秀隆、片岡孝太郎、妻夫木聡、吉行和子、室井滋、橋爪功、林家正蔵、ラサール石井、中嶋朋子、あき竹城、小林稔侍、木村文乃、夏川結衣、米倉斉加年、倍賞千恵子ほか。音楽:久石譲。

老女タキ(倍賞千恵子)が亡くなる。タキは生涯独身であったが、「おばあちゃん」と呼んでくれる親族はいた。特に大学生である健史(妻夫木聡)は、タキに自叙伝を書くよう勧めるなど親しかった。タキはそれに応えるように自叙伝をノートに書いては健史に見せていた。タキの自叙伝は昭和10年に始まる。この年、タキ(若い頃のタキを演じるのは黒木華)は山形県米沢市から上京し、女中となった。小説家の小中(橋爪功)の家で一年奉公した後、タキは大田区にある赤い屋根の「小さいおうち」である平井家の女中として働き始める。

「女中だなんて、おばあちゃん苦労したんだね」という健史にタキ(倍賞千恵子)は、「当時は女中は立派な職業だったんだよ。サラリーマン家庭はみんな女中を置いていて、女中であることは一種のステイタスだった。嫁入り前の修行とも見なされていたし、まるで奴隷かなんかのように勘違いされちゃ困るね」と語る。

平井家は、家長である雅樹(片岡孝太郎)、夫人である時子(松たか子)、幼い恭一の三人家族。タキ(黒木華)は、時子から、「タキと時子じゃ似てるわね」などと言われ、雇い主と女中というよりも年の離れた友人のように親しく付き合うようになる。

恭一が病気で倒れる。熱は引いたが、脚が不自由になる小児麻痺になってしまう。マッサージを続けていれば良くなるかも知れないという医者の意見で、恭一を日本橋のマッサージ師のところまで通わせることになる。大田区から日本橋までは遠いが、タキは「私は小学校まで1里の道を毎日通っていました。雨の日も雪の日も」といって、恭一をマッサージに通わせる役を申し出る。タキも恭一の脚をマッサージすることになり、やがてはマッサージ師(林家正蔵)からマッサージを教わって、恭一のマッサージは専らタキの役目となる。タキのマッサージのお陰か、恭一の脚も、やがて回復する。
一方、雅樹が務めるおもちゃ会社に新入社員として板倉正治(吉岡秀隆)という東京美術学校(現・東京藝術大学美術学部)出の若者が入って来る(吉岡秀隆は四十代であるが、演技が上手いということもあり、二十代の若者に見える)。

第一印象から芸術家肌で人とは違うという好印象を正治に持った時子が正治に惹かれるのに時間は掛からなかった(時子と正治がSP盤で聴いている曲を知りたい方がいるようなのでお教えします。チャイコフスキーの交響曲第5番より第2楽章です。演奏はレオポルド・ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団です)。

東京オリンピックの開催も決まり、戦局も明るいかに見えた日本であったが、日華事変は泥沼化、東京オリンピックも返上(競争相手であったヘルシンキで開催されることが決まるが第二次世界大戦の戦局悪化により結局は中止)、やがてアメリカとも戦うことになる。

正治は徴兵検査では気管支と視力が弱いことから丙種合格で、普通、丙種なら普通は戦場には出ない。ということで、見合い話が進む。だが、正治は見合い話に対してどうしても首を縦に振らない。正治も時子を愛していた。

ある日、正治の下宿に見合いの談判に行ったはずの時子の帯が、出ていくときと帰ってきた時では結びが異なっていることにタキは気付く。一本どっこの黒い線が、出る時と帰った時では左右逆だったのだ。その後、時子は洋装して二度、正治の下宿へ通った。タキはある決心をした……

ストーリー的には目新しいものではないが、心理描写が演出、俳優共に優れており、上品なエロスを感じる作品である。昭和モダニズムの時代の描き方も印象的で、戦前も戦中も特に暗いという感じではなかったという多くの証言も納得がいくようになっている(不況が続き、福島第一原発が人類史上に残るほど悲惨な様相を呈していても現在の日本の各地の街が明るく見えているのともそれは重なる)。

ヒロインの松たか子は、セリフに情景が宿っているかのようであり、実年齢よりもかなり若い青年を演じている吉岡秀隆との二人のシーンは二人共に心の襞が目に見えるような巧みな演技で唸らされる。

上映時間が少し長いようにも感じられたが、優れた映画であることに違いはないと思う。

※若い頃のタキを演じた黒木華は二度目の大学の後輩でベルリン国際映画賞で銀熊賞(最優秀女優賞)を獲得したが、私は「蒼井優や小野ゆり子系の顔立ちだな」、「二番目にクレジットされている割りには華がないな。ない方がいい役だけれど」と、特に感銘は受けなかった。

|

« コンサートの記(126) 広上淳一指揮京都市交響楽団第533回定期演奏会 | トップページ | コンサートの記(127) 「財津和夫LIVE&TALK2013」 in 京都劇場 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40048/59182078

この記事へのトラックバック一覧です: これまでに観た映画より(62) 「小さいおうち」:

« コンサートの記(126) 広上淳一指揮京都市交響楽団第533回定期演奏会 | トップページ | コンサートの記(127) 「財津和夫LIVE&TALK2013」 in 京都劇場 »