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2014年3月 4日 (火)

コンサートの記(128) アレクサンダー・マルコヴィッチ指揮チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団来日演奏会2014大阪

2011年9月25日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて

午後2時から、ザ・シンフォニーホールで、アレクサンダー・マルコヴィッチ指揮チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団の来日演奏会に接する。

指揮者のアレクサンダー・マルコヴィッチは、ブルノ・フィルの首席指揮者でまだ若い。ユーゴスラビア時代のベオグラードの生まれで、ウィーン音楽大学で名教師、レオポルド・ハーガーに指揮を学び、ジャンルイジ・ジェルメッティ(実力派だが、録音嫌いで知られる人である)、ローター・ツァグロゼクにも師事。2003年にポーランドのフェティルベルク国際指揮者コンクールで優勝し、プラハ、ザルツブルク、ベオグラードの歌劇場の指揮者として活躍。2008年11月にブルノ・フィルと共演し、直後に首席指揮者に迎えられたという。サー・サイモン・ラトルのようなカーリーヘアーの持ち主である。今日は全曲ノンタクトで振った。

曲目は、スメタナの連作交響詩「わが祖国」より“ボヘミアの森と草原から”、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:フリデリーケ・サイス)、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」

さして有名でない指揮者とオーケストラの公演なので、さほど期待していなかったのだが、聴いてビックリ、第一級の指揮者とアンサンブルであった。

ブルノ・フィルは弦も管もとにかく音が美しい。それもイノセントな響きである。マルコヴィッチの強弱のつけ方も大変細やかである。

“ボヘミアの森と草原より”は「わが祖国」の中で“モルダウ”の次に有名な曲だが、美しさと力強さを兼ね備えた見事な演奏によって音符が音に変わっていく。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソリストのフリデリーケ・サイスは1979年、オランダ生まれの若手女流ヴァイオリニストだが、最初のうちは音が汚くて、どうなることかと思った。だが、尻上がりに調子を上げ、第1楽章の中盤からは見事な美演を披露する。第1楽章の終わりに拍手が起こるが、来日オーケストラの公演ではこれは珍しいことではない。
第2楽章は、ブルノ・フィルによる冒頭の管楽器のハーモニーが立体的で見事。サイスのソロも美しかった。第2楽章はヒンヤリした音色で奏でられると効果的なのだが、ブルノ・フィルの音は一貫して温か。しかし、これはこれで個性的と言えるだろう。
だが、第3楽章が始まるとサイスの音はまた濁ってしまう。どうも熱演型の奏者のようで、力強い場面では力んで音が汚くなる癖があるようだ。それでも技術は確かであり、技術だけなら優れたチャイコフスキーになっていたと思う。

アンコールで登場したサイスは客席に向かって、「ヨハン・セバスチャン・バッハ、“アンダンテ”」と言い、J・S・バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番より第3楽章“アンダンテ”を奏でる。この曲は力強い場面がないので、音色は常に美しい。また、ビブラートを抑え気味にして古楽器風の音色を出したりする。オランダはイギリスと並び、古楽器演奏の盛んな国だが、それが影響しているのかも知れない。

メインのドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」。ゆったりとしたテンポで演奏を開始したマルコヴィッチは主部に入るとテンポを上げ、若々しい演奏が繰り広げられる。ブルノ・フィルは弦も管も洗練の極みである。

第2楽章冒頭の管楽器のハーモニーはチャイコフスキーとは異なりほんのわずかにずれたが、その後は好調。「家路(遠き山に日は落ちて)」で知られるメロディーを吹くイングリッシュホルン(コールアングレまたはコーラングレとも言う。ホルンとつくがオーボエの仲間である)も上手い。

堂々とした第3楽章の演奏を経て、最終楽章へ。マルコヴィッチが手を上げるたびに、オーケストラの音量が大きくなる。トレーニングとリハーサルの賜物だろうが、まるで魔法を見ているかのようだ。美しくも迫力満点の演奏。悔しいが、日本のオーケストラでここまでの水準に達している団体は存在しない。世界には知名度は高くなくても優れた指揮者やオーケストラが存在することを改めて思い知らされた。

アンコールの1曲目は、ドヴォルザークの「スラヴ舞曲」第2集より第7番。一流のスケート選手の走る姿が思い浮かぶような滑らかな演奏。ラストではアッチェレランドをかけて大いに盛り上げる。

アンコール2曲目は、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲。モーツァルトを演奏するにはもう少しふっくらした音を出させた方がいいと思うが、タイトな響きのモーツァルトも個性的である。

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