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2014年4月23日 (水)

Oの喜劇

ある時、私が明治大学の第二文学部文芸学科で村上春樹の小説を題材に卒論を書いたという話をしたところ、O(仮名)は、「村上春樹は早稲田の文芸じゃないんだね。演劇なんだね」と言った。そして「小説家は文学部以外の方が多いんだぞ」などと語った。明らかに誤解していた。そもそも明治大学の文芸学専攻は早稲田の文芸専修とは違い、文芸創作のための学科ではないのである。明治の文芸学専攻は今では文芸メディア専攻というよくわからない学科になってしまったが、往時は戦前からの文学的な教養主義を学ぶ専攻であり、日本文学、英米文学、仏文学、独文学、露文学、中国文学、演劇学という文学面のかなり広い範囲をカバーする専攻であった。もともと文芸学というのは文芸創作ではなく文章の芸術を学ぶという意味であり、文芸が付くから創作を学んだのだろうというOの勘違いは余りに軽率であった。そもそもOは某大学の文芸学部にいたのである。そこではみなが文芸創作にいそしんでいたのであろうか。答えが「否」であることは明白である。
Oは村上春樹に関する知識も乏しかった。村上春樹は映画の脚本家になりたくて早稲田大学第一文学部の映画・演劇専修に行ったのである。村上春樹自身は「早稲田大学では勉強をしなかった」と書いているが、映画・演劇専修は早稲田大学第一文学部の看板であり、成績が良くないと進めないので、それなりに頑張ったのだと思われる。ただ望み通りの専修に入ったはいいが、シナリオも小説も書けなかったので在学中は文筆活動をほとんど行わなかったわけだが(学生誌には寄稿している)。また全学生数に対する小説家輩出率は僅差ではあるが文学部がトップである。

さて、Oは三つの誤解をしていたわけだが、率直に書かせていただくと、「よく知りもしないくせに発言するんじゃない」と思う。こうした些細な思い違いは彼の尊大な態度と密接に繋がっていた。
そして情けないことに、判断力のない人間は彼の言葉に唯々諾々であった。非常に悲しく笑える出来事である。

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