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2014年5月25日 (日)

コンサートの記(139) シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団大阪定期演奏会2013

2013年12月2日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて

午後7時から、ザ・シンフォニーホールで、読売日本交響楽団(読響)の大阪定期演奏会を聴く。今日の指揮者は、読響常任指揮者のシルヴァン・カンブルラン。1948年生まれのフランスの中堅世代を代表する指揮者である。現代音楽の演奏を得意としており、現代音楽専門のアンサンブル、クラングフォーラム・ウィーンの首席客演指揮者の他、代々現代音楽に強い指揮者をシェフに招くことで知られる南西ドイツ放送交響楽団(SWR交響楽団,バーデン・バーデン&フライブルク)の音楽監督を1999年から2011年まで務めた。現在は第9代目となる読売日本交響楽団の常任指揮者の座にある。

 

読売グループの資本力を生かし、世界的な指揮者を多く指揮台に招き、各楽器の奏者もソリスト級を揃えていながら、1990年代には、「注意力散漫な演奏」、「空席が目立つ」などと音楽評論家に書かれて将来を心配されていた読響であるが、21世紀に入ると力を上げ、ミスターSことスタニスラフ・スクロヴァチェフスキが第8代常任指揮者に就任すると、その演奏は日本中のクラシックファンの耳目を集めることになる。ミスターSと読響の演奏はライヴ録音されてDENONレーベルから発売され、その独特の渋い演奏は高く評価された。ミスターSは現在は読響の桂冠指揮者となっている。その間に下野竜也も読響の正指揮者となっており(現在は首席客演指揮者)、下野と読響のコンビは余り演奏されない曲目を録音、リリースし、これまた注目を浴びている。

 

今日の曲目は、ウェーバーの歌劇「オベロン」序曲、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」、ラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲、ラヴェルの「ボレロ」。

 

読響には客演を含めてコンサートマスターが4人いるようだが、今日は日下沙矢子がコンサートミストレスを務める。

 

ウェーバーの歌劇「オベロン」序曲。力強い演奏が展開される。弦は主題を弾いている時は美しい。だが、なぜか伴奏に回ったときは少し汚い音を奏でる。読響のアンサンブルの精度は、今年の夏に東京芸術劇場コンサートホールで行われた広上淳一指揮の演奏会を聴いて高いことを確認済みであり、カンブルランも現代音楽を得意とするため、そういった細かいことにはうるさいはずだが、なぜこんなことになっているのかわからない。考えられるとしたら、ザ・シンフォニーホールの音響を十全に捉えられていなかったということである。

 

モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。ドイツ型の現代配置であるが、ピリオド・アプローチを意識した演奏である。冒頭でティンパニが硬め音を出す。弦楽器はビブラートをかけにかけるが、音を引き延ばさずに、サッと弓を弦から離す。次に同じ音型が来たときは弦楽器はノンビブラートで演奏する。折衷スタイルの演奏であるようだ。

弦も管も美しい音を奏で、演奏にも勢いがある。「オベロン」序曲のようにハーモニーが濁るということもない。

精緻で清々しい演奏であった。

 

後半のラヴェルの2曲は、カンブルランのお国ものということもあり、素晴らしい演奏が繰り広げられる。

 

バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲。冒頭は夜明けを描いたもので、非常にきめ細かく書かれたスコアを演奏する。詩情豊かで、上品な淡いトーンによる演奏が展開される。この上品な淡いトーンはいくら音楽が熱狂的になっても崩れることはない。

バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲は、何度か実演で聴いたことがあるが、実演に限ると、おそらく今日のカンブルラン指揮読響の演奏がトップに来ると思われる。バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲も含めた実演となると、シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団の演奏によるバレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲(NHKホールで行われたが、途中、震度3の地震があり、ホールがガタガタ揺れるというハプニングがあった)がやはり1番だと思われる。

 

「ボレロ」でも、この淡いトーンは保たれる。カンブルランは必ず、小さく何度か指揮棒の先を振ってから演奏に入るのだが、「ボレロ」では指揮棒の先を三角に振って、「この速度で行く」と示した後、手の平を上に向けた左手をサッと前に出し、演奏がスタートする。パンフレットにもなっている読響の月刊誌「MONTHLY ORCHESTRA」には「ボレロ」の演奏時間が13分とあり、速めの演奏となることが予想されたが、実際は14分台後半ぐらいのテンポだと思われる。

カンブルランは最初は棒先だけをチョンチョンチョンと小さく動かしていたが、体の動きは次第に大きくなる。読響の奏者達の技術も高く、カンブルランのオーケストラ操縦術も巧みで、熱狂的な演奏となった。

 

アンコールは、ビゼーの歌劇「カルメン」前奏曲。しなやかな演奏であった。

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