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2014年11月26日 (水)

観劇感想精選(139) OFT「わたしの焦げた眼球/遠視」

2014年5月16日 京都・下鴨のアトリエ劇研にて観劇

午後7時35分から、アトリエ劇研で、OFTの公演「わたしの焦げた眼球/遠視」を観る。作・演出:田辺剛。出演:大沢めぐみ、藤原大介、高杉征司(OFTという団体名は、三人のローマ字表記の頭文字から取られている)。

劇場の中に入ると、蝉時雨が聞こえる。舞台は夏である。田舎町の高台にある集合住宅の一室。リョウ(藤原大介)とマスミ(大沢めぐみ)の夫婦がここで暮らしている。リョウがポリタンクを運びながら入ってきて、「盗まれた」と語るが、マスミもハアハアと息をしており、それを聞き逃す。かなりの酷暑であることがわかる。リョウはスーパーに行った時に、乗ってきた赤い自転車を盗まれたのだった。田舎だからと油断しており、鍵もかけていなかったという。自転車が盗まれたためにポリタンクを坂の下から上まで、素手で運ぶ羽目になったのだった。

リョウは工場で働いていたのだがクビになり、今は退職金とマスミのパート代が生活費である。退職金が増額になるかも知れないとマスミに告げるリョウ。リョウは退職金が増えたらハワイに行こうという夢を語る。

二人がシャワーを浴びている(マスミが一人でシャワールームに入ったのだが、リョウも一緒に浴びようと押し入ったのである)間に、表のチャイムが鳴る。二人は居留守を使った。

だが、翌日もそのチャイムの主はやって来た。二人の高校時代の仲間であったユウジ(高杉征司)だ。ユウジは二人がここにいると知ってやって来たのではなく、NHKの受信料督促の仕事をしていて、たまたまここに来たら二人がいたのだという。三人はマツトミという街の出身であり、リョウとマスミは各々東京に出て、そこでたまたま再開し、結婚することになったのだという。ユウジはバイク事故で意識不明の重体になったことがあり、リョウもマスミもユウジは死んだものだと思い込んでいた。

ユウジは遠視であり、遠くが良く見えるのだという。ユウジは、窓から見える川沿いて遊んでいる高校生のグループのことを話す(リョウにもマスミにも高校生の姿は見えない)。夜になると高校生のグループはキャンプをすることになるのだが、そこでユウジは、自分達も高校時代にキャンプを行った思い出を話し、そこでの出来事が、リョウとマスミの夫婦の心にさざ波を起こす……

簡素な舞台セット、灯体の数も抑えめにして、役者のアンサンブルで見せる芝居。淡々とした展開であり、大事件が起こるわけでもないが、語っていること、記憶していたことと起こったことに微妙な差異が生じ、何が本当なのかわからないという「人間存在そのものが持つ不気味さ」や「不安感」が仄かに浮かび上がる。

エンターテインメント作品ではないし、起伏も少ないが、日常の中にかすかに漂うシュールさを味わうことの出来る舞台である。

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