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2014年12月 3日 (水)

コンサートの記(164) ムジークフェスタなら2014「桜花昇ぼる&海老原光」関西フィルハーモニー管弦楽団、一夜限りのエンタテインメント!

2014年6月25日 奈良県文化会館国際ホールにて

午後7時から、奈良県文化会館国際ホールで、ムジークフェスタなら2014「桜花昇ぼる&海老原光」関西フィルハーモニー管弦楽団、一夜限りのエンタテインメント!を聴く。

OSKトップで、退団の決まっている桜花昇ぼる(おうか・のぼる。奈良県斑鳩町出身)と、若手指揮者である海老原光の指揮する関西フィルハーモニー管弦楽団の演奏会である

海老原光は、1974年・鹿児島県生まれということで、私と同い年である。しかし謳い文句は「若きマエストロ」。指揮者界には「40、50は洟垂れ小僧」という言葉があり、今年で40歳なんて洟垂れ小僧の入り口にようやく立った程度である。

海老原は日本屈指の進学校として知られる鹿児島ラ・サール中等学校・高等学校(というより今ではラサール石井の母校としての知名度の方が高いが)を経て、東京芸術大学指揮科を卒業、同大学院を修了。その後、指揮者の出所として知られるハンガリーの国立歌劇場で研鑽を積んだ叩き上げタイプの指揮者である。2007年にロヴロ・フォン・マタチッチ国際指揮者コンクールで3位入賞、2009年にはニコライ・マルコ国際指揮者コンクールで6位入賞、翌年、アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールでは審査員特別賞を受賞している。華々しいコンクール歴とはいえないかも知れないが、コンクールに優勝すれば将来が約束される世界では全くないため(好成績を挙げても、チャンスが増えるという程度であり、逆に優勝してしまったがためにそれが重荷になって出遅れてしまう指揮者までいる)、余り関係はないと見た方がいい。2004年から2006年まで東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の研究生を務め、2010年からは同楽団のアソシエイト・コンダクターに就任している。

桜花昇ぼるは、女性なので生年は非公開だが、9月23日生まれ。OSK日本歌劇団の男役トップである。桜花はまず出てきて、「今朝は残念でした、ワールドカップ」という話から入る(注:この日の早朝、FIFAワールドカップ・ブラジル大会の日本対コロンビア戦があり、日本は、1-4で惨敗を喫した)。

曲目は、チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」より“ポロネーズ”、桜花昇ぼるのヴォーカルによる東日本大震災復興ソング「花は咲く」、「斑鳩の里」(桜花昇ぼるのために書かれたオリジナル曲)、指揮者とオーケストラのみによるグリーグの「過ぎにし春(過ぎた春)」、桜花昇ぼるが再登場して、真田幸村をテーマにした2曲「もののふ」と「我が心炎の如く」、前半最後は「翼をください」。

後半は、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」

写真では長髪であった海老原光であるが、今日は五分刈りで登場。そのため、実年齢より若く見える。白のスーツで登場した桜花昇ぼるに振られて海老原は「奈良仕様です」と応える。

桜花は、海老原が舞台袖でガタガタ震えているので、大丈夫かどうか聞くと、海老原は「舞台上では緊張しなくなります」と答えたとのこと。確かにステージは、出る前にはやたらと緊張するが、一度出てしまえば、思ったよりも緊張はしないものである。

海老原の指揮は端正であるが、時にジャンプをするなど躍動感を見せたりもする。指揮棒を持たない左手で大きな指示を出すのが特徴。オーケストラを整える術には長けているが、例えば「過ぎにし春」などは掘り下げが浅く、ムード音楽のように聞こえてしまう。

桜花昇ぼるの歌は、特別に上手いというわけではないが、立ち居振る舞いの格好良さはある。前半は白の衣装、後半は赤の衣装であった。

真田の赤備えを意識した赤の衣装で真田幸村をテーマにした2つの曲を歌った桜花は、「今年、来年と、大坂の陣から400年。更に2016年の大河の主人公にもなるという真田幸村。大坂の合戦図屏風には、幸村の赤備えの軍が、聖徳太子の造った四天王寺の前に描かれています。争いを好まなかったという真田幸村は、聖徳太子の生まれ変わりなんじゃないかと私は思います」と述べる。多分、それはないと思うが、どう思おうが自由ではある。

後半、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」。

冒頭から立体感があり、なかなか聴かせる。今日は全席自由であり、奈良県文化会館国際ホールの音響を確かめるために、1階席の前後左右ともに真ん真ん中付近に座ったのだが、残響はほとんどないものの、音はストレートに聞こえてきて悪くない。多目的ホールとしては良い方に入ると思う。

奈良県文化会館は、1968年竣工と、比較的古いが、内部は近年、改修工事を行ったようで、ホール内部は木目の壁が美しい。ホワイエなども綺麗で、予備知識がないと新しいホールだと勘違いしてしまいそうである(外壁は年季の入ったものなので、外観から古いホールだとわかるが)。

第2曲「カランダール王子の物語」では、関西フィルの弦楽の弱さが出てしまうが、それなりに盛り上げ、演奏終了後、客席から拍手が起こり、海老原は一礼した。

第3曲「若い王子と王女」は、全曲の中で一番出来が良く、海老原の歌の若々しさが魅力である。ホルンの音外しがあったのが玉に瑕。

終曲も立派。満点とはいかないが、奈良まで聴きに来た甲斐はある演奏であった。

アンコールは、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲。美しい演奏だった。

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