« 観劇感想精選(143) カンパニー・フィリップ・ジャンティ 「忘れな草」 | トップページ | 三日月しずか(麻生久美子) 「しゃくなげの花」 »

2015年1月18日 (日)

コンサートの記(169) 藤岡幸夫指揮関西フィルハーモニー管弦楽団 「21世紀の新世界」2015

2015年1月10日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて

午後2時から、大阪・福島のザ・シンフォニーホールで「21世紀の新世紀」というコンサートを聴く。毎年1月にドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を聴く企画コンサートである。今年は藤岡幸夫指揮の関西フィルハーモニー管弦楽団による演奏で行われる。

曲目は、シベリウスの交響詩「フィンランディア」、グリーグのピアノ協奏曲(ピアノ独奏:山本貴志)、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」

シベリウスは今年が生誕150年のメモリアルイヤーである(2007年も没後50年の記念年であったのだが)。日本でも各地でシベリウスの演奏会が企画されている。藤岡はシベリウスを十八番としており、メモリアルイヤーということもあって新年の第1曲として「フィンランディア」を選んだのであろう。

関西フィルという楽団は関西の中でもパワーがある方ではないが、藤岡の指揮により力強い演奏が展開された。弦はやや薄いかも知れないが許容範囲である。

グリーグのピアノ協奏曲イ短調。ピアノ独奏の山本貴志は、関西で実演を聴くことも多いが、ショパンを得意とするピアニストであり、現在もワルシャワ在住である。

山本はクリアな音色を奏でるが、完全に結晶化しているとは言いがたい。第1楽章のカデンツァは腕の聴かせ所なのだが、なぜか山本のピアノは鳴りが悪い。男性ピアニストなので力が弱いということはないはずなのだが。ただリリカルな部分は満足のいく仕上がりになっている。

藤岡指揮の関西フィルも引き締まった伴奏で聴かせた。

アンコールとして、山本は、ショパンの夜想曲第2番を弾く。ロマンティックであり、音色も煌びやかで美しく、グリーグよりも遥かに優れた出来。やはり山本にはショパンが合っているのかも知れない。

「新世界」交響曲演奏前に、藤岡がマイクを手にして現れ、今回の「新世界」交響曲が新たに改訂された楽譜で演奏されるとアナウンスする。ドヴォルザークは交響曲第8番をイギリスの出版社から出し(そのため、極めてスラヴ的な作風にも関わらず交響曲第8番は「イギリス」と呼ばれることがある。最近はその傾向は減ったが)、「新世界」交響曲もイギリスの出版社から出す予定だったのだが、その時、ドヴォルザークはニューヨークのナショナル音楽院(その後の消息は不明だが、おそらく廃校か他校に吸収合併されたかで、現在はナショナル音楽院という学校は残っていない)の院長であったため、楽譜出版の際の校訂に立ち会うことが出来ず、恩師であるブラームスに校訂を委任している。そのため、ドヴォルザークの意図とは異なった形の総譜が出版されることとなった。
今回は、ドヴォルザークが思い描いたビジョンに近いと藤岡が見做したスコアによっての演奏であり、知らずに「演奏者が間違えた」と思われるのが嫌なので事前にスピーチを行うことにしたのだという。

変更箇所であるが、第1楽章と第3楽章の第1楽章のヴァイオリンの旋律と、第1楽章クライマックスの金管の咆吼に対位法的旋律が加わること。更に、第4楽章のティンパニのリズムである。改訂した方が良いのかどうかは微妙であるが、演奏はなかなか優れたもの。藤岡のキビキビとした音楽運びに、関西フィルも機敏に反応する。オーケストラの力そのものは、京響、大フィル、センチュリーに及ばないかも知れないが、演奏の面白さでいえば優るとも劣らないものがあるだろう。

|

« 観劇感想精選(143) カンパニー・フィリップ・ジャンティ 「忘れな草」 | トップページ | 三日月しずか(麻生久美子) 「しゃくなげの花」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40048/60990932

この記事へのトラックバック一覧です: コンサートの記(169) 藤岡幸夫指揮関西フィルハーモニー管弦楽団 「21世紀の新世界」2015:

« 観劇感想精選(143) カンパニー・フィリップ・ジャンティ 「忘れな草」 | トップページ | 三日月しずか(麻生久美子) 「しゃくなげの花」 »