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2015年2月12日 (木)

コンサートの記(172) 広上淳一指揮 京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2014『VIVA!オーケストラ』第1回「オーケストラをきいてみよう!」

2014年6月15日 京都コンサートホールにて

午後2時から、京都コンサートホールで、京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2014『VIVA! オーケストラ』第1回「オーケストラをきいてみよう!」を聴く。こどものためのオーケストラ入門と銘打たれたコンサートであるが、曲目も登場する指揮者も本格的である。正真正銘の子供向けコンサートは京都コンサートホールではなく、それ以外の京都市内の各ホールで行われている。今日の指揮は京都市交響楽団常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザーの広上淳一。

曲目は、カバレフスキーの組曲「道化師」より“ギャロップ”、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」より第1楽章、サラサーテの「カルメン幻想曲」(ヴァイオリン独奏:南紫音)、宮川彬良の「シンフォニック・マンボNO.5」、ビゼーの「アルルの女」第1組曲から“前奏曲”、“カリヨン”、第2組曲から“メヌエット”、“ファランドール”

ナビゲーターはガレッジセールの二人が務める。

カバレフスキーの組曲「道化師」より“ギャロップ”は運動会で必ずと言っていいほど流れる音楽である。広上と京都市交響楽団は、運動会で貧相なスピーカーから流れる安っぽい音楽とは別物の堂々としていて、軽妙さも失わない音楽を生み出す。広上はジャンプを見せるなど、軽快な指揮だ。

演奏が終わった後で、ガレッジセールの二人が登場。ゴリは「広上さん、会いたかった」と話す。ガレッジセールはオーケストラ・ディスカバリーのナビゲーターを何度もやっているが、広上指揮の回に登場するのは久しぶりだそうで、「前回、広上さん、ホールに入ろうとして警備員に止められたという話を聞いたので、そのまま止められっぱなしなんじゃないかと心配した」とゴリは語る。広上は、「警備員さん、私の顔を覚えてくれました」と返す。

広上は、「今朝、起きたら静かなんですよ。渋谷の交差点を見たら、あそこも人がいないようで、ワールドカップということで、みんなサッカー見てたんですね。私も見てましたが」と話し、ガレッジセールの二人も「僕らも見てました。惜しかった。本田、ゴール決めたのに」と語る(注:この日の午前中、FIFAワールドカップ ブラジル大会 日本対コートジボワール戦があり、日本は、1-2で競り負けた)。

広上は、「音楽は、メロディーとリズムとハーモニーから出来てるんですよ」と語って、ピアニカで「男はつらいよ」のテーマを吹き、「これがメロディーです」と言った後で、8分音符の和声を繰り返し、「これがリズム」。更に、「ダニー・ボーイ(ロンドン・デリーの歌)」を和声付きで演奏する。ハーモニーである。ゴリは、「鍵盤いくつも押してるのはわかる」と言う。

更に、次に演奏するチャイコフスキーの「弦楽セレナード」第1楽章冒頭の旋律を、各弦楽パートの首席奏者が一人で順々に演奏する。まず第1ヴァイオリン、コンサートマスターの渡邊穣(広上は渡邊のことを「穣ちゃん」と呼ぶ)。この曲では冒頭は主旋律は第1ヴァイオリンがずっと弾くため、聴き慣れた旋律が奏でられる。第2ヴァイオリンは出だしは一緒だが、すぐにハーモニーのために別の旋律へと移る。第2ヴァイオリンの首席は杉江洋子。広上は、「穣ちゃんから、別の嬢ちゃんに移りました」と駄洒落を言って、ゴリから「広上さん、今日、調子いいですね!」と誉められる(?)
そして、ヴィオラ(小峰ちゃんこと小峰航一)。ゴリは「同じ曲とは思えない」と言い、川田は「これ、一人で練習してたら(短調であるため)暗い人だと思われるでしょうね」と笑いを取りに行く。チェロ、コントラバスと演奏した後で、広上は、「こうして4つの楽器が……、4つですよね?」と言って、ガレッジセールの二人から「広上さん、大丈夫ですか?!」と突っ込まれる。

そして、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」より第1楽章。重心のしっかりした演奏であるが、力尽くで押し切るタイプの演奏ではなく、立体的なハーモニーが美しい佳演であった。

演奏終了後に出てきたゴリは、「俺、聴いてて、なんか『転職したいな』と思ったら、これ、『オー人事! オー人事!』の曲ですね」と気付いたようである(ただし、台本があるため、台本通り言っただけかも知れない)。

3曲目は、サラサーテの「カルメン幻想曲」。
広上は、「サラサーテというヴァイオリニストが、この後で別の曲をやりますがビゼーという作曲家の書いたオペラ『カルメン』のメロディーを使ってこの曲を作った」と説明。ゴリが「盗作にはならなんいですか?」と聞くと、広上は、「有名な旋律を用いるということは、作曲者に対する敬意であり、作曲家自身も喜んだ。18世紀から19世紀にかけてはそういう価値観でした」と述べる。ゴリが「他の人から何か言われたりしなかったんですか?」と聞くと、「サラサーテというのは、大ヴァイオリニストでして、大スターでした。だから当時のお客さんは、今でいうSMAPや嵐を聴くような感じでサラサーテの演奏を聴いていたんですね。スターですので、メロディーを引用することに疑問を持つ人はいなかったようです」と応えた。

広上は、「サラサーテの写真がパンフレットに載ってると思いますが、(パンフレットを繰って)これですね。いい男でしょ、髪の毛もあって」と述べるが、ゴリは「広上さんにそれ言われると、俺ら何も言えなくなる」と返した(広上は禿頭である)。

サラサーテの「カルメン幻想曲」。ヴァイオリン独奏は、若手の南紫音(みなみ・しおん)である。1989年、福岡県北九州市生まれ。2004年に第1回アルベルト・クルチ国際ヴァイオリン・コンクールで15歳にして優勝し、翌年にはロン=ティボー国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門において第2位に入って注目を集めている。同年、北九州市民文化奨励賞受賞。2006年には福岡県文化賞を受賞したほか、2011年には第21回出光音楽賞も受賞している。

京都市交響楽団とは、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏しているが、その時の出来は今一つであった。

今日も音は美しく、技術も達者であるが、曲調の描き分けは十分とはいえず、「ハバネラ」では蠱惑的な演奏を展開しなければいけないのだが、広上指揮の京都市交響楽団の方が妖艶であり、力負けの感じを受ける。まだ若いということだろう。「ハバネラ」が終わっても広上は指揮棒を下ろさなかったが、客席から拍手が起こったため、鳴り止むのを待って演奏を再開した。

後半、宮川彬良の「シンフォニック・マンボNO.5」。広上は宮川彬良について「天才」と評するが、「NHKの『クインテット』に出ていた式神みたいなおじさん」というよくわからない例えをする。
「シンフォニック・マンボ№5」についていて、広上は「ベートーヴェンの交響曲第5番『運命』と『マンボ№5』を掛け合わせた曲でして」と説明し、「例えばですね」と言ったはいいが、「えーーーー」と例えが浮かばす、またガレッジセールの二人から「広上さん、大丈夫ですか?!」と突っ込まれる。
広上は、「この曲で、私と京響のメンバーは叫びます」と言う。「楽譜にここで叫べと書いてあります」。ゴリが「別にストレスが溜まって叫びたくなるんじゃないんですね」とボケる。

「シンフォニック・マンボNO.5」は、ベートーヴェンの交響曲5番で始まるが、途中で「ジャジャジャジャーン」が、「タタタタ」というマンボのリズムに変わり、マンボ№5が演奏される(弦楽はジャジャジャジャンという音を刻む)。その後、何度もベートーヴェンとマンボが交代で演奏された。

最後は、ビゼーの組曲「アルルの女」組曲第1番から“前奏曲”、“カリヨン”、組曲第2番から“メヌエット”、“ファランドール”。

曲目を紹介するゴリが「オペラ『アルルの女』から」と勘違いしたが(「アルルの女」はオペラではなく、劇附随音楽である)、演奏はスタート。威風堂々とした演奏である。「カリヨン」では、冒頭のブラスがずれたのが残念。「メヌエット」では、フルートソロの場面で広上はほとんど指揮をせず、京響首席フルート奏者の清水信貴(今日も後半から参加)に任せていた。「メヌエット」演奏終了後、広上は清水を立たせて拍手。客席からも喝采が起こった。「ファランドール」も熱い演奏であり、ハイレベルのオーケストラサウンドを楽しむことが出来た。

アンコールは、スーザの「星条旗よ永遠なれ」。広上は聴衆に手拍子を求め、楽しい演奏となった。

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