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2015年2月27日 (金)

コンサートの記(173) 佐藤俊太郎指揮 大阪交響楽団第83回名曲コンサート「フィンランドからの秋風」

2014年10月4日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて

午後5時から、大阪・福島のザ・シンフォニーホールで、大阪交響楽団の第83回名曲コンサート「フィンランドからの秋風」夜の部を聴く。同一プログラム1日2回公演の2回目である。

大阪交響楽団の名曲コンサートは、今は知名度が低いが今後が期待されるアーティストを起用したシリーズで、同一曲目で1日2回公演が行われる。チケット料金は低く抑えられており、その分、1日2回公演を行ってチケット収入を増やしているのだが、演奏する方は大変である。

今日の指揮者は、1972年生まれの若手、佐藤俊太郎。イギリスの王立音楽院に学び、2000年にフィンランドのクオピオ交響楽団首席客演指揮者に就任すると若くして同オーケストラとの録音を行い、注目を浴びている。昨年までパリに本拠地を置いていたが、今年からは日本を拠点に活動を行う予定だという。佐藤は今日は全曲、ノンタクトによる指揮を行った。

曲目は、グリーグの「ペール・ギュント」第1組曲、ショパンのピアノ協奏曲第2番(ピアノ独奏:ショーン・ケナード)、シベリウスの交響曲第2番。

「フィンランドからの秋風」というタイトルの割りにはフィンランドの作曲家の曲は1曲しかないが、佐藤俊太郎がフィンランドのオーケストラにポストを持っていたということで、フィンランドをよく知る指揮者による演奏会という意味もあるのだろう。

技術的にも財政的にも在阪オーケストラの中で一番苦しい大阪交響楽団。京都市交響楽団が好演を行った翌日だけに、大阪交響楽団がいかに非力かがよく分かる演奏会となったが、歴史が浅いということもあり、大響が力で劣るのは仕方がない。着実なレベルアップを望むだけである。

定期演奏会では、知られざる名曲路線を続けている大響。個性に関してはすでに存在価値を示している。

グリーグの「ペール・ギュント」組曲第1番。オーケストラが力感に乏しく、特に弦が薄いのが気になるが、整った演奏を聴かせる。音の彩りはもっとあった方が良い。“山の魔王の宮殿にて”ではホールを揺るがすほどのフォルテシモを聴かせないと効果が出ないと思う。

ショパンのピアノ協奏曲第2番。ピアノ独奏のショーン・ケナードは、1984年、ハワイ生まれのピアニスト。ピアノを始めたのは10歳前後と遅めであるが、生来の才能があったようで、レッスン開始の翌年にはリサイタルを開いているという。すでにハワイでは当地を代表するピアニストとして認識されているようだ。コンクール歴はハワイアン・ミュージック・アワードのピアノ部門とショパン国際コンクール環太平洋地域部門の第1位の他に、エリザベートコンクールで2010年にセミ・ファイナリスト、2013年にファイナリストに入っている程度で栄冠を勝ち得るまでには至っていないようである。カーティス音楽院を経てジュリアード音楽院大学院修了。
容姿であるが、黒髪であるため、ネイティブハワイアンの血が流れているのかも知れない。

ケナードは端正なピアノを奏でる。美音家であり、メカニックにも優れ、感情表出も細かだ。優等生的ともいえるが、更に良く言うとアシュケナージタイプでもある。

爽快なピアニズムで聴衆を魅了したケナードは、演奏終了後、日本語で、「ありがとうございます」とお礼を言い、「革命のエチュード」と日本語で言ってアンコール曲を弾き始める。情熱を表に出しすぎない、バランス感覚に優れた「革命」であった。

シベリウスの交響曲第2番。佐藤俊太郎の指揮は簡略化されたものだが、それだけに無駄がない。
大阪交響楽団はパワーに関しては十分ではないが、シベリウスの交響曲はパワフルなオーケストラでなくても良い演奏が可能なものである。逆に言うとオーケストラが素晴らしいからといって名演になるとは限らない。

佐藤は中庸を行く演奏を展開。シベリウスの交響曲の場合、こうしたアプローチが一番失敗しにくいとも言え、超名演とはいかないが、優れた演奏を聴かせた。

大阪響は弦も管も他のオーケストラと比べなければ、十分に高い水準にあり、シベリウスの音楽の咀嚼も十分だったように思う。

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